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不義姫  作者: 折紙
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1.母の告白

「貴女は不義の子です」

 三歳の誕生日、母に突然言われた。三歳になったばかりの娘に対し、少しばかり難しい言葉だったのではないかと思える。

 母は所謂公爵令嬢というもので、その中でも王家と深い関わりのある家の出身だった。生まれた時にはすでに婚約者が決められており、礼儀作法を厳しく躾られたようだ。

 婚約者はもちろん当時はまだ王子だった父で、次期国王と大貴族の娘というこれ以上ないほどにいい縁談であったことに間違いない。

 だけど一体何があったことやら。

 母の言葉によると、私は父の子供ではないらしい。

 だがしかし、まだ物心もつかぬ我が子に、母は声高々に宣言した。

「ですが、貴女のことは立派に王女として育てます。そうして報いることが、私が陛下へできる唯一の義理立てです」

 そう思うなら初めから不義理を働かなければいいのに、と思ったかどうかは、当時の私のみぞ知る。

「いいですか。貴女は完璧かつスマートに、いつも陛下をお助けするのですよ」

 そう言っていた母は、十歳の時に亡くなった。

 私はというと、母の言う通りそれはそれは立派に成長した。

 だけど母様、貴女の育て方は少々おかしかったのではないでしょうか?

 王女としての礼儀作法は完璧。頭だって悪くない。だが、一つだけ立派に成長し過ぎてしまったものがある。それは、異常なまでの身体能力。

 父を暗殺しようとナイフが飛んでくれば指二本で簡単にキャッチし、誘拐されれば自分で脱走して誘拐犯を捕縛する。城内での近道は天井裏で、上の階に行く際面倒な時は、窓から出て城壁をよじ登る技も身につけた。

 喧嘩上等。好きな言葉は仁義。守るべきは義理人情。

 ねぇ母様、これって巷で噂の、言ってることが悪だか善だかよく分からない、ヤクザとかいう団体さんの話ですか?

 こてこてのお嬢様育ちで一般常識に欠けていた母は、どうやら娘の育て方の方向性をいまいち理解していなかったようだ。

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