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人鬼  作者: EKAWARI
第三章 水龍族の里編
18/19

14.水龍族の里

ばんははろ、EKAWARIです。

にじファン閉鎖の影響でばたばたしてて遅れましたがおまたせしました、第三章1話水龍族の里です。

翠晶ねえやんがイメージ通り描けたよ、いえい。翠晶ねえやんは清廉な美しさと色香と両方兼ねているイメージであります。

それにしても、具体的な描写は避けていますが、性的なシーンが多い回ですね。まあ、天地風火水の設定に関しては僕が小五の頃考えた設定ほぼそのままなので、ある意味昔から俺が何も変わってないだけみたいなものですが。ではどうぞ。




 ―――――・・・・・・まどろみの中で遙か昔の剣に染みついた記憶を垣間見る。

 浸食するように、共鳴するように、それは現実感をもって迫る。

 まぼろしであって夢でない(げんじつ)であるもの。実際に300年前に起きた過去の出来事。見てきたかのように、聞いてきたかのように、それは男・・・黒髪の人鬼、金斗羅の中で再生された。

 そう、かこを見ている。


 最初に見えたのは睦み合う男女の光景

 まぐわい、子孫を残す。それは人であれ動物であれ人鬼であれ、当然のように行われるいわば本能の一角だ。ただ、男女はどちらも種族が違う種であったのだけれど。

 そうして、一通りが済んだとき、薄暗い寝室で、裸体の女は、人鬼ジンキの男にしなだれかかりながらポツリと言葉を落とした。

天地風火水テンチ フウカスイっていうのはね、人の名前じゃないの」

 言いながら若い茶髪のショートカットの女は、婀娜っぽくしなをつくり、同じく裸体を晒し横たわっている男の胸板を悪戯そうになぞる。

 長い銀の髪をした端正な容姿の男は、そんな女の仕草を肯定も否定もせず、させるがままに好きにさせている。静かな金の瞳。それがなかったら、眠っているのかと誤解してしまいそうなほどに男は自然体で、女の行いをそのままを受け入れていた。

「天地風火水っていうのは、金の腕輪の継承者に受け継がれる呪いの名称であり、号のようなものね。今代天地風火水である母は死にゆく祖母からそれを継承し、そして自分の名を失ったそうだわ」

 女は聞いているのか聞いていないのか定かではない男の様子を気にかけるでもなく、そんなよくわからない話を続けた。

 天地風火水・・・どこかで聞いたような気がする名前だが、はてそれがどこであったのか。傍観者であり観測者であり、この記録を無意識の眠りの海で受けているだけの金斗羅には欠片も思い出せそうになかった。

「腕輪の所有者には巨大な力を与えられる。人知を越えた超常の能力。出来ないことはなく、あり得ないなんてものはない。まさにあなたたちがもつ能力は母のもつ能力の劣化版なのよ」

 そんな言葉をはきながら、女は男の人間とは異なる長い耳に触れる。その形を確認するかのような仕草で、けれど向ける瞳はどこまでも優しく、他にも確かめるように男の体へと手を伸ばす。

「『TENGUプロジェクト』っていうのはね、表向きは望まれるままに人外の巨大な力をもった都合のいい奴隷を生み出すためのプロジェクトだったけど、本当はね、腕輪の能力を分散するために、母が仕込んだ最後の悪あがきだったのよ」

「・・・何故、分散などと?」

 そこではじめて男は口を開き、静かな声でけれども不思議そうにぽつりとそうこぼした。

「腕輪の持ち主は超常の力を手に入れられたのだろう。折角の力を何故弱めようとする」

 そんな男を見ながら、茶髪の女はチェシャ猫のように笑いながら、一つ触れるだけの口づけを銀髪の男に落とした。そして、男の疑問を前に女は語る。

「金の腕輪は所有者に確かに巨大な力を与えたわ。けどね、腕輪は万能の神の玩具などではなく、呪いの兵器(カースト・ウェポン)なのよ。腕輪はね、所有者が不幸であればあるほど、その境遇が悲惨であればあるほど強い力を発揮する。所有者からは生来の名前すら奪い、誰かに継承するまで付かず離れず共にありつづける。そして次世代の天地風火水に継承されたとき、先代は塵となって消え、継承者以外の全ての人間から忘れ去られ、「そんな人間がいた」ことさえ感知されなくなる。どんな巨大で神の如き力が手に入るとしても、そんなものの所有者になりたがるやつなんていやしないわ」

