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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十一話: とある少女がネトゲで結婚をする件
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僕らが走り回った三時間、運営に結婚式を頼めば終わりではない。

何より、いろんなことがあった。

三時間走り回って疲れた僕とロゼは、ようやく自分の家に戻ってきた。


結婚式のやることは様々だ。

それはリアルでもゲーム内でも変わらないだろう。

まあ、規模が小さいだけにネットの方がやりやすい。


招待状の作成メールと、衣装合わせ。

指輪は運営から用意されていた。

僕の衣装を買うのに、ロゼといってかなり苦労したが。

そんな僕らは、準備を終えて結婚式の支度を始めていた。

急な結婚だけど、メールで呼びかけたら意外とくるものだ。


「お兄ちゃん、これでいいでしょ」

そして、僕は真っ白なタキシードを着ていた。

ちゃんとした衣装を着ると、緊張感が増すな。

シュバルツから買ったドレスを着たロゼが、僕のタキシードの襟を正す。


「ロゼも可愛いな」

「ありがと」ロゼは僕に言われて照れていた。

シュバルツから買ったピンク色のドレスを着ていた。

髪も綺麗に飾られて、ロゼが本当にかわいかった。


「でも、それだけ?」

「ああ、すごく似合っている」

「むーっ、結構時間……かからなかったけど。あたしの夢なのよ」

「そっか」僕が言うと、ロゼがそっぽ向いた。

そんな僕は、単純にロゼに質問をした。


「これって、本当はいいのか?」

「何がだよ?」

「結婚式をまさかやるとは」

「ねえ、お兄ちゃんはあたしとじゃ……イヤ?」

「ロゼ……どうだろうな。本当は兄妹じゃあ結婚できないし」

「そうよね」

なんだかロゼは照れていた。

僕もロゼが照れると照れてしまう。


「お兄ちゃんは、あたしのことが好き?」

「あくまでこれはロゼのため、アバター・インターフェイスの呪いを解くためだ」

「でも、結婚式は夢なのっ!女の子の憧れなんだから」

ロゼの瞳が輝いて見えた。でもそんな僕が、ロゼをじっと見ていた。


「誰のだ?」

「あたしに決まっているじゃないっ!」

ドレスを着たロゼは胸を張っていた。

髪をなびかせて、部屋の窓から外を見ていた。


「もうすぐ迎えくるんでしょ」

「そうだな、運営の方で来るみたいだ。

なんいうか、リアルの結婚ってどうなんだろう?」

「少なくともあたしの家族は……幸せだったわ」

「ロゼ……記憶が戻った?」

「ちょっとね、ママが言っていたの。だけど……裏切った」

ロゼの言葉に、僕は思う節があった。

父は二回結婚し、離婚している。そこに僕はついて行くしかなかった。

幼くて力がなかったから。

あの時、もっと大きければ僕は守れたのかもしれない。

今ここにいるロゼも、祐里奈のことも。


「そう考えると僕も同罪……だよな」

僕の父はロゼの母を裏切った。一応僕の母親でもあるが。

そんな僕は母を知らない、ロゼは僕の父を見たが話すことができない。


「結婚って家族ができるんだよな」

「一人が二人になって……」

「三人になって四人になって」

「離婚」

「ロゼっ」いたずらっぽく言うロゼを突っ込んだ。

ロゼが緊張をほぐすためにあえて言ったのだろうか。


「そんな家族でも……あたしはずっと夢を持っている」

「夢?」

「お兄ちゃんが失っても、あたしが持っているもの」

その言葉を聞いて、僕は胸が痛くなった。

ロゼは今でも輝いている、僕なんかよりもずっとまえを向いていた。

ロゼは強いんだ。いや真壁 真衣は、僕が思っているよりよっぽど強いのかもしれない。


「だからあたしは……」

「そろそろ、はじめましょうか」

そう言いながら出てきたのが、エリゴスだった。

エリゴスは、どこからどう見ても神父に見えた。

神父のエリゴスは、手に二つの指輪をもっていた。



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