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四公爵の恋愛事情  作者: 澄波水音
4/8

4:ルナリス、月の夜

そう、あれは、私が、私たちが10歳のとき。

グレイに出会って、もう5年が経っていた。

その日は、年に一度の、王家主催の舞踏会。煌びやかなドレスを纏った令嬢に、豪華なシャンデリア。毎年、その日のためにブルーのドレスが用意され、私も出席していた。

始まって少し経った頃、人ごみに酔ってしまい、人気のないテラスで休んでいた。

月が綺麗だった。自分の名前のルナリスにも、『ルナ』つまり『月』という意味があるため、月には親近感がある。

「なに見てんだよ、ルナ」

グレイだった。

グレイは、会ったころから、私のことをルナ、と略称で呼んでいたし、声ですぐにわかる。

「…月を。月を見てると、心が安らぐわ」

「ふーん…」

「って、グレイこそ、なんでここに?」

「舞踏会とか、つまんねーし。あと、香水の匂いがきつい」

「ああ、それはわかるわ。…でも、私もそろそろ、社交界に慣れていかなきゃいけないのよね」

「なんで?」

「なんでって、公爵家の娘として、社交界に立つのは当然のことよ?…いずれ、どこぞの貴族と、貿易目的で結婚しなければならないし…」

「…」

「グレイ?なによ、黙っちゃって」

「それは…×□●△なのか?」

グレイが、なにか言った。でも、舞踏会の音楽と話し声のせいでよく聞こえない。

「なに?聞こえないわ」

グレイの声を聞こうと、一歩、踏み出したその時。

「きゃっ」

「ルナ!」

ドレスの裾を踏んで、横に倒れ

「…え」


私は、倒れなかった。グレイが、私に覆いかぶさるように、ぎりぎりのところで頭と腰を支えてくれたから。


―それだけじゃない。


唇と唇が、重なっていた。


月の光が降り注ぐ舞踏会の夜。


私の、ファーストキスだった。



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