018
~~サタルカンド共和国・アンドレア氷河~~
サタルカンド共和国、北は雪国で南は島国だ。
北の雪国で、吹雪がすごいアンドレア氷河。
この寒そうなエリアは、サタルカンド最北のエリア。
アンドレア氷河には、巨大な氷の巨人がうろついていた。
いかにも寒そうな雪のエリアを、僕たち五人で走っていく。
リアルではないので寒さはないが、かなり寒そうだ。
雪の上の足跡が、すぐに吹雪で消えていく。
ロゼを加えた、僕ら小黒鷲旅団の初バトル。
ゲルプは騎士で鎧を身にまとい、ロートは射手で弓を背負う。
オランジュは派手なスーツではなく、真っ黒なローブ。
もちろんロゼは真っ黒な鎧、ただし少し雪山では寒そうな肌が露出している鎧だが。
「目的はあくまで『キングイエティ』、最奥に居るやつだ。
成功すれば一個一億のブラックダイヤモンド」
「そうだね、一億なら家買えるし」とオランジュ。
「ひっどーい、オランジュ」ロートが蒸し返されて、嘆く。
「まあ、それだけでないんだろ。ケルベロス装備の素材ぐらいに」
オランジュの言葉に、ちらりと見るロゼ。
真っ黒な鎧のケルベロス装備は、確かにどこか妖艶な格好でもあった。
「あら、全部揃えるのには根気いるわよ」
「まあ、俺には縁がない話だな」
「そう決め付けるのは早いわよ。結局は根気だけだから」
「どうやら着きましたよぉ」
ゲルプが言うと、奥の方に雪原が見えた。そこには巨大な白い毛皮が見えた。
いや、それは毛皮じゃなくて毛皮をまとった巨人『キングイエティ』が奥に見える。
「雑魚は僕がねかせるから、みんなは攻撃に専念して。
今回はリンドブルムと違って、数も少ないし」
「雑魚なんて相手にするの?」
ロゼがそこで僕に聞いてきた。
「まあ、雑魚は沸くからね。今の敵は、ほとんどペット持ちが多いし」
「それでもボスを倒せば終わりじゃないの?」
「まあ、そうなんだけどね。
パーティ戦闘だと、ペットも相手にしないで本体を倒すことはありえないから」
「そんな必要は多分ないと思う、あたしは一人で倒したこともあるし」
ロゼの言葉に、ロートとゲルプは驚いていた。
「本当なの、ロゼさん?」
「ええ、やり方さえ間違えなければキングイエティなんて一瞬よ」
「確かにケルベロス装備一式持っているのは、サーバー広しといえど、ロゼぐらいだ」
オランジュは半分苦笑いをしていた。
「まあ、あたしに任せて」胸を張ったロゼ。
「そうはいかない。このパーティは僕だ、僕に従ってもらうよ」
僕の言葉に、ロゼは不満そうな顔を見せていた。
「だって、あたしは強いし……」
「それはわかる。だけどパーティリーダーは僕だ」
「……わかったわ」
僕の言葉に、しぶしぶロゼが納得してくれた。
ロゼは文句言うけど、意外と素直だな。
「よしじゃあ、行こうか。
先頭は騎士のゲルプ、攻撃を受け止めたらロゼが行く」
「了解ですぅ~」
緊張感のない言葉で、ゲルプが返してきた。
ロゼは、ゲルプの動きを見ながら後ろに付けて走っていく。
パーティ戦では騎士が先頭なのは常識だ。かくして戦いは始まった。