 そう、一息に言い切った。それからくっと、自嘲するようにも心底おかしいようにも見える笑みを浮かべて、女は続けた。

「だからね、腕輪の存在を知るものたちは、腕輪そのものではなく、腕輪の所有者を手に入れるほうを目論んだの。それに腕輪は所有者が不幸であればあるほどに強い効力を発揮し、周囲に富をもたらす。だから、天地風火水を継いでからの母の境遇は奴隷同然の酷いものだったそうよ」

 不幸であればあるほど周囲が富むというのなら、それはなんと酷いシステムなのか。どんな巨大な力を得ても自身の幸せが叶うことがないというのなら、不幸にならないと力を得られないというのなら、それは拷問でしかない。自分のために力を使えないというのなら、一体なんのための力というのだろう。

「誰も所有者になることは望まなかった。それでも次世代の天地風火水の父になろうと、欲望を秘めて集まった数多の男達は代わる代わる母を犯したそうだわ。自分の地位を盤石にするためにね。そうしてその結果に生まれたのがわたしってわけ。ただ男達の誤算といえば、母への輪姦パーティに出席した彼らは、わたしの出生を知る前に全員死亡で闇に葬られたことかしらね」

 関わった男達が死んだ後、産まれた子供は父は不明ながらもそれでも天地風火水の娘として、大人達の群れの中へ1人放り込まれた。道具としてしか見られていなかった天地風火水。そんな母を利用することしか考えていない人々の欲望の中で自分は育ってきたのだと女は言う。

 物心ついて最初に覚えたことは媚びを売ることで、日々の食事や衣服、住処などを得るために男達が悦ぶ所作や仕草も生きるための糧のために覚えた。幼子であろうと、なにもせずして手に入るものはなく、人々の悪意や陰謀、権力や強欲の波の中を自ら立ち回り、泳ぐことでなんとか生き延びてきたのだという。初潮を迎えた頃からは、ときには体さえいとわず駆使して、強欲な男達相手に立ち回り、そうした果てに完全な奴隷の立場に落とされることから逃れ、わずかな自由と生存方法を得たのだと、そう女は語った。

 そんな女の半生を聞いて尚、理解出来ぬとばかりに銀髪の人鬼は、無表情ながらに、眉だけをしかめて言葉をはき出す。

「・・・・・・何故だ、何故オレにそのようなことを告げる」

 そのようなことを聞かされても、己に出来ることなど何もない。生真面目な表情で女の真意を測りかねている男を前に、女はくすりと小さく笑う。

「共犯者になってほしいから」

 まるで愛を囁くような声音で、男の頬を優しく撫でながら女は告げた。

「復讐したいのよ。世界に、全てに。わたしはそのためだけに今日まで生きてきた。ねえ、鬼人オニヒト、あなたも同じじゃないの。だから、わたしの手を取った。それがね、あなたの――――」

 

 ・・・・・・その先はなんと続いたのだろうか。続きを聞く前に300年前の出来事を映す夢は終わりを告げた。



挿絵(By みてみん)



 14.水龍族の里



 まどろみは終わる。目が覚めてみれば未だ夜明け前の時刻だった。けれど、長い夢を見てきたかのように体は固まっていた。そんな己を持て余しながら金斗羅は重い嘆息を一つつく。

