「白い箱」
この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切関係ありません。
第1幕「白い箱」
私は、ごく普通の、平々凡々の女子中学生だ。
そんな私が道端で見つけた不思議なチラシ。そこには、
『ゲーム参加者募集中。ゲームクリアで賞金一億円が手に入ります。 老若男女は問いません。』と書かれていた。
私は賞金一億円に文字通り目が眩んだ。
私はすぐに手続きを済ませ、両親には内緒で、1週間後にそのゲームに参加することにになった。
1週間後、私はチラシに書かれていた場所まで行った。
しかしそこには白い箱のような建物しか建っていない。しかたなく、その建物の入口まで行くと、10人ほどの集団がいた。子供から大人まで、年齢はばらばらのようだ。
集団にいた1人の青年が私に話しかけてきた。
「君も、参加者の子?」と優しく尋ねられた。私は、「はい、そうです。」と控えめに応えた。すると青年は、集団に向かい、
「これで全員揃ったんじゃない?全員で12人って言ってたし。」と言う。するとさきほどまで集団の中にいた少年が言う。
「じゃあ、自己紹介でもしない?」少年は続けて、
「僕は、桜木隼人。小学校6年生です。」と自己紹介をした。続いてさきほどの青年が、
「俺は、広瀬幸宏。ファッションコーディネーターやってます。」そういえば、外見もおしゃれでいかにもそんな感じだ。
広瀬幸宏が自己紹介をしたあと、皆抵抗があるのか知らないが誰も自己紹介をしようとしないので私が、「朝倉陽菜です。中学2年生です。」と言うと、1人の女の子が小さな声で、
「...しゃしゃりかよ。」と呟いた。私はその子に嫌悪感を覚えた。
次にその子が自己紹介をする。
「太田理央です! 中学2年生です!」元気よく自己紹介をしたその子は同い年だった。
続いて、若々しい男性が自己紹介をする。
「藤木明だ。美容師やってる。」意外にも渋かったその声と、無愛想な喋り方に一同は驚く。そして1人の女性が尋ねる。
「失礼ですが、おいくつですか? あ、私、花村千尋と申します。記者やってます。」藤木明が無愛想に答える。
「38だけど。そんなん聞いて何になるんだ。」意外性は年にも響くようだ。どう見ても20代後半ぐらいにしか見えない。花村千尋は意表をつかれたように言う。
「そ、そうなんですか。とてもお若く見えましたから...。」藤木は「あ、そう。」と言うと、それきり黙ってしまった。会話が終わってしまい、どうしよう。と思っていると1人の女性が自己紹介をしてくれた。
「わ、私は佐久間美月。高1です。」佐久間美月が自己紹介をしてくれたおかげで、なんとか自己紹介を続けることができた。男性が控えめに自己紹介をする。
「秋山浩史...です。」その人の顔は青白くやつれていて、その目にはくまがあり、常に斜め下を向いている。人と会話をするのが苦手なのが見て取れる。
秋山浩史が自己紹介をしたあと、少し間があったが、女性が自己紹介をする。
「アタシは、日比野美咲。現役で自衛隊員やってる。」勝気な感じのポニーテール、服装。いかにも自衛隊員らしい。
続いて、若い女性が自己紹介をする。
「高木彩です。社会人3年生です。」スーツにヒール。社会人らしさがにじみ出ている。
高木彩が、自己紹介を終えるとまた静まり返ってしまった。すると、広瀬が見かねたのか、
「皆どうしちゃったんですか黙り込んじゃって。ほら、あとお二人しかいませんよ。」と言い、自己紹介をしていない2人を急かす。
1人の女性が舌打ちをして自己紹介を始める。
「私は、阿部愛梨。元アイドルよ。」とぶっきらぼうに言い終えるとタバコを吸い始める。
たしか、昔そんな名前のアイドルがいたような気がする。
そして最後の1人が自己紹介をする。
「神崎誠。落ちぶれた作家だ。」神崎誠、昔有名だった小説家だ。恋愛小説で有名だった。
私も小学校の頃はよく読んでいて、この人のファンだった。今は、滅多に名前を見なくなってしまったが。 これで全員の自己紹介が終わる。
私利私欲を抱えた12人は、白い箱の中でこれから何を思うのだろうか。
まだ、だつたない表現など多いと思いますが、なにとぞよろしくお願いします。