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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
七話:とある少女が釣りに挑戦した件
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~~サタルカンド・疾風艦隊(シュタイフェ)別邸~~


釣りに失敗した次の日、僕たちが招かれたのは疾風艦隊(シュタイフェ)別邸だ。

ヴァイオレットが招いたので、ここに入れた。

普通には、登録メンバー以外は許可内とは入れない。


もちろんそれはリアルも同じだ。

番地を知らない家に入ることはできない、唯一許されるのはGMぐらいだ。

それにしても豪邸だ、僕らの買った一億の豪邸と変わらないぞ。

庭も大きいし、家も立派だ。


「ここは、別邸で家は別にあるんだよ」ヴァイオレットが言ってきた。

「それはすごい」

疾風艦隊(シュタイフェ)は人数多いからね。むしろ足りないぐらいだよ」

普段着を見れば、かっこいいヴァイオレット。

最強クラスの騎士装備は、神々しく眩しい。

私服も真っ白なスーツって、ホストっぽいし。ヴァイオレットは白しか着ないんだな。


「ロゼたんの頼みを聞きに来たぞ」

「その言い方はやめなさい」

「何を照れている?ロゼたんのためならなんでも聞いちゃうぞ」

廃人のリーダーヴァイオレットも、ロゼの前だと形無しだ。


「じゃあ、ぬしの『マツヤ』を頂戴」

「残念ながらそれはないんだよ」

「でも……我ら疾風艦隊(シュタイフェ)には釣り職人もいる」

シュバイエが的確なアドバイスだ。

ヴァイオレットの隣で、いつも冷静を装っていた。


「釣り職人ねぇ」

「そこの掲示板を見てみなよ。アイテムトレード板があるから」

ヴァイオレットの言う通り、壁には掲示板が貼ってあった。

そこに貼ってあったのはアイテム募集だ。


グループ内でのアイテム交換の条件が書かれている。

僕らの家にもあるが、ここまで活発に書かれていない。

たまにロートが謎の詩集を書いているぐらいだ。


「あるわよ、『マツヤ』って、マジ?」

「やっぱりレアなんだね」

交換条件として書かれたのは、高額素材の数々だ。

『マツヤ』自体供給が少ないので、レア度が高い。

要求を見て、ますます愕然としていた。


「だね、どう考えても無理なのばっかじゃない」

「しょうがないよ」

「なんとか魚拓だけでも……」

「それは無理だね、アイテムの価値が下がる」

ヴァイオレットは僕に対して、冷たく言い放つ。

そういえばスージス海の釣り人も似たような事を言っていたな。


「なぜなの?」

「アイテムの価値は、誰かにトレードして手渡すだけで中古品扱いになる。

仮にオークションに出すなら、新品のほうがいい。新品から順に売れるからね。

モノが高額になれば、そこに気を使う人間も多い。それともう一つ」

「もう一つ?」

「詐欺に遭うこともある」

ヴァイオレットの言葉には重みがあった。

なにより、僕には心が痛い話だ。


「詐欺?」

「ああ、詐欺だ。アイテムトレードには詐欺が発生することがある。

それを警戒してか、トレードを制限するものもある。

アイテムは時間の結晶だ。自分が苦労して手に入れたアイテムを、奪われると時間を否定されたことになる。

それはショックでしかない」

「そうね。仕方ないわ」

落ち込んだ顔で、ロゼが謝った。


「ごめんね、お兄ちゃん」

「仕方ないよ、アイテムの相場が大体わかったし。むしろありがとう」

「それよりロゼたん」ヴァイオレットがいきなり僕を指さした。

「なによ?」

「お、お、お兄ちゃんって?」

「え、あ、ああ。ブラウはあたしのお兄ちゃんよ」

「ゲームじゃないよな?じゃあリアルか?」

「え……うん」ロゼはなぜか恥じらうような顔で僕を見てきた。

なんでそこで意識をする、僕まで恥ずかしくなるじゃないか。


「そっか、リアルの兄がブラウなんだ。なるほど、なるほど」

「な、何を勝手に納得しているのよ?」

「じゃあ、ボクがこれからゲームのお兄さんだ。

ロゼ、僕の胸に飛び込んでごらん」

ヴァイオレットが手を広げていた。ロゼに対しての愛なのだろうか。


「はあ、バカじゃないの?」

ロゼが痛烈に否定。

一瞬、時は止まるがヴァイオレットがいじけた。


「ロゼたんが、ロゼたんがぁ」

「そろそろ時間ですよ、ヴァイオレット」

いじけてしゃがんだヴァイオレットに、すかさずシュバルツが手を差し伸べた。

それを聞いて、真顔に戻ったヴァイオレット。立ち直るの、早い。


「ああ、行かないとな」

「どこに行くの?」

家から出ようとするヴァイオレットとシュバルツを、止めたロゼ。


「なに、これから狩りの時間さ。

弱くなった『レッドドレイク』をやりにいく」

「狩り?あたしも行きたいわ」

「ふむ……ロゼたんがそう言うなら。空きはなくても開ける」

「やったわ、さすがヴァイオレットね」

ヴァイオレットが、ロゼに対して優しく了承した。

そんなやり取りを見た僕は、流石にロゼを引き止めようと言葉を用意した。が、


「あなたも来るでしょ、ブラウ」

抑揚のない声でシュバルツが、なぜか僕を誘ってきた。



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