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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
七話:とある少女が釣りに挑戦した件
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~~サタルカンド・スージス砂丘~~


スージス海、それはサタルカンドの東に位置する大きな海だ。

世界で一番大きな海で、巨大な魚が釣れる。

そこに面したスージス砂丘はまさにリゾート地だ。


あれからリアルで二時間が過ぎたリアル夜中、リゾート地で僕とロゼは釣りをしていた。

釣り竿を持って、釣り糸を垂らして魚を待つ。

「こんなんで、本当に釣れるの?『マツヤ』」

「釣るしかない、今回のクエストだ」

僕とロゼは、ひたすら釣りをしていた。

いつもどおりの青いスーツの僕と、色っぽい黒鎧を着ていた妹のロゼ。

二人で海岸沿いの岩場に立って釣りをする、珍しい光景だ。


「でも、今回のクエが釣りとかってかなりやばくない?」

「痛いところをつくよな、釣りはスキル上げしていない」

「『マツヤ』って海の主を一匹釣れって……牛丼屋じゃないんだから」


僕とロゼが今回受けたクエストは、マツヤという主を釣ること。

『マツヤ』の魚拓を、持って来ればクリアだ。

制限時間は、リアル二十四時間。


このクエストを受けたのが、夜の十一時半だから明日のこの時間までに釣らないといけない。

オークションの履歴には二、三ヶ月前まで取引の記録が残っていない。

急いで調べて、スージス海のこの岩場というところまで調べた。

調べたけど、根本的な問題は片付いていない。


「場所はスージス海、取り合いになるほど狙う人もいない」

「食材の合成に使うぐらいだし。暇つぶし程度でしょ」

「まあ、釣りはスキルが高くないと釣れないらしい。僕はレベル13、ロゼは?」

「……いいでしょ」言葉を濁す。

「ロゼ?」

「あたしは……3」

「つまり、どうやら二人共釣りは苦手らしい」

僕の言葉に、真剣釣竿を構えるロゼ。

なんだか負けたような気分で、不機嫌になるロゼ。


「こういうのは苦手なのっ!積み重ねるのも、じっと待つのも」

「ロゼらしい答えだ」

「なによ、あたしらしいって。お兄ちゃんひどいっ!」

「いや、何でもない」

「だからお兄ちゃんは、こういうところで釣って株を上げないとね」

そんなロゼが、いたずらっぽく笑ってみせた。


「それができたら苦労はしない」

「かかってるじゃない」

ロゼが言うと、僕の竿がヒットした。

そのまま僕の目の前に、ゲージバーが出てきた。


「引きが強いね」

「いける?」

ロゼの言葉に、ゲージバーが横にスライドした。

真ん中のゲージバーに入ったところで、タイミングよくボタンを押さないといけない。

成功すると、魚のHPが減っていく。魚のHPゲージがなくなると釣れるわけだ。

ちなみにスキルは、ゲージバーの長さや魚に与えるダメージに影響する。

だけど僕は……


「くうっ、失敗した」

失敗してあっという間に逃げられてしまった。


「ダメだったの、お兄ちゃん!」

「難しいんだよ」

「今回のHPはどれぐらいだったの?」

「ん~、中ぐらいかな。大物になると、大物ってメッセージが流れるらしい」

「『マツヤ』のHP高そうね。やっぱりあたしたちじゃ無理じゃない。

ゴモリも変な事を言っていたし」

「『単純に釣れば早いが、釣るだけが全てじゃない』だっけ?」

「まあそうだけどね。そもそも、この『スージス砂丘』は上級者向けの釣り場だしね」

そんな時だった。


「お兄ちゃん、ちょっと隣見て……」

そこには、ひとりの男が釣りをしていた。

なによりそこで釣りをしていた人間のログ結果に、ロゼは気づいた。


『グリュンがぬし『マツヤ』を釣り上げた!!』というログが流れた。


「まさか……いや」

「『マツヤ』を釣り上げたわ」

ロゼが指さした男は、何食わぬ顔でバケツに巨大な魚を入れていた。

その魚は銀色ががった大きな魚だった。



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