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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
二話:とある少女が競売所で悩む件
19/122

019

奥に突入した雪原。

僕たちの大きさより、三回りはあろうかという真っ白な雪男(キングキングイエティ)

僕らを見ては、大きく叫んでいた。

明らかに友好的ではない対応で、両手を突き上げて来た。

ゲルプがキングイエティの前に仁王立ち。


「攻撃を受け止めます」

「お願い」

ゲルプに合わせるのは苦手ではないようだ、前の時もそうだ。

ロゼは戦術の理解が早い。頭の回転が早くて助かる。

それに合わせてキングイエティが、拳を構えた。ゲルプを攻撃しようとしていた。


大きなカイトシールドで、キングイエティの大きな右手の攻撃を受け止めたゲルプ。

しかし、ゲルプの体があっという間に吹き飛ばされた。

クリティカルで、ゲルプが一撃死。死んだ瞬間、ゲルプがクリスタルになった。


「いやあっ!」断末魔の叫び声のゲルプ

「ゲルプッ!」叫んだオランジュ。

「しょうがないわね」

ゲイボルクを構えたロゼはゲルプの後ろから、飛び上がって巨大な槍を構えた。


「くらえっ!『ダークディスティニー』!」

ロゼの声と同時にゲイボルグの槍が無数に見えた。

まるで槍先が分裂したかのように、その槍が巨大なキングイエティの体を貫く。


「じゃあ、僕たちも……」

「マジかよ」

僕より前に走り出したオランジュが、攻撃をしようとして驚く。


キングイエティがロゼの攻撃を食らって、目つきが変わった。

そこには真っ白な狼が一気に湧いていた。


「これって……」

「すぐに覚醒かよ」

「体力が減っているから、あっという間に狼が最後の八匹まで湧いているな」

「ってことは……マジか」

「これで終わりよっ!『カオスストライク』っ!」

オランジュが言っているそばで、ロゼがさらに槍を構えた。

体力の減ったキングイエティに、攻撃を加えていた。

そして、白い狼が僕たちの周りから消えていった。


「もう倒したわよ」

そう言いながらロゼはあっという間に、キングイエティを倒していた。

それと同時に、キングイエティのいた場所には宝箱が出てきた。


「よし、ロゼ。開けるなよ。開けるのはロートの役目だ」

「わかっているわよ、細かい男ね」

ロゼは不満そうな顔で、僕の横でロートの仕事ぶりを見ていた。

ロートはさっきの射手から、すぐに反転能力(レヴェラッソ)で『盗賊』にチェンジ。


「さて、いいのが出る様に祈ってよ」

「そうだな、任せたロート」

「任せて、リーダー」

僕はそう声をかけると、ロートはゆっくりと宝箱を開けた。

宝箱を開ける瞬間に、ゲルプさんがクリスタルから生き返った。

バトルフィールドでは戦闘後に宝箱を開けると、クリスタル状態の人間は復活する。


「復活ですぅ」

ゲルプは重厚な鎧を着ながら蘇った。


「なにがでるかな、なにがでるかな……」

そして、出てきた戦利品を確認してオランジュが一言。


「出たぞっ!」

「さすがロートのレアアイテムアップ、『ブラックダイヤモンド』」

「本当に出てきたわね、すごいっ!」

オランジュは歓声を上げて、僕は褒めて、ロゼも驚いていた。


「うん、出たね。じゃあリーダー」

「ありがと~ロート、みんな」

かくして僕は、『ブラックダイヤモンド』を手に入れた。

僕の隣では、ちょっとだけロゼが嬉しそうな顔を見せていた。


「へえ~、なかなかいい感じじゃない」

「そうだな、これが僕たちの小黒鷲旅団(パーティ)だ」

ロゼは勝利に喜ぶ僕たちを見て、やはり羨ましそうな顔を見せていた。

そんなパーティを見ながら、僕は手に黒い結晶を見ていた。



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