 何故見てしまったのだろうか。先ほどのは間違いがない。感応共鳴によって引き出され、夢という媒体を使って見えた金皇鬼カナオウキの記録だ。

 手元の剣に視線を落とす。見事な細工の金色の短剣。これが曰く付きのものであることはもうわかりきっていた。ただ、こうして夢から覚めて、情報をきちんと整理出来るようになったからこそわかるものもある。

 いつかの建造跡で見た『・・・赦して』と泣いていた青雷ショウライと似た面差しの、けれど確実に違う女。あの女の右手に嵌っていた金の腕輪、それが今回の感応共鳴で見たショートカットの女が言っていた『金の腕輪』とやらではないのか。そして、その腕輪のデザインは金皇鬼と類似しているが、これは果たして偶然と片付けられるのだろうか。

 わからない。けれど、あまり考えていたくない問題だ。

 そも、目の前のことだけで精一杯だというのに、何故300年も前の出来事を背負わなければならないのか。けれど、それを視てしまったのは、自分がそれだけ精神的に弱っている証拠でもあるのだ。

 そして、それほどに自分を弱らせた元凶である少女は、ひょっこりとクリクリとした青い猫目を輝かせて、愉快そうに笑いながら自分に話しかけた。

「あっれぇ?金斗、今日は早いんだ?」

「・・・・・・」

 くすくすと笑うその顔は愛くるしくも、少女の内面を知っていると恐ろしい。だというのにも関わらず、全ての元凶とさえ思えるのに、今の金斗羅はかの少女青雷を拒絶する気にはなれなかった。一体何故なのか。ひょっとすると少しずつ溶かされていってるのかもしれないと、そんなことをぼんやり思った。

「折角ボクが起こしてあげよっと思ってたんだけどな-。って、おおーい?金斗反応うっすいよ、ちゃんと起きてる?」

 パタパタと、子供じみた仕草で少女は青年の前で手を振る。

「うーん、もっとキチンと反応してくれないと、ボクつまんないなあ」

「・・・別に、どうでもいいだろ」

 漸く出した声は、低く擦れた老人のような声だった。そんな声を聞きながらも、にこりと見た目だけなら天使のように愛くるしく、少女は笑いながらコロコロと鈴のような声で言う。

「あれ?金斗お疲れかな?ちゃんと睡眠と食事はとらないとだめだめだよ。でなきゃボクが困っちゃうからね」

 結局は自分のことしか考えていない。金斗羅本人はどうでもいいかのような少女の言ではあったが、寧ろそんなひとでなしさに男は何故か安心を覚えた。絆されているのかもしれない。それとも感覚が麻痺してしまっているのだろうか。

 ふと、そんな風に変わりゆく自分に怖気を覚えて、ブルリと震える。自分は既におかしいのだろうか。

 ・・・おかしいのだろう。明日にはビワコ・・・水龍族の里に着く。

 今まであれほどに手を血に染めるのを嫌がっていたのに、殺すのはあんなに怖かったのに、今自分の心は静かで暗く冷たい。水龍族には知り合いと呼べるほど親しい者などいないから、というだけでないだろう。本当にひとでなしだ。そう自嘲しながら、金斗羅は今夜の閨を後にした。




 ―――――数百年の昔、ビワコと呼ばれた地域には大きな湖があったという。

 その姿はわずかに文献に残るのみで言い伝えでしかないが、そういうものがあったと現代にも伝えられてはいた。であるからなのか、今より250年近く昔、初めの水使いの人鬼達がこの地に訪れたとき、わずかにその場には水源が残っていたという。

 つがいである水使いの人鬼2人はその水源を引き出し、増幅してそこに住みだした。それが水龍族の里のはじまりである。

 その里は住処たる岩肌に滝が流れ、毒素の雨にも負けぬ僅かな緑が茂り、文献で伝えられている姿より小さくとも、毒水とはいえぬ湖を湛えた、人鬼の里の中で最も優美な里であるといわれている。

