黄昏の涙
皆黄昏気味です。シリアス絶好調!です。
当分、シリアスな雰囲気が続くと思います。
ふと気付けば、何故か町外れの墓地にいた。
しかし、ここがむしょうに落ち着けるのにも気付いた。
何故だろうか? 理由はどうでもよかった。
ただ、心が揺らがせるものがないからかもしれない、と思った。
『―――カナ、リア………』
耳の中で何度も鳴り続ける彼の声。
それがまた心を揺らし続ける。
じめっとした土が自分にぴったりな気がした。
身体が重い、心が思い、動きたくない―――
「カナ姉!」
不意に呼ばれて、カナは驚いた。
声で誰かはわかる。コレットだ。
呼びに来てくれたことは嬉しいのだが、それが彼で無いことが悲しかった。
「コレット………」
「どうしたの? 急に走り出して。驚いたよ」
「………コレット………」
カナは直ぐ側にまでやってきたコレットに抱きついた。何がなんだかわからなかったが、カナは小柄な自分よりもさらに小さなコレットをぎゅーっと締め付けた。
「いたっ! 痛い痛いよ~カナ姉!」
「コレット………」
はらはら、と目から涙が零れ落ちるのがわかった。
けれど、止められない。
そのままカナは日が暮れるまでコレットのペッタンコの胸で泣き続けた―――
○
「止めておきなさい」
カナの下へ近づいていこうとしたバズは、パトリシアに腕をつかまれ地団駄を踏んだ。
「なんでだよ! カナは……カナは苦しんでんだぞ!」
大声を出してしまいパトリシアにしぃーと静かにするように促される。
バズは納得がいかなかった。
町に用はなかったが、カナがどうしているか不安で町に来てみたものの、店に行く途中で町の外へと走っていくカナとぶつかった。気のせいか、その時のカナが泣いているようにも思えた。
だから、店には行かず、カナの後を追ってきたコレットとパトリシアの後に続いたのだ。
そして、パトリシアはコレットに任せるように、と言ってバズを無理矢理墓地の茂みの中に引っ張り込んだのだ。
「どうして!」
「あんた、あの子に気があるでしょう? あんたが行ったんじゃ、あの子が気を使うわ! 今はコレットに任せるしかないのよ!」
その言葉には、とても説得力があった。
仕事場の関係から顔なじみのパトリシアは、幼馴染でもある。昔から頭の良かったパトリシアには考え事で勝てるとは思っていなかったので、バズは何も言い返せずに黙った。
そのままカナは泣き始めてしまった。
バズは、それを見ているしか出来なかった。
バズもパトリシアも、日が暮れ、カナが泣き止むまで見続けることしか出来なかった。