表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
一話:とある少女がいきなり現れた時の件
3/122

003

~~バイエル公国・バイエル領事館~~


あれから二日後、三周年宝くじの当選日になった。

僕はその日、パーティの集まりがなかったので宝くじを持ってここに来ていた。

向かった先は、バイエル王宮。

ギリシャ神殿を思わせるような、真っ白な大理石のエリアが広がっていた。

王宮の中も、一般にプレイヤーが入ることができる。

ゲームの設定では、バイエル王は元冒険者だということで冒険者に寛大という話だ。

一応、このゲームのプレイヤーは冒険者ということになっているが。

そんなバイエル王宮の城前には、人だかりが出来ていた。


(さてと……こっちか)

「リーダー、こんにちは」

気づいたのはロート、小さい体を目一杯伸ばして僕に向けて手を振ってきた。

一生懸命アピールしてくるロートに、気づかないわけにはいかない。


「ロートか、どうした?」

「えへへっ、宝くじが気になって」

「そうだな、五等でもお金とかもらえるし。くじは何枚あるんだ?」

「二十枚くらいかな、クエストとかやらなかったから。ブラウは?」

「六枚、野良でバトルフィールド戦もしなかったし」

「ふーん、少ないね」

「やっぱり出やすいクエストとか、やらないといけないし。

まあ、あくまで三周年のおまけイベントだから」

「そうだな、当たったことないけど」

ロートと会話をしていると、僕たちは掲示板を見ていた。

そのまま僕とロートは、アイテム欄にある宝くじの当選番号を見ていた。

一枚目、二枚目……最後の一枚まで確認していた。


「う~ん、ハズレ」

「早いな、ロート」

「うん、大体わかるから。ブラウは?」

「最後の一枚、あれ?」

「どうしたの?」

僕はアイテム欄の宝くじの番号と特等の番号を、何度も見返していた。

一桁一桁慎重に何度も見ていた。固まって言葉が少なくなった。


「まさか……」

「ブラウ?」

「あたっていないか、特等」

「ええっ、見せて。パーティ組んで、オープンにして」

ロートとすぐにパーティを組んで、アイテム欄から僕の宝くじの番号を確認した。

そして、隣でロートが見るなり驚いた顔に変わった。


「あたっているよ、すごい。特等」

ロートの言葉に、僕は全てを理解した。

僕はこの日、生まれて初めて宝くじに当たった。

それはリアルではなく、ネットゲームの三周年記念の宝くじ。

だけど、嬉しさというより驚きしかない。


「特等は何がもらえるんだろ……お金一億ゴルダ、それからSランク装備一つに、永久パスポート。

他には、選べる高級素材が三つ。それから特別特典……か。すごいね」

「うん」

僕は未だに、特等が当たったことを信じられないでいた。

ロートの会話を、虚ろな顔で聞いていたのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