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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十一話: とある少女がネトゲで結婚をする件
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~~バイエル公国・小黒鷲旅団家~~


ゲーム内の僕の部屋は、広い。

リアルとは大違いで、ベッドや本棚もあった。

こうして見ると、リアルよりもゲームの世界の方がよほど豊かだ。

なにせ僕はこの世界だと、宝くじの特等を当てた幸運の持ち主ということだから。


僕がゲームに入り、ブラウになった。

ゲームに入るとロゼは姿を現す。しかし、その顔は浮かなかった。


「さて、ロゼ……」

「うん」

「というわけで結婚式の申し込みをしてきた」

「本当にするのね」

僕が話すと、ロゼは恥じらった顔を見せた。

さっきから顔がずっと赤い。


「キスモーションだけなら、結婚式開かなくてもいいと思うわけだが」

「そういうシュチュレーションでしかできない仕様なのよ、仕方ないでしょ」

「仕方ないって……」僕が突っ込むけど、ロゼはそっぽを向く。


「あの男を信じるの、あの女も?」

「わからない、だけど……」

「だけど?」

「ロゼ……真衣が戻らないのは嫌だ」

「あたしだって……いやよ」

ロゼは照れてしまった、僕も柄にもない事を言って視線を逸らす。

「でも人前でキスをするのは僕よりも、あたしがずっと恥ずかしいのよ。

アバター・インターフェイスは、アバターを実際に感じるの」

「わかっているさ、優しくする」

「うん、分かればいいの」ロゼは顔がずっと赤い。

僕のアバターの顔は、モーションとして照れるのはあるけどアバターが赤くなるのはない。


「でも、ゴモリのクエストはいいの?」

「今のところ配信はないようだ。それに……」

「それに?」

「結婚式の後、僕は仙台に行くことにした」

「場所はわかるの?お金は?」

「前回で病院が出てきた、その前は中学校だ。この二つは大きなヒントだ。

公共機関だけに、場所の絞り込むはある程度できるし何より……」

「佐藤先生……エリゴスに聞けるのね」

ロゼの言葉に僕は頷いた。佐藤先生はエリゴスだった。

エリゴスはロゼの保護に動く。あの話の後、保護する役目を僕は志願した。

佐藤先生は、それを了承してくれた。


「眠り姫が起きたとき、誰もそばにいないと寂しいだろ」

「うん」ロゼが照れているようだ。

どうやらキスをするので興奮しているようだ。

僕の顔を見るなり、顔が真っ赤になった。


「ロゼはキスが初めてか?」

「な、な、何言っているの?初めてなわけないじゃないっ!」

わかりやすいリアクションだ、初めてだ。


「一応キスって言っても、僕のアバターとするわけだから」

「あたしには感覚があるのよっ。だいたい兄妹で結婚って、おかしいじゃない!

近親相姦じゃないの?」

「結婚だけなら近親相姦は関係ないだろ、それにリアルでは結婚できないけどネットでは問題ない」

「そりゃあ、そうだけど……」

ロゼなりのリアルでの結婚観があるようだ、女だし当然か。


「お兄ちゃんは、好きな人いるの?」

「ああ、いるよ」

「えっ、誰々?」

「そりゃあ、家族だよ。小黒鷲旅団のメンバー」

僕の言葉に、呆れた顔を見せたロゼ。


「それ、ズルい」

「ズルくない、僕は本当に好きなんだ。

リアルにない家族、僕の居場所。でも、この居場所のおかげで知ったこともある」

「なんなのよ?」ややぶっきらぼうに聞いてきたロゼ。


「リアルも、捨てたもんじゃないってこと。

この家族、小黒鷲旅団が僕に教えてくれた」

「そっか」ロゼはニヤニヤと笑っていた。

さっきからロゼの顔がめまぐるしく変わるな。


「まあ、結婚式なんてなかなか経験できないからな」

「そうね……二度とできないかもしれないし」

「縁起でもないこと言うなよ。ロゼ、お前はリアルに戻って幸せになれよ」

「お兄ちゃん」

ロゼと僕は互いに見つめ合った。

じっくり顔を見るとロゼがしおらしく、か弱く見えてしまう。

とてもいい雰囲気だ、自然と僕とロゼの顔が重なった。


「早速やっているのか」

突然、僕の部屋のドアが空いた。

そして、そこには意外な人物がやってきた。しかもそれは二人組だった。



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