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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
五話: とある少女が最強の敵と戦う件
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~~サタルカンド、サタルカンド遺跡~~


遺跡は何度きても、おどろおどろしい。

欠けたレンガの壁、そこはうっすらと暗い。

真っ暗な闇の中、突然出てくる悪魔は慣れていてもたまにビックリさせた。

だけど、すぐさまパーティメンバーがあっという間に倒していく。


僕はロゼと同じ第一パーティになった。第一パーティは先頭を走る。

大人数となれば恐怖は、ほとんど感じない。しかもみんな僕なんかよりもずっと強い。

そんなロゼは不安な顔で、敵の悪魔に攻撃をしていた。


「で、本当に勝てるの?」

「この方法なら、『ジェノサイドブレス』を使われることはない。だから……」

「わかっているわよ、あんたを信じてもいいのね」

「信じて欲しい」

不安そうな顔を浮かべるロゼに、僕は笑顔で応えた。


「あんたは、なかなか度胸があるわね。

ぶっつけ本番で、自分の戦術をためそうだなんて。

しかも試す相手が最強のウルトラモンスター、グリフォンシグマでしょ」

「度胸?いやないよ」

「どうしてよ、ウルトラモンスターが怖くないの?」

「初めは怖いと思ったよ。強いみんなが集まって、それでも勝てなくて……」

「だったらなんで、ヴァイオレットの挑発に乗ったのよ?」

「これはネットゲームだからだ」

僕の言葉にロゼは、難しい顔を見せた。

周りのメンバーを見る、みんなすごい装備のメンバーが先を進んでいく。


「なにそれ、よくわかんないんだけど」

「もしマジック・クロニクルの全ての敵が、廃人しか倒せない敵しかいないとしたら?」

「変な質問ね。そしたら廃人以外はいなくなるじゃない」

「そういうこと、ネットゲームはいろんな人がやっている。

だけどみんな廃人じゃない、時間が無制限にあるわけじゃないんだ。

そんな人たちは、永遠にクリアできないことになるだろう」

「でも、いつかは届くんじゃないの?」

「人間はみんな諦めないわけじゃない、ほかのゲームがあればそっちに移るさ。

だから、勝ち方をほかにあらかじめ用意してあるんだよ」

「さすが、人生半分諦めたブラウ……蒼一が言うから間違いないわ」

ロゼがいたずらっぽく笑い、僕は少し不機嫌になった。

そのままロゼを置いていくように、前に出て行く。


「ごめんね、ブラウ。悪かったって!

それで、その勝ち方がこれなわけ?」

「そういうことだ、倒せない敵はいない。

だってこれはリアルじゃないから、ゲームなのだから。

ゲームってのは、リアルでできないことができるのだから」

僕のその言葉に、笑顔に戻ったロゼ。


「そうね、あんたらしいわ」

「まあ僕らしいやり方だよ、これは」

「だけど、負けたら承知しないわよ」

「負けることなんか考えていないよ」

僕はロゼに言うと、目の前に大きな扉が広がっていた。

そんな僕の隣には、重厚な鎧をまとったヴァイオレット。


「再戦の時間だ。今回だけはお前を守ってやる」

「ああ、勝ちにいこう」

僕がそう言うと、パーティメンバーが声を上げた。

疑心なメンバーも、ヴァイオレットが手を叩くと同意してくれた。

それを見て、周りのメンバーも声を上げてくれた。



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