うわさ
えてして・・・。
俺は憤慨している。
まさか、あいつがそんな事を言うなんて、なんで俺に直接言えないんだよ。
俺はあいつと仲良くやっていて、たまに食事や飲みに行ったりしている。
気の合う親友そう思っていたのに・・・。
ある日、会社事務の女の子に言われた。
「〇〇さん」
「どうしたの?」
「△△さんが、もう勘弁してくれって」
「なにを?」
「食事や飲みに行くの苦痛なんだって」
「まさか」
「だって、私、△△さんが産業医さんに話しているのを聞いたんだから」
そうか、だったら、直接言えばいいのに。
俺はその日から△△と距離を置くことにした。
そうするべきと思ったからだ。
平穏無事な会社生活も一か月過ぎた頃、変な怪文書が出回った。
俺がパワハラをしているという文書だ。
すぐさま、社長に呼ばれて問いただされた俺だったが、身に覚えはないのできっぱり「やっていません」と伝えた。
だけど、一体誰が・・・ふと△△の顔が頭をよぎる。
・・・まさかな。
そして決定的になったのは、△△の同僚が言った言葉だった。
「〇〇さん、あの変な文書作ったのは△△っすよ」
「まさか」
「いや、だって本人がそう言っていたから」
もはや、あいつに聞いてみるしかない。
退勤時間を狙い、俺は一つ隣の部署にいる△△の帰りを待った。
飲み・・・食事・・・いや、サ店でも誘ってあいつの本心を聞いてみよう。
そんな軽い気持ちだった。
すると、あいつが仕事を終えやって来た。
「よう」
俺は軽く手をあげる。
あいつは、少し驚いた顔を見せると、一瞬笑みを浮かべこちらへとやって来る。
ほうら、やっぱり取り越し苦労だ。
所詮、噂なんて信じちゃいけない。
あいつは、早足で駆けてきた。
「おいおい」
俺はおどけて両手を広げた。
ずぶり。
腹に傷み、生暖かい感触が襲う。
「死ねや」
あいつは、そう言って何度も・・・何度も・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
俺がなにをしたっていうんだ。
ね。