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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
七話:とある少女が釣りに挑戦した件
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066

~~サタルカンド・イースト三番街~~


フィールドから戻った僕たちは、イースト三番街の酒場にいた。

いかにもファンタジー世界らしい酒場は、俗に言う会話のたまり場だ。

一般の冒険者は待ち合い所に利用していた、家も近いし。


僕とロゼはその酒場に来ていた。

それでもロゼには視線が集まる、有名な廃人様だ。

漆黒のケルベロスプレートは、強さも色気もある最強の装備を纏う妹は僕の前に座っていた。

膨れた顔を見せて、怒りを見せた。


「でも、超ムカつくんだけど!」

「ロゼ、落ち着けよ」

「落ち着いていられないわよ、あいつは何様よ!」

「ロゼ、初めてのお前もそうだったぞ」

僕に言われて、気まずそうな顔を見せた。


「あたしは……」

「結局何かが優れていると、高慢な態度を取る。

それが人間で、廃人であるお前たちだ」

「ううっ、お兄ちゃん」

急にしおらしく元気なく謝るロゼ。

そのロゼは、運ばれたビールらしき茶色の飲料を飲み干す。

そのままカラのグラスをテーブルに叩きつけた。


「でも、あれは交渉難しいな」

「釣りのスキルは上がりにくいでしょ。

リアル一日中釣りで、レベル1か2上がるかどうかでしょ。

『マツヤ』はいくつぐらい必要なの?」

「う~ん、ネットで調べたけど76が推奨らしい」

「それって絶対、無理じゃない。後二十時間しかないわ」

「でも、交渉だけはあっているみたいだ」

「確かに、あとはオークションで気長に待つ?」

「多分市場に出回らないと思う」

僕は腕組みをしながら、じっと見ていた。

そんな時、目の前にビールっぽい飲み物がロゼの前に運ばれてきた。


「そうよね。二ヶ月も履歴ないんじゃ、奇跡でも起きない限り難しそうね」

「本当に奇跡ぐらいだな」

「みんな、あんたのところみたいならいいのに」

運ばれたビールらしき飲み物をロゼが、一気に飲み干した。

飲み干したグラスをテーブルに叩きつけた。


「お兄ちゃん、パーティメンバーは?」

「オランジュは勉強で落ちたし、ゲルプさんは別のゲームかな。

ロートは……久しぶりにレベル上げしているよ」

「へえ、みんな忙しいんだ。でもお兄ちゃん……やっぱり暇?」

「本来なら忙しいんだけど、僕は暇だよ。受験もないから」

「それでいいの?」

ロゼは急に、あらぬ事を聞いてきた。

ロゼがグラスに手をかけたが、カラのグラスを寂しそうに振っていた。

カラカラと氷とグラスが当たる音が聞こえた。


「なんだよ、ロゼ」

「なんとなくだけど、お兄ちゃんは夢があったそんな気がするの」

「夢?」僕はロゼに聞き返す。

「うん、おぼろげなんだけど。昔のあたしに言っていたような」

「どんな夢だよ?だいたい今、その夢を叶えるために僕は何もしていない。

いや、これからも何もできない」

ロゼに対し、僕は首を横に振った。


「だよね、ごめん」

「リアルの話は極力持ち出さないで欲しい」

「わかったわ」

「それより、ぬし『マツヤ』をどうやって手にするかだ。

この問題を片付けないと、僕らは先に進めない」

「そこのお二人さん、お困りのようですね」

そんな時、僕たちの席に見知った二人組がやってきた。


「あら、ヴァイオレットじゃない」

そこにはヴァイオレットとシュバルツの二人が現れた。



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