 水をあやつり、水を尊ぶ種。その里と技の美しさ故に、自分たちこそが最も優れているのだという自負と共に暮らす民。

 外界で何が起きようと変わることはない。

 里を守るあの滝の水のように優美にあれ、とそれが水龍族の里での不文律である。


翠晶すいしょう様」

 今年12になるかならないかの少女は、尊敬と敬愛の念を込め、水龍族の里でも最も美しいとされている翡翠の間で生活しているかの人の名前を呼びながら、弾むような足取りでその部屋へと入る。

 ここに住んでいるのは、この里で最も美しく最も尊敬されるべきお方だ、と己の主人への誇りを胸に少女、瑠璃架ルリカは湯浴み道具を持ちながら、こんなふうにモタモタしている時間すら待ち遠しいといわんばかりに主である女性へと駆け寄った。

 翡翠色の足首まで伸びた枝毛一つないストレートの長い髪、均衡のとれたプロポーション。後ろ姿だけ見ても、自分の主たるこの方は見ほれるほどに美しい。けれど、ぼーっと見ほれているばかりでは仕事は完遂出来ない。

「お湯浴みの準備が整いました。さあ、参りましょう。翠晶様」

 自分の仕事を果たすため、いつもの笑顔でそう声をかけながら笑いかけたそのとき、瑠璃架はその異変に気づいた。

 ・・・・・・泣いている。

「ど、どうなされました、翠晶様!?」

 一体誰が、自分の主を泣かせたのか、動揺でわななく少女を前にしても尚、翠晶は静かに涙をこぼしていた。白い肌に伝う涙の玉はまるで真珠のようだ。しずしずとした美しい声で、翠晶はぽつりと一言告げる。

「・・・・・・この里は間もなく、滅びようとしています」

「・・・な!?」

 その言葉に衝撃を受けて、瑠璃架は固まった。

「疾風族を滅ぼした金斗羅が、明日凶星と共にやってくるでしょう」

 彼女が告げるなら、それは絶対の言葉だ。

「それは・・・・・・去年予見されていた例の「滅び」ですか?」

 その言葉に、この盲目の巫女は、はいとそう静かに告げた。

 ガクリと、少女の足が崩れる。

「そんな・・・・・・それでは、先代様は無駄死にではないですか!」

 あまりにたまらなくなって、少女は叫んだ。

 3つの里の未来視が予見した「凶星」。それを封じるために4人の里長が旅立ったことは一部にのみ知らされていた公然の秘密である。そして、その1人であったのが先代水龍族の族長であり、翠晶の父であった空露ソラツユだ。なんとか里に帰り着いた先代はそれまでに受けたダメージが蓄積しすぎたのか2ヶ月前に息を引き取った。

「瑠璃架・・・」

「お答えください、翠晶様。今回も、何か回避する策はあるのでしょう!?何か・・・何かッ」

 そういってたまらず、主たる人に詰め寄りそうになった寸前だった。ドカドカと聞き覚えのありすぎる足音が近づこうとしているのを受けて、瑠璃架ははっと息をのみ、我に返った。途端、近づこうとしている相手への警戒心が募る。

「瑠璃架・・・およしなさい」

「ですが、翠晶様ッ」

 そんな少女の様子など当然のように聞き分けるわけなく、足音の主は部屋内へと入ってきた。

「姉貴、邪魔するぞ」

 バサリと気にかけることもなく、男は気怠げに御簾を振り払いながらまっすぐ翠晶の元へと向かう。濁ったような金の目元に蒼いストレートの長い髪がだらりと陰を落とす。敬うべき対象なのだろうが、この無礼で優美さの欠片もない濁ったような目をしたこの男のことが、瑠璃架は大嫌いだった。

