第5章だ
わっきゃピンそっと引っぱった。
チョウはもう乾いであったはんで、形は崩れねがった。
わっきゃそれてのひらに載せで、エーミールの部屋がら持ぢ出すた。
その時、さすずめわっきゃ、でったらだ満足感のほがなんも感ずでいねがった。
チョウ右手さ隠すて、わっきゃ階段下りだ。
その時だ。
下の方がらだぃかわの方さ上がってくるのが聞ごえだ。
その瞬間にわの良心は目覚めだ。
わっきゃ突然、自分は盗みすた、下劣なやづだどいうごど悟った。
同時さ、見づがらねがどいうおっかね不安さ襲わぃで、わっきゃ本能的に、獲物隠すてあった手、上着のポケットさ突っ込んだ。
ゆっくりどわっきゃあさぎ続げだが、大それだ恥ずべぎごどすたどいう、しゃっけぇ気持ぢに震えであった。
上がってぎだお手伝いさんと、びぐびぐすながらすれ違ってがら、わっきゃ胸どぎどぎさせ、額さ汗かぎ、落ぢ着ぎねぐす、自分自身におびえながら、えの入口さ立ぢ止まった。
すぐにわっきゃ、このチョウ持っていではなね、もどに返すて、でぎるだらなにごどもねがったようにすておがねばなね、と悟った。
そごで、ふとさ出ぐわすて見づがらねが、というごど極度さ恐れながらも、急いで引ぎ返す、階段駆げ上がり、一分の後にはまだエーミールの部屋の中さ立ってあった。
わっきゃポケットがら手出す、チョウ机の上さ置いだ。
それよぐ見ねうぢに、わっきゃもうどんな不幸起ごったがどいうごどおべだ。
そすて泣がんばすだった。
ヤママユガは潰れでまったのだ。
前羽一づど触角一本なぐなってあった。
ちぎれだ羽用心深ぐポケットがら引ぎ出そうどすれば、羽はばらばらになっていで、繕うごどなんか、もう思いもよねがった。
盗みすたどいう気持ぢより、自分潰すてまった美すいめんずらすチョウ見ぢゅほうが、わの心苦すめだ。
微妙などび色ががった羽の粉、自分の指にねっぱってらの、わっきゃ見だ。
まだ、ばらばらになった羽がそごさ転がってらの見だ。
それすっかどもどどおりにするごどがでぎだっきゃ、わっきゃどった持ぢ物でも楽すみばって、喜んで投げ出すたるがな。
悲すい気持ぢでわっきゃえさ帰り、夕方までうぢのちっちぇおんにゃの中さ腰がげであったが、ついに一切母にうぢ明げる勇気起ごすた。
母は驚ぎ悲すんだが、すでにこの告白、どった罰忍ぶごどより、わにとってつらぇごどだったどいうごど感ずだっきゃすかった。
「おめは、エーミールのどごろにえがねばならね。」ど母はぎっぱりでしゃべった。
「そすて、自分でそうしゃべらねばならね。それよりほがに、どすべもね。おめの持ってら物のうぢがら、どれが埋め合わせにより抜いでもらうみでぐ、申す出るのだ。そすて許すてもらうみでぐ頼まねばならね。」
あの模範少年でなぐで、他のけやぐだったら、すぐにそうする気になれだびょん。
彼がわのしゃべるごどわがってぐれねす、おそらぐなも信ずるべどもすねびょんというごど、わっきゃ前もって、はっきり感ずであった。




