9/15
沈黙
毎年恒例。
ぼくのじいちゃんは、すごい人だってきいた。
戦争でたくさんの敵を倒したんだって。
その人がお話してくれたのは、みんなをまもるために、じいちゃんがたたかいつづけたこと、けがしてもたおれても、なんどもなんども立ちあがったって。
でも、じいちゃんは何も言わない・・・沈黙。
ぼくが、その話をきくと、きまって、そのお話はせずに、えがおをみせて、あたまをなでるんだ。
そして、戦争はよくない・・・よくないんだと呟く。
どうして?いまは日本がたいへいようせんそうでたたかっているんだ。
ぼくが、そう言うと、おじいちゃんは、さみしそうな顔をして、なあ、いつかきっと分かるさと言った。
あれから・・・。
僕は大人になった。
今年も8月がくる。
じいちゃんの沈黙をかみしめる。
一篇くらいはね。