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四公爵の恋愛事情  作者: 澄波水音
2/8

2:ルナリス、アルバロス魔法学校

私、ルナリス・アクアは、15歳。

アロノスでは、14歳から魔法学校に通うことが義務づけられている。

『貴族だけ』は。

男爵以上の爵位を持つ家の出でないと、魔法学院に通うことは許されない。

しかし、庶民には魔力はほとんどないため、正直言って学院に通う意味がないのである。

だからこそ、貴族たるもの、目上の者を敬い、下のものを守ることが大切だと、お父様がよく言っている。

「お嬢様、到着いたしました」

「ありがとう」

馬車から降りる。

ここが、私の通う、アロノス一の魔法教育機関、アルバロス魔法学校。

今日は、新学期初めての登校日。私は、今日からこの学校の2年生になる。

城のような風貌を漂わせる、豪華な建物だ。

「おはようございます、ルナリス様」

馬車を降りて早々、淡い水色と白のドレスを着たポニーテールの少女が丁寧にお辞儀をして挨拶する。

彼女は、氷のグラキエス伯爵家の、レセア・グラキエス。

氷魔法の原点は、水魔法。つまりアクア家。

幼い頃から、同い年である彼女と仲良くしていたため、学校でも一緒に行動している。

身分上、毎朝レセアは私を迎えに来るのがもうお決まりになっている。

「おはよう、レセア」

二人で玄関に向かう。

「レセア…。人前で、ルナリス様、っていうのは、やめてほしいわ。私たちは、お友達なのだから…」

「分かってないわね、ルナリス。あなたは公爵家の人間。王家の次に、富と権力があるのよ。伯爵家の私が、人前で呼び捨てなんかにしたら、あなたを崇高するどこぞの令嬢集団に無礼者って叩かれちゃうわ」

「…あなたなら、逆に返り討ちにしてしまうでしょう」

「…そうかも」

笑いあう。

レセアは、伯爵家の出でありながら、さばさばした性格で、剣術も習っているため、殿方からも令嬢からも人気がある。

『公爵家』という看板に目がくらんで話しかけてくる人と違って、私を友だちとしてみてくれる、大切な存在だ。

―まあ、建前では、属性が絡んだ公爵家と伯爵家の、いわゆる主従関係、だけど。


キーンコーンカーンコーン…

午前の授業が一通り終わって、レセアと中庭に出る。

この学校には、たくさんのガゼボ(西洋風の東屋)があり、グループごとにお気に入りのガゼボを決め、卒業まで4年間、そこでランチを食べたり、お茶をするのが暗黙のルール。

私たちのお気に入りは、一つの森のような中庭をずっとまっすぐ進んで、開けたところにある、小さな小川のある場所。

淡い青色と、クリーム色のガゼボだ。

木漏れ日が気持ちよく、最高の場所。

「どうして、先輩方はここを見つけられなかったのかしらね」

つぶやく。

「それは、単純に校舎から離れているからでしょう。普通の令嬢や貴族たちは、遠くまで歩きたがらないし」

レセアが答える。

この学校の中庭は、見ているだけで気持ちいいのに…。

「じゃあ、ランチにしましょうか」

籠を開く。

「あら、今日はサンドウィッチだわ。…苺のサンドウィッチ!レセア、苺よ!」

私はイチゴが大の好物。

「あなた、本当に苺が好きね」

「ええ!だって、あまくて、可愛らしくて…」

「俺にも一個ちょうだい、ルナ」

振り向くと、そこに立っていたのは…











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