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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
八話: とある少女が呪いを解こうと奔走する件
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~~デモニース・ストレイナイツ森林~~


この森林はまさに大森林だ。

木々が茂っているので昼でも真っ暗に感じた。

一応街道もあるので、街道をたどれば迷わずに抜けられるわけだが。


いつもどおりに妖術師の僕は、ロゼとパーティを強制的に組んで森を駆け抜けた。

そして、もう一人ロートと一緒に行動していた。

そんなロートが、前の方で木と同化したモンスター『トレント』に絡まれた。


「ロートちゃん、下がって!」

絡まれたロートに対し、ロゼが大きな弓を構えた。

ロートは、ロゼの行動を見て後ろに退く。

トレントが枝を伸ばして、ロートに襲いかかってきた。

が、ロゼが放った矢はトレントの顔らしき部分に命中。

一撃で、ロゼがトレントを倒した。


「ふう、大丈夫?」

「ありがとう、ロゼ……様」

「いいのよ、ロートちゃんが無事なら」

ロゼはロートに対して、笑顔で答えた。

そういえばロゼも大分パーティに馴染んだな。


「ごめんなさい、ロートのせいで……」

「気にしていないわ、トレントがここは多いし。

見た目はわからないけど、不意打ちするから嫌な相手だわ」

「ううん、リーダー。ごめんね。呪いにかかったんでしょ」

「ロート……大丈夫だよ」

何度もロートが僕に気をかけてくれた。

やはり前回の宝箱で呪いを見つけられなかったのが、本人にはショックだったらしい。


ロートの盗賊レベルはキャップの90レベル。

罠発見のスキルも高いので、99.99%見つけられる。

それでも見つけられずに、罠が作動したことに罪悪感があった。


「だから、このクエストに誘ったんだろう。ロート」

「うん」

「解けるといいわね、呪い」

ロゼは切ない気持ちで、弓を背負う。


ここストレイナイツ森林は、ゲーム内のストーリーで訪れる場所だ。

バイエル公国に行くと、冒険者が呪われているということで追い返される。

そこで呪いを解くために訪れるのが、ここだ。


「ジャイアントバットと、フォレストグリスリーを倒す。

『巨大コウモリの羽』と、『血に飢えた熊の牙』を手に入れる。ここなら解けると思ったの」

「教会でも、アイテムでもこの呪いは解けなかったからな」

「だから、このクエストで呪いを解ければって……」

「ロートちゃん……」ロゼがじっとロートを見ていた。

ロートは元気なくうつむいていた。自信はあまりなさそうな表情だ。


「なんて健気なのっ!」

ロゼがロートを抱きしめた。


「ううっ、苦しい」そういうモーションを見せた。

「やばっ!ロートちゃん、健気すぎる。いい子じゃない」

「ロゼ、ロートが苦しんでいるぞ」

抱きしめたロートは、確かにロゼに締め付けられているように見えた。

慌ててロゼが、ロートを離す。


「ごめんね、ロートちゃん」

「まあ、ロートがいればすぐにアイテムが出るからな。

頼むよ、アイテム担当」

「うん」ロートは少しだけ、笑顔を見せた。

それとほぼ同時に道を塞ぐように、出てきた巨大なコウモリ。


「やっとお出ましか……えっ」

「ふふん」ロゼはいつの間にか巨大な弓を構えて矢を放つ。

その矢が、一撃でコウモリを仕留めた。


「はやっ!」

「この調子でいくわよ」

「早速落としたし」

戦利品で『巨大なコウモリの羽』をすぐに手に入れた。ログが流れた。

やはり、ロゼの攻撃力は他の人間を圧倒的に上回っているな。

このコウモリ、倒すのに二、三分かかるけどロゼは一瞬だ。

ある意味、最強のアイテム集めパーティかも知れない。僕すらいらないし。


「あとは熊だっけ?」

「うん、さがそっ」

ロートの一言でそのまま僕たちは、フォレストグリスリーを探しに森を彷徨った。



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