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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
五話: とある少女が最強の敵と戦う件
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やり慣れないこと、初めてのことは緊張する。

それは興奮してドキドキと胸の鼓動が高くなる。

僕にとってウルトラモンスターも、ブンデスグルペ戦も初めてなんだ。

ネットゲームで見ず知らずの二十四人が、たった一匹のモンスターのために集まる。

それでも奇跡なのに、誰も倒したことがない敵を倒しに行く。


これは普通の小規模パーティである僕たちにとって、とんでもない。

その興奮を例えるなら、小学校の時に初めて買ってもらった携帯ゲームを思い出す。

そんな興奮をしながら、僕たちの戦いは始まった。


レンガ造りの中には、いかにもラスボス的なオーラを放つ巨大なグリフォン。

緑色に光るその体は、威圧感があった。

今までマジック・クロニクルで見た全てのモンスターとは、格が違う。


そしてそれを取り囲むのは、真っ黒な姿の悪魔たち。

グリフォンの下僕のように僕らを襲いかかる。

僕たち二十四人が、戦闘を開始した。

そんな中、第三パーティのリーダーで騎士の男(ゲルプじゃない方)が突然僕に近づく。


「一応聞くけど、眠りスリープミストはあるか?」

「もちろんあります」

「よし!なら本体が交戦を始めたら、悪魔が動く。

そしたら俺がつってくるから、後ろにいるやつは全部寝かしてくれ。

寝なければ麻痺パラライ時間停止ストップタイムを使ってくれ」

「わかっている、ただ全部は寝かせる自信はある」

僕はゲルプさんが作ってくれた黒曜剣を、右手に握り締めていた。

そうこうしているうちに、本体パーティは交戦をしていた。

少し離れているので、グリフォンを感じられないのが残念だ。



それから十分後、順調にグリフォンシグマのHPは減っていた。

敵の体力ゲージをたまに見ては、確認していた。

僕たち第三パーティは雑魚処理を順調におこなっていた。


単調な作業だけど、大事な作業だ。

僕たちが負ければ、本体と第二パーティはグリフォンをやりながら悪魔もやらないといけない。

そうなれば敗戦確実だ。


「順調ですね」

「みなさん、お強いですぅ」

僕とゲルプさんは喋りながら戦っているが、ほかの人は無言だ。

業務的な会話だけがパーティチャットに流れた。


本体は、敵の攻撃範囲に入らないように移動しながら戦う。

第二パーティは回復の手を緩めることはできない。

第三パーティは、それと比べると難しくはない。敵も強くはないし。

少なくとも悪魔に僕の眠り霧(スリープミスト)が入るようだ。

これも黒天剣のおかげだろう。


「こっちはいいが、問題はこのあとだ」第三パーティの一人が口走る。

「このあと?」

「前も覚醒後は倒せなかった」

「何かあるのか?」

僕はロゼの言葉を思い出した。


「ブレスか?」

「そうだ、まさに皆殺しのブレス。もう少しでわかる。

いかに俺たちが無力か、それを思い知らされるさ」

第三パーティの経験者たちは、何かを悟ったみたいだ。

そして、グリフォンシグマの緑色の体が怪しく光った。


「覚醒だ!これで……」

「さて、火力が足りるかどうか」

第三パーティの経験者二人が、グリフォンシグマを見ていた。

それでも襲いかかる雑魚の悪魔を、攻撃していた。


「ごめんなさい」

「え?」

それから数秒後の出来事だった。

突然、ロゼから声が聞こえた。


そうかと思うと僕は次の瞬間、灰色のブレスに包まれた。

そこに出てきたのが、ドクロの頭。

灰色のブレスに包まれた僕たちは、ブレスが晴れた瞬間倒れていた。


僕たちのパーティのHPが、全員0になったのだ。

そしてブレスを見て二、三秒して理解した。僕たちは一瞬にして負けたのだ。



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