049
~~サタルカンド・ウエスト一番街~~
再び僕はゲームに戻った。
西洋風の街は、普段はプレイヤーがあまりいない。
土曜であっても深夜になれば通常ここには人はいない。
だけど、サタルカンド遺跡口は賑わっていた。
多くの冒険者が、ここに集まっていたからだ。
僕はすぐにロゼに募集を頼んだ。
バイエルにいたロゼが、すぐに人集めをしていた。
それから十分後、あっという間にサタルカンドに集結した。
離脱した人間もいるけれど、新規で募集した人間もいた。
なにより前回の変更点として、僕が第一グループに入ることになった。
そして妖術師を、もう一人追加していたのだ。
それを腕組みしながら見ているヴァイオレット。
「しかし火力アップしないといけないのに、入れたのが妖術師か」皮肉交じりに僕に言ってきた。
「いえ、むしろこの方がいいんです。
これからやる作戦には、妖術師は二人欠かせないですから」
「君はウルトラモンスターの戦いに慣れていない」
「そうですね、さっきが初めてでした」
ヴァイオレットは、僕に鮮烈な言葉を投げかけた。
ロゼとはまた違う、彼はプライド高き廃人だ。
「たしかに、ヴァイオレットさんは経験豊富だ。
ネットでも、戦う前にちゃんと調べているのが伺える。
雑魚処理や回復ローテーションなんか、僕が思いつかない戦術ばかりだ。
ましてや僕はウルトラモンスターとの対戦経験が、余りにも少ない」
「ならば君らは諦めるべきだ。
いやこれを言うのは酷だが、君らは明らかに力不足だ」
「だからこそ、知恵を絞る。
僕たちは勝たないといけない、勝つためには最善の手を打たないといけない」
ゴモリが言った今回のクエストは、僕とロザが『シグマキラー』の称号を手に入れることだ。
僕が離脱することはなんの意味がない。
「ならば見せてもらうよ、君の考えを」
「ええ、じゃあ説明するよ。この作戦はみんなの動きが大事なんだ。
誰か一人でも、ミスをした瞬間負ける危険な作戦なんだ。
その前にロゼ……」
「うん」
「ここで約束して欲しい。今度は絶対に逃げないって」
「ブラウ……あんた」
「絶対に勝てるから。僕を信じてくれ」
僕がじっとロゼを見ていた。周囲のメンバーが僕とロゼに視線を注ぐ。
恥じらうようなロゼが、周囲を見てちょっと顔を赤くした。
「わかったわよ、あたしは逃げないわっ!
どんなことがあっても、どんな劣勢であっても!」
「おおっ、ロゼたん!」簡単の声を上げたヴァイオレット。
「では、説明するよ」
僕はそう言いながら、僕が考えた作戦を大人数に説明した。




