14.乙女達の作戦会議
良くも悪くも、メリンダ・カヴァサーニは嘘が吐けない人物のようだった。
「あれはバックにさらに誰かいるわね。黒幕的な」
思わず呟いた言葉をマーサに拾われる。
「あら、何を企んでいるのかもう分かりましたの?さすがリチェ様」
「そこまでは分からないんだけど……挙動不審なのよ、明らかに」
優しい言葉なんかかけようものなら、即座に目を逸らされる。罪悪感いっぱいです、ごめんなさい、みたいな。
最近はちょっとそれが快感になってきて、メリンダに優しくするのがマイブームだ。……あらやだ、変な趣味に目覚めたかしら。
「まぁ、もう少し様子を見ないとね」
「リチェ様ったら、何甘いことおっしゃってるんですか。害があるようなら即刻排除しましょう」
そう言ってマーサは楽しそうに拷問器具の名前を並べ立てていく。相変わらず中々過激だ。
普段楚々としているが、なんだかんだ言ってマーサは私の侍女だ。それなりに腕っぷしが強い。
「でもそう簡単にはいかないと思うわ。メリンダ、あんなんでも相当強いわよ。女傑メリンダ・カヴァサーニの名も伊達じゃないってことね」
普段から見ていれば、動作の隙の無さがよく分かる。
「普通に出会ってたら、いい友人になれそうなのに残念」
これは心からそう思う。
嘘が吐けないというのは実直だということだし、なんだかんだ言って普段の凛とした姿とハキハキした受け答えは、凛々しくも好ましい。
「それに、美人だしね」
「それは関係ないのでは」
「どうせなら目の保養になった方がいいじゃない。ケイト」
真剣にお茶の用意をしているケイトを呼ぶ。
ケイトの手元は非常に危なっかしかった。まだお茶の淹れ方はマーサの合格をもらっていないらしい。
「はーい……」
答える声も上の空だ。
「悪いけどお茶をもう一つ淹れてくれる?」
普段から私とマーサ、ケイトだけの時は、無礼講ということで全員でお茶を楽しんでいる。この時ばかりは、マーサもケイトの言葉遣いに目を瞑っていた。
今日はそこにもう一人客人を迎えることにする。
「マーサ、メリンダを呼んで」
メリンダは扉のすぐ向こうに控えているはずだ。
「あら。リチェ様の〝洗礼〟ですか」
「懐かしいでしょう?昔よくやったわよね」
思わずふふっと笑いが漏れる。
まだ幼かった頃、新入りの存在が珍しく興味津々だった私は、古参の者達や友人を呼んで新人を囲みながらお茶会をするという遊びにはまっていた。
国の重鎮や位の高い貴族に囲まれた新人にとっては、迷惑極まりない行為だっただろう。粗相をしてはならないと冷や汗ものだ。
「少し人数が少ないのは寂しいけどね。まぁ即席お茶会ということで」
「かしこまりました」
久々の洗礼にマーサも浮き足立っているようだ。心なしか足取りが軽い。
マーサが何げにSだということは昔から知っているが、少しメリンダが気の毒になった。




