女装家?
うん。
火のない所に煙は立たぬ・・・。
私はその言葉を思いだした。
でも、まさか・・・そんなはずは・・・。
うちの旦那に限って・・・ねぇ。
浮気とかは正直されたらショックだけど、それなりの感じで腑には落ちるけど、よりによって女装していたなんて、風の便りで聞いたら、そりゃあ気になるわ。
だけど、旦那がそんな気があるなんて髪の毛と同じで毛頭無いと思う。
なので聞いてみた。
「あなたに似たおばさんがこの辺りを徘徊しているらしいの」
・・・我ながらなんとド直球なのだろう。
だけど、竹割った性格と呼ばれて久しい私は、一刻も早く白黒決着をつけたいのだ。
「なんだよ。突然」
旦那はお茶を突然吹き出し、視線は宙を彷徨っていた。
(怪しい・・・)
「何か知らない?」
「お、俺が知る訳ないだろ・・・まっ、まったく」
声までキョドってこれは本当に・・・。
「ねぇ、あなた」
「あー眠い。俺、もう寝るよ」
旦那は取り付く島もなく寝室へと消えて行った。
私の疑念は深まるばかりだった。
その日の深夜。
私は彼の泣き声で目を覚ました。
シクシクとさめざめと泣いている。
どうしたのか?
きっと問い詰めて情緒不安定になっているからだろう。
「あなた」
「!あなた」
と驚く旦那の声は女性の声だった。
???
頭がぐらっとして理解できない。
それに私の発した言葉は・・・低く重い男の声だった。
そんな馬鹿な・・・私は一体・・・誰。
「あなた!しっかりして!」
すべてを遮断して失神する私に妻の声が響いた。
うーん。