大きな壁
どもです。
一応傭兵編は中盤の為の伏線なので(だといいなぁ)ちゃちゃっと終わらしてしまいます。書くのが面倒だったわけではないです。
時々、展開が飛ぶので気をつけて。
「もう、一ヶ月か・・・」
何となしにもれた独り言。しかし、その言葉には色々な思いがこめられていた。
あの、トートの森でシャリオ傭兵団が結成してから一ヶ月がたっていた。
ちなみに、この世界には『ギルド』が存在している。
魔物の討伐や、物資収集等の仕事の仲介所だ。
仕事量や仕事の質でランク分けされており、下から、E、D、C、B、A、Sと分けられている。
ランクCでベテランの域。ランクSは世界に12人しかいないらしい。
俺たちはギルドで正式にシャリオ傭兵団として登録し、仕事をして一ヶ月でランクCの仲間入りを果たした。
ちなみに、ギルドはトートの森から1キロいったところのカヤという街にあった。
俺たちもここを拠点に活動している。
最初の方こそ、主に金銭面で大変だったが、俺の(地獄のような)特訓により着実に力をつけ軌道に乗った今ではほとんど困ることはない。
それに皆ともだいぶ打ち解けてきた。
「はやいもんですね・・・」
「カインか・・・」
どうやら聞こえていたらしい。
「イーシュたちは?」
「今さっき仕事に出て行きましたよ」
「そうか」
「ええ、頭には感謝してます。まさか、一ヶ月でランクCまでいくとは思ってませんでしたよ」
「俺的には、おまえ等の成長スピードに驚いてるよ」
「まだまだ、頭には程遠いですけどね・・・それに、それをいうなら頭がまだ16っていうことに驚きましたよ?」
「そうか?・・・しかし、一番驚いたのはトールが酒を飲んだ時かな」
「ああ、あれはたしかに」
「だよなぁ、まさか無口なあいつが酒を飲んだとたんおしゃべりになるんだもんな」
ついつい、世間話に花を咲かせてしまった。
「・・・で、なんのようだ?」
「ええ、それがですね頭」
「今までスルーしてたが頭は決定か?」
「え?ああ、もちろんですよ?」
なに言ってんだ、こいつ?みたいな顔で見られてしまった。
「それでですね頭、俺たちにどうやら名指しの依頼がきているようなんです」
「良かったじゃないか。そうそう名指しなんてないんだろ?」
「ええ・・・問題は内容なんです」
「どういうことだ?」
カインは側にあった机に依頼書を置く。
「これは・・・」
そこにあったのは『悪竜・ドゥードゥラ』討伐の依頼書だった。
悪竜・ドゥードゥラ
この街から3日程いったところにあるラテオ火山に棲む、竜型の魔物だ。
火山から移動することはないものの、これまで幾度もギルドの派遣した者を返り討ちにしてきた、強者だ。
討伐ランクはBでも上級。つまりほぼAランクだ。
間違っても、最近ランクCになった傭兵団に来る仕事ではない。
なにか、裏があるのか・・・
「どうしますか・・・?」
「・・・頃合いか」
「え?・・・」
「イーシュたちは、どのくらいで帰る?」
「・・・明日にはかえって来るとは思いますが・・・まさか・・・?」
「ああ、この依頼、受けよう」
―――――――――――――――――――――
翌日、イーシュたちが帰ってきたのを確認し、話を持ち出した。
「ドゥードゥラ!?・・・いやいや、冗談キツいっすよ、頭・・・」
「・・・冗談、ではなさそうだ」
「あ、あわわわわ」
「・・・・・・」
イーシュは黙っていたが、他の三人は汗をにじませていた。
「急だとは思う、すまない」
「なにか、考えが?」
イーシュが質問を投げかけてくる。
「俺は以前、ずっとここにはいられない、といっただろう?」
「ええ・・・まさか、いまが・・・?」
「ああ、頃合いだと思う・・・すまない」
「謝らないで下さい・・・元はあそこで死んでいた命を拾っていただいた身、感謝しています」
「ああ、おれっちたちもだ」
「「「「感謝します」」」」
「ふ・・・ああ、こちらこそ」
「へへっ、んじゃぁ出発は明日っすか?頭?」
「ああ、今日のうちに準備しとけ」
「オッケースよ。んじゃ、食いモンかってきます」
「ああ、ありったけな。なにしろ、一週間以上もでるんだ」
「そ、そうですね・・・それじゃボク装備の整備をしてきます」
「ああ、たのむ」
そういって、でていくクジャとコウツール。
「さて、おまえ等も明日に備えてよく疲れをとっておけ」
「ええ、いわれなくても」
「・・・頭こそ」
「それでは、頭、失礼いたします」
「おう」
三人が出て行き、部屋には大和ひとりだけになった。
窓を開け、つきを望む。
紅く光る大きな月だ。
「・・・なぁ、義之」
今は亡き、親友に話しかける。
「俺は、きっと答えをみつけだしてみせるよ・・・だから」
見守っていてくれ、戦友よ―――
~設定~
主人公
玖恩 大和
荒神流殲滅式古戦武術・現継承者
名前は思いつきですが、苗字は意味があります。
断罪神・パーニセル
名前の由来は「パニッシュ(罰する)」から
後は特にないw
次は、戦闘です。