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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十一話: とある少女がネトゲで結婚をする件
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結婚式は、エリゴスの前で順調に行われた。

橋を背に行う結婚式は、みんなに見られながら続いていく。

エリアの式場は、ずっと晴天だ。雨も降らないし、夜にもならない。

ここの時間は特別なのだろう。


一応これは、ロゼを助けることだ。

エリゴスは聖書を持ちながら、僕とロゼを見ていた。

「汝、ブラウはロゼを生涯愛することを誓いますか?」

「ち、誓います」ちょっと緊張して声がたどたどしい。

周りの参列者からは失笑のような笑いが聞こえてきた。

ロゼは、恥ずかしいのか顔を赤らめた。


「もう、お兄ちゃんたら」

「ではロゼ、汝はブラウを生涯愛することを誓いますか?」

「誓いますっ」ロゼはきっぱりと言い放った。

「よろしい、では指輪を」

そう言いながら、僕とロゼは指輪を取り出した。

さっきエリゴスからもらった指輪だ。


「これはやる必要ないんじゃないのか?」

「いいのよ、雰囲気なんだから」僕の小声に、ロゼが返した。

僕はロゼの左手を優しく握った。

もちろんアバターだが、ロゼは僕の手を感じていただろう。

そのままロゼの薬指に、指輪をはめた。

ロゼも同じように僕の薬指に指輪をはめた。


「では、キスを……」

エリゴスが、僕とロゼにキスを求めてきた。

「いよいよだ」小さく僕はパソコン画面で呼吸した。

「うん」ロゼも僕も一気に緊張が走る。

結婚式の全ては、キスが目的だ。


「お兄ちゃん」顔が赤いロゼが不意に言ってきた。

「どうした?」

「あのね、キスしたら話したいことがあるの」

「話したいことって?」

「それを話したら、キスできなくなるかもだから……ね」

ロゼが可愛く笑ってみせた。ロゼの感情はアバターでも豊かだ。

そして、僕のパソコン画面にはキスのモーションが見えた。

このモーションは結婚式でしかできないモーションだ。


「キスモーションが出た」

「彼女の魂にキスをできるのは君だけだ。

血のつながっている君にしかできない」

目の前のエリゴスが小さな声で言ってきた、僕は息を呑んだ。


いつの間にかロゼが目をつぶっていた。

女はこういう時は覚悟を決めるのが早い。

早くして欲しい、そんな空気を出してきたロゼ。


「うん」

彼女の顔に、小声で言った。

僕は大きく深呼吸をして、ロゼの唇に顔を近づけた。

ロゼの顔が大きくなる、だけど急にロゼが消えた。


「消えた?」

「そう、消したの」

そこにはゴモリがいきなり現れた。

ゴモリの隣には、力なくうなだれたロゼだ。

それと同時に、エリゴスが険しい顔に変わっていた。



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