例えば、無敵能力よりも怖い奴等
無敵の能力。
あらゆる攻撃を無効化する。
どんな戦闘・ゲーム・状況であろうと、高く評価されるものであろう。あるところでは、最強と呼ばれる能力と言ってもいい。そんな能力を持っていても、呆れ気味ながらも恐れる奴はいるのだ。
「……ミムラ。俺は今、思いっきり、お前に恐怖したんだが?」
広嶋健吾の能力もそーいうタイプ。
完全無敵とは言わないが、ほぼほぼ攻略不能な能力と言える持ち主。
だが、それを破ってくる奴には警戒しているのだ。例えば、彼の後ろにいる沖ミムラとか。
「すっごーい!広嶋くん!刃物で刺されても平然としてるんだね!あ、やせ我慢とかじゃないよね?」
「お前、自分の能力は分かってるよな?滅茶苦茶な”天運”の持ち主だって事をな?」
「それは知ってるよー!自分の事だしー!えへへへ」
えへへへ……じゃあ、ねぇーんだよ。無言で後ろから包丁で刺せるのは、もう才能だろ。
ミムラには今後、背を向けない方が良いと思った。
「なんで俺の背中を包丁で刺してるの?」
「打撃が効かない相手なら斬撃も試せって言うしー!あ、あれ?血が流れてきてるけど、大丈夫?広嶋くん、背中……」
「俺はお前の頭の方を疑ってるんだが」
完全無敵な能力をそーいう風に利用されるのは、他の無敵能力を持つ者達からもおかしいと思われる。
ミムラの天運のリスク、99.9%を請け負わされるためにあるかの力として利用されるなんて……。よーするにタンク役のような扱いを無敵の能力がするもんじゃない。
「打撃や斬撃も平気なら、催涙スプレーとかも大丈夫なの?」
「キッチンでそんなこと試すんじゃねぇ!俺はお前達に料理を作ってる最中でだな」
ガラララララ
「広嶋くんの能力が気になるなー」
「あっちに行け。俺はお前の頭の方が気にな……」
パァンパァン
なにが起こるか分からない。例えば、隣の部屋にいた女の子がたまたま銃を持ってて、自分に殺意を向けて発砲してくるとか。
「ミムラーーー!!私の広嶋様と何をイチャついているのですか!!殺しますよ!!」
「裏切ちゃん!いきなり脅かさないでよ!!銃は危ないよ!」
「広嶋様!やはり、私がこの女を始末します!!しばし、お待ちを!」
そして、彼に肩をドンと押されて、もっと予想されてない回避能力。クソムカつくという表情を作る、裏切京子に。
「……普通なら俺はお前に始末されてるんだがな、裏切!なんで俺ごと撃ってるんだよ!」
「私の広嶋様がこの程度では死なないので、躊躇なく撃てましたから!!」
「ひっどーーい!裏切ちゃん、そーいうのは酷くない?」
「始めたのはお前からだろ。ミムラ」
脳天にぶち当たった銃弾を取り出す広嶋。なんでこいつ等は好意と行動がまったく異なるのだろうか。
「大丈夫ですか、広嶋様!頭の出血は!」
「お前の頭より大丈夫だから心配するな。お前等、戦うんじゃねぇ。俺が死ぬだろうが」
本来だったら、俺は一体何回死んでるんだろうか。こいつ等と関わると、毎日のように起こるわ。なんとかできる奴を捜さないとな。
◇ ◇
無敵能力にだって弱点はある。
無敵能力になれている制限時間や、特定の状況下でないと発揮されなかったり。
「「ごちそうさまでしたー!」」
広嶋が作った焼きうどんを食して、満足そうな顔になる2人。
こんな危ない自分達を構ってくれるし、こんな自分達よりもずっと強いし、こーいう身の周りの事もできる、……。ちょ~っと、女のライバルを作ってしまうのが不満なところではあるけれど。
「広嶋くんって苦手なことはないの?」
「人間だって時には、弱さを見せるのも良いと聞きますよ。広嶋様?」
……まー、答え分かってるけど。
無敵な彼は必ず
「「私達に構うこと以外で!!」」
「………………」
その嫌そうな顔も好きになっちゃうんだよね。
「それでもお前等と関わるのが辛いとこだな」
「それはダメって言ったじゃーん!」
「そうですそうです!!私は少なくとも、見直そうとしますからね!!」
案外、広嶋くんも完全無敵じゃないんだよね。




