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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
六話:とある少女が祭りに参加する件
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画像が終わると、いつもどおりのシアターだ。

僕とロゼの二人が、グリフォンシグマ戦のクリア報酬である画像を見ていた。

鬼気迫る暗闇の中、僕はしばらく腕を組んで考えていた。


「あれはリアルだよな?」

「家、あたしの家」

「何かわかったのか?」

「あそこに、あたしの体がある」

ロゼはどこか悲しそうな顔で、何も写っていないスクリーンをじっと見ていた。


「本当か?じゃあその家の住所は?何か目印になるものは?」

「わからないわよ!」

ロゼは絞り出すような声で言い返した。


「そうか……仕方ないな」

「ごめんなさい」ロゼが珍しく弱気に謝った。

「なぜ謝る?」

「うん、あたしの弱い部分を見せちゃったから」

ロゼは深いため息をついていた。


リアルでは僕以外が認識できないものの、ロゼは間違いなくリアルも女の子だ。

繊細なところに、悩みを抱えていることだってある。

そこを無理矢理広げて、僕は彼女の記憶を探さないといけない。

だけどそれは彼女を、傷つけることだ。彼女の記憶に踏み入るのだから。


「ひとつわかったことは、ロゼが繊細な女の子だということだ。

この声は立派なヒントだよ。君を特定するには十分だ」

「うん、ありがと」

ロゼは急に笑顔に変わった。

その笑顔はやっぱりキュートだった。


「それに、もうひとつ大きなヒントも手に入れた」

「なにかしら?」

「ベッドで寝ていた人物だ。いずれにしても顔が見えないから何とも言えないが。

この二人は……」

「なにかあたしはしようとしていたのは覚えているのよね」

「しようと……していた?」

「うん、目的というか夢があったと思う。

関係ないけど、ブラウ眠くないの?」

「え?」

「もう朝の四時よ」ロゼに言われて、僕は部屋の時計を見た。

ロゼの言うとおり、朝の四時までずっとゲームをしているリアルに引き戻された。



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