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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十二話:とある少女がネトゲをやりまくった件
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~~キュベリオン・トウガキ山脈~~


この山脈は、とても険しい山々が連なっていた。

連なる山々が、高くそびえ立つ。


かつてリンドブルムが、強敵として住み着いたエリアだ。

僕ら小黒鷲旅団のメンバーとして、リンドブルムの革を取りに来ていた。


なんといってもここには、新しいドラゴンが住んでいた。

この前のバージョンアップで、追加された新種だ。

僕ら五人パーティで、そのドラゴン討伐のクエストに挑んでいた。


「この先に、バハムートがいる」

「やばい、バハムートって五人でやれるのか?」

といつもどおりのゴールドスーツのオランジュ。

今日は久しぶりにログインできたようなので、最新のクエストをやっていた。

引退はいいのか、と思えるがあまり気にしないでおこう。


「バハムート?」ロートが聞き返す。

「ドラゴンの王様だって、リンドブルムより強いですよぉ」

ゲルプはおっとりとした口調でロートに教えていた。


「そう、新生小黒鷲旅団の開幕だ」

「ねえ、お兄ちゃん。ずっと疑問に思っていたんだけど」

「ロゼ?ここではリーダーな」

「なんかいいにくい、お兄ちゃんでいい?」

「じゃあ、ロートもお兄ちゃんって呼ぶ」

なぜかロートも、ロゼの「お兄ちゃん」呼びに参加してきた。


「だめよ、あたしのお兄ちゃんだから」

「ロートも呼びたい」

「しょうがないわね」

「やった、ブラウお兄ちゃん」

「だから、ロゼ。ここでは、リアルは持ち込むな。

ここはマジック・クロニクルの世界『モルゲンロート』なんだから」

「むう」膨れたロゼ。ロゼに合わせるように頬を膨らましたロート。

ロートがやると、小人系のアバターなのか可愛いな。


「でも、こうやってパーティを組むの、楽しいわね」

「そうだな、みんな僕らの家族だから」

「そうね、お兄ちゃんは家族をいっぱい持っていてずるいわ」

「いいだろ、ロゼも家族だから」

「うん」ロゼは、僕たちに飛び切りの笑顔を見せてくれた。

そんなロゼが、急に僕に近づいてきた。


「ねえ、お兄ちゃん」小声のロゼ。

「どうした?」

「あのさ……結婚式の続き」

「そういえば、そうだったな。じゃあ今度やるか。

運営に頼めば、結婚式の段取りできるだろ」

ロゼが連れ去られて、僕らの結婚式は中断していた。


「ちがうのっ!」

「何が違うんだ?」

「あのキスができなくて、あたしの唇が寂しいの。

ほら、あの時のあたしはアバター・インターフェイスだったでしょ。

アバター化していたから、本物のキスなの」

「ええっ、つまりそれは」

僕が言おうとすると、ロゼ……じゃなく同じ部屋で後ろのパソコンに向き合っている真衣が顔を赤くしていた。

僕も背中を合わせて顔を赤くしていた。恥ずかしいので、ゲームのチャットで書いていた。


「うん」

「ありが……ロート」

僕とロゼの間に、いつの間にかロートがいた。


「なに、それって新しい遊び?」

「ちょ、ちょっと違うでしょ!」

ロゼが否定し、僕は視線を前に向けた。

だけど僕とロゼを微笑ましく見るゲルプ、それからからかうオランジュ。


「二人共、そろそろバハムート戦」

「なんだ、もう着いたのか。からかいがいがないな」

「ね~、お似合いですぅ」ゲルプとオランジュは、前を見ていた。

それは一つの山道の頂きにつづく道。

山頂の道の先には、いかにもボスがいそうな頂きが見えた。


「しょうがないな、行くか」

「だね、新しい敵が待っているよ」ロートが興奮しているみたいだ。

「行こう、僕らの戦いへ」

僕たちは、バハムートの待っている頂きへと走りだした。



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