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短編集

音の鳴る方向

自分に酔っていた。

そう思う私は今現在進行形にて酒をあおっているってどうなのさ。蒼く白い街路樹、ポツリとある小さな喫茶店へビクビクと単身赴任で入る世界。


過去に怒られて出禁を食らった身としては内心、とても肩身の狭い行動。

何も考えたくないのに歌詞が心を揺さぶってくるのが心底居心地悪い。


なんで入ったんだろと思える時すでに遅しである。不安が不安を煽るようなテレビと音楽じゃ心やるせないじゃない?とてつもなく酔った気分に流れてゆく状況をなんとか食い止めたくなる逆境感。


ただ無心に走ることにすら許されない感情では窓際に居ることでさえ、メッセージのないビープ音を黙りながら固唾を呑んで見守るしかない。


涙を流したくない人間だっていたっていいだろう。常に逃げるようにしていたのだけれども、感情を出せなくなってしまったロボットに私はなりたかったんだろう。


茜色の青空を坂を登って見ているだけのあの感情だろうか。

雑音は雑音でしか掻き消せられない状況に何を言ったって届くわけがないだろう。届けてやるなんて決して言わない。何かをしてやって変わる人間はいづれ変われる人間だと悟ったから、どうしようもない人間だけでいい。


誰も知らない青年が現れる。水滴に葡萄の種が滴っているのをひたすら待つ。青と白と赤のバスがこちらに向かってくる。紫陽花を過ぎて私はバスへと乗る。

基本はこれだけだ。毎日、毎日がその繰り返し。貝の炎が滑らかに輝いている。


見向きもされないようなものを手に取って不思議が不思議を呼ぶような回想を私はしてみたかったのだ。

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