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砂塵が舞う。血で塗りつくされたビルのワンフロア。
夜は深く、辺りは月明かりに照らされていた。
暗夜の攻防。猛る炎と舞う黄金が鎬を削る。
女の高速起動を蛇炎は捉えることが出来ない。体中に炎を纏いながら腕を構え防御に専念している。
「そんなものかッ!小僧!」
「おいおい、小僧はないだろう?年増がッ」
「ッ!……殺す」
蛇炎の挑発は効果抜群だ。額に青筋をたて、女の速度が上がる。目の前に見えた瞬間に蛇炎は炎を纏った拳を振り上げるがその瞬間には姿はない。
「なにっ?」
「ここじゃ」
背後からの声に冷や汗が噴き出す。身を捩るが遅い。
「セイッ!」
「グッ!」
ミドルキックが炸裂する。ばぁんとけたたましい音を立て、蛇炎が吹き飛ぶ。
「勝負ありじゃな」
妖艶な笑みを浮かべる女。舌なめずりをして翔真を見やる。
「さて、食事の続きを…」
「待てババアッ」
「――ッ!」
砂埃が晴れる。蛇炎はむくりと立ち上がると首筋に手をやりこきりと一つ鳴らす。
「危なかったぜ、足癖の悪いばあさんだな」
不敵に笑みを浮かべる蛇炎。しかし返答はなかった。
訝しみ女を見る。
女は、声も出ないほどに――ご立腹だ。
「三度も儂をコケにしおってからにィ!」
ギリギリと歯ぎしりが鳴り響く。翔真はどこか、コミカルなやり取りに緊張感を失っていた。
「お前はッ!ここでッ!殺すッ!」
むしろ表情はなくなった。能面の様な女の顔に男たちは得体の知れない恐怖を抱いた。
女は自らの手首に牙を突き立て、嚙み千切る。
「【血装――〈牙〉】ッ!」
大量の血が噴き出し、一つの流れになる。
それは女の周りをまわると右腕に集まり、纏わりつく。
凶悪なフォルムを形どり、一つの武装と化した。
瞬間女の纏う空気が変わった。
女の体がブレたかと思うと一瞬で移動。右手の牙を突き立てる。
蛇を形どった炎がすんでのところで牙との間に入る。
熱気は壁になり、攻撃を阻め――なかった。
「――っ!」
血の牙は蛇炎の腕を裂いた、苦痛に顔をしかめるが違和感に苛まれる。
腕を抉った一撃は痛烈なダメージを与えた。しかし、血がでてない。
「チッ、そういうことか」
「ごちそうさま。お主はなかなかに美味い血じゃのう」
舌なめずりを一つ、妖艶な笑みがそこにはあった。
「このままじゃジリ貧か…。体力の消耗、出血を伴う衰弱。なるほどこれはピンチだな」
含みのある笑みを浮かべ、蛇炎は滔々と語る。
「任務に失敗なんて恥はごめんだぜ、となったら手は一つだ」
蛇炎は拳を握り構える。炎が勢いを増す。
「これを食らって無事でいられるかな?」
舌なめずりを一つ。歪んだ目元が妖しく光るのを翔真は感じた。
「いくぜッ!【炎蛇の奔流】ッ!」
炎が猛る。神話の巨蛇を模った猛炎が逆巻く。その圧倒的な熱量に翔真はおろか、女ですら目を開けていられない。
「死ねやぁぁああああっ!」
大地を揺るがすほどの破壊力。
轟音が鳴り響く。
女はどうにか回避しようともがく。
翔真は成す術もなく、ただただ食い入るようにそれを見続けた。
ゴウと音が鳴り、女は直撃は回避したが余波までは防ぎきれない。
猛炎が迸り、フロアに直撃する。
瞬間――感じる浮遊感。
「うわぁぁぁああ!」
翔真はぱっくりと空いた穴に吸い込まれていった。
拙作をご覧の皆さま。
この度は投稿に間が開き誠に申し訳ありません!
自分自身この作品に色々と思うところが(ちゃんと書けてるか)あったり体調がわるかったりで遅れてしまいました。
小説なんて書くのは初心者もいいとこなので細かいことは気にせず書いていこうと思います。
設定的におかしいところとかあったら教えてください。
私生活もまあまあ落ち着いたのでまたすこしづつ書いていこうかと思います。
ブクマしてくれた方々、こんな拙作に評価をしてくださった方、これからもよろしくお願いします。
また、初めてご覧になった方々、楽しんで頂ければ幸いでございます。
感想ブクマ待ってます!まじモチベになるので!