表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

邂逅①



 プリムティスは兜をかぶり直し、応接室を出ていこうとする。

 そこへ。

「プリムさん、お待ちください」

 受付嬢が一度応接室から出ていき、暫くすると戻ってきた。

「これを……。腕利きの職人にクリーニングをお願いしておきました」

 そして、差し出された赤い布を見て、プリムは理解する。

「ああ、あの時の。さんきゅー」

 少し前、洞窟で女性を助ける時にかけたマントだった。

 綺麗にたたまれており、きっと、あの場の匂いや汚れも有ったろうに、今はピカピカでいい匂いがする。

 

 それを手に、プリムティスは応接室を後にし、1階のフロアへ階段を降りる。

 ギルド長もそれに続く、その後ろには受付嬢もだ。

 仮にも英雄だ、お見送りの必要がある、と。


 けど。

 後方を振り返り、見上げる小柄なドワーフは小声で。

「ちょっと、ついてこないでよ。目立つでしょうが」

「ワシだって1階に用があるんだ、仕方ないだろ?」


 プリムティスとギルド長のやり取りを受付嬢は微笑んでみつつ。


 そうしてさらにドワーフは続ける。

 しかし今度はうっかり普通の声量だ。


「そう言えばギルド長、この前出した報告書読んでくれた?」

鉄等級(アイアン)木等級(ウッド)が混じっていたって話か?」

「そう、それ。あの鉄等級(アイアン)の身分証、この街の発行印入ってて驚いたわ。もっとしっかり管理してよね?」

「面目ない。ちゃんとあれから依頼書の受付時に、身分証の確認を徹底するように言いつけたよ。なぁ?」


「ええ。受付一同、気を引き締めさせてもらいましたので、ご安心ください?」

「ならいいけど……。あと、例の件の事もよろしくね」


 階段を降り切ったところで、受付嬢とギルド長は立ち止まり、プリムティスを送り出す。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 その様子を、漆黒の帽子とローブを纏う魔法使いの少女が見ていた。

 凝視する先には、革の鎧を身に着けた小柄な体躯。

 子供、よりは少し大きく、大人よりは小さいそんな背丈。


 しかしその手には、赤い布が持たれている。

 モフモフの白い部分が見え隠れしていて……。

 

 マント? あの色 まさか……?


 少女は、何かしらの直感のようなものを覚えた。

 けど、背が違う。装備も違う。


 別人? 関係者? でも……。


 気になって、後を追いかける。

 ギルドの入り口に向かう、その背中を。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 冒険者たちの多くが往来する建物の入り口。

 そこに、今エルフが覚悟を決めて、その中へと入っていった。 

 

 その時、

 

「あっ!?」


 出てきた小柄な人物と鉢合わせて衝突した。


 革鎧を着た小柄。

 ちょうどエルフと同じくらいの背だが。

 けれど、その高さは偽りだった。

 無理やり底の厚い靴を身に着け、ぶかぶかの兜をかぶったその人物は、少しバランスを崩し、不覚にもその場で倒れそうになった。


 それを、エルフが抱き止める。


 衝突の衝撃、抱きとめられた緩急。


 ぶかぶかの兜がすっ飛んでいった。

 地面に落ちてそれはカラカラと音を立て。

 手にしていた赤い布が宙を舞う。

 

「え……?」


 エルフは、一瞬でそれが誰なのかを悟った。

 そして、革鎧の小柄は、すぐさま態勢を立て直し、エルフの手を引いてあっという間に引き摺ってその場を後にする。



 路地裏で。

 

「ばかばかばか! ――……あんなとこでバレたらどうすんのよ!」


 エルフは詰め寄られていた。

 憧れていた筈の、その人物に。  



 しかも。


「あの……」


 黒い魔術師風の少女もまた。


 拾った兜と、紅い布を手に。


「……私を助けてくれた、冒険者……いえ、勇者様ですよね? プリムティス様」


 その場に居合わせたのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