蒼牙ソウガ

 翠晶は、迷うことなく片割れの名を呼ぶ。それに、蒼牙はどかりと腰を降ろして言った。

「蒼牙『様』をつけろよ。姉貴。身内だからって無礼だろ」

 それにギリギリと歯ぎしりするほどに悔しい思いを感じたのは瑠璃架のほうだ。翠晶はそんな瑠璃架をなだめるように、肩を撫でる。

「なにせ、今や里長は俺様なんだからよ」

「先代様はッ!」

 傲慢さを湛えたその言い方に、たまらず、瑠璃架は叫びだした。

「先代様は、翠晶様と蒼牙様双方に頭首を指名して亡くなられた!翠晶様を一歩下に見られるのはやめていただきたい、我が主への侮辱だ!」

「瑠璃架」

 美しい声音の中にも心配の色を乗せて翠晶は年下の侍女の名を呼ぶ。それ以上刺激してはいけないと。それを聞かなかったことにして、キッと瑠璃架は蒼牙をにらんだ。

「あ?吠えるな。侍女風情が。姉貴よ、飼い犬の面倒くらいきちんと見たらどうだ?あんまりキャンキャン吠えるようだと犯すぞ、小娘ガキ

 ドスの効いた声でそう告げる蒼牙。しかしそれに怯えるでもなく、瑠璃架は睨み続けた。男はちっと舌打ちを一つ打つ。

「だいたいよぉ、てめえみたいなガキはしらねえだろうが、姉貴がこうやって巫女様やってんのだって親父殿の慈悲でしかねえんだよ。盲目なだけじゃねえ。顔がいくら綺麗でもな、こんな石女うまずめ欠陥以外のなんだってんだ!それが、俺と同格で頭首の片割れだと!?笑わせんなっ。ガキ一つ産めねえ欠陥女が俺と双子の姉弟とかどんだけ俺が・・・ッ」

「蒼牙!」

 段々と怒りに顔をゆがめだす弟を前にして、翠晶は自ら弟に口づけることによってそれを止めた。

 思わず、少女はその光景に固まる。

「瑠璃架、お行きなさい」

 それが最後通牒だとわかっていた。これ以上ここにいたら余計に翠晶様に迷惑がかかる。それがわかっていたからこそ引いた。部屋をあとにするも、寝所に蒼牙が己の姉を引き込む音がして、それが悔しくて唇を噛み、涙を流した。

 

 翠晶さまは弟御の蒼牙様に犯されている。


 石女ならちょうどいいとでも言うかのように、蒼牙は時折ふらりと翠晶の元に現れては手ひどく犯していく。その体を清めるのは瑠璃架の役目だ。だから、その暴行を受けた体を前に、愛故の行動では決してないこともわかっていた。侮辱しているのだ。八つ当たりのように犯しているのだ。

 綺麗で優しい翠晶様。たとえ盲目で子を産めない体だろうと関係はない。この里で誰が一番慕われて、誰が一番尊敬を集めているのか、あれほど侮辱している蒼牙だって理解しているのだろう。この里で最も慕われているのは翠晶であり、跡継ぎである蒼牙じぶんではないのだと。けれど、だからこそ手ひどく蒼牙は翠晶を辱める。自分より格下だと証明するように。コンプレックスからプライドを守るために。

 長らしいことをなにもせず、威張り散らしては女を手当たり次第抱く。そんな男を「頭首」だからといって果たしてどう尊敬できようか。まして、優美であれというという里の風潮に真っ向から対峙しているかのような男相手に。


 何故、翠晶様があのような男に辱められねばならぬのか。


『・・・・・・この里は間もなく、滅びようとしています』

 そうほんの少し前翠晶は告げた。明日凶星は来るとも。

 さっきまでは、先代の死が無駄ではないかと、その滅びを前に嘆いた。

 けれど、今彼女のための部屋で手酷く実の弟に犯されているだろう主君を想って思う。

 こんな狂った里ならばいっそのこと滅びたほうがいいのではないかと。

 そんな自分の罰当たりな考えを前に、また少女は泣いた。




  続く





というわけで水龍族の里でした。

にじファンのほうの連載はにじファン終了でなくなりましたが、色々ばたばたが続きますので、相変わらずこの話の連載はサブ扱いで遅れがちですが、そのへんよろしくです。

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