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PV800達成!
ついでにユニークも400行ってました!
この間300行ったばかりなのにすげえ!まじありがとうございます。
ブックマークも増えててうれしいです。
いつも見てくださり本当にありがとうございます。
息が切れる。
冷や汗が頬を伝い顎から落ちる。
「なんなんだいったい…」
翔真は胸中で問う。何故こんなことになっている。
何故自分が巻き込まれている?
焦燥が頭の中をかき混ぜ思考が定まらない。
今思っても今日はさんざんだ。吸血鬼と出会い、防衛軍に追われ、さらにコスプレ女の登場。
それを現実と思えず現実逃避するしかない。
彼らは人の事情などお構いなしに殺し合い、憎み合う。
蛇炎とコスプレ女が戦闘に入った。どうやら彼らは不仲らしい。
その間隙を縫い――脱兎の如く逃走した。
これ以上の面倒事はごめんだった。早く家に帰って、熱いシャワーを浴びて、ふかふかのベットで甘美な眠りにつきたかった。
「止まれ!」
鋭い静止の警告。それを背に受けるが今更止まれる訳もない。
翔真の頭は情報過多で混乱していた。そのまま逃走を続けようとして。
たんと銃声が鳴り響く。
「んなっ!」
驚愕の一声。まさか民間人に発砲するとは。
銃声が続く。
近くに当たったそれは恐怖の音をまき散らす。
焦燥と疲労で思考が追いつかない。
とにかく背後の恐怖から逃げようと足に力を込め――。
「――ッ!」
――被弾した。
弾丸は右大腿をわずかに抉り、血の軌跡をひきながらかなたにすっ飛んでいく。
その光景をどこか、諦観に似た、滑稽な気持ちで眺める。
直後、猛烈な痛みが脳髄を掻き廻す。
「ぐぅう…」
獣じみた声が漏れる。痛い、熱い。なんだこれは。
あまりの激痛に涙が滲み、視界を侵食する。
痛みと、恐怖。それから、それらを生み出した者への――憎悪。
激情が瞳に灯る。
「クソったれが…」
――殺してやる。
身を起こし、背後を見る。
自分に向けられた銃口、それを握る男を。
漆黒の戦闘衣で身を固めた、防衛軍の。
殺意を身に帯びたその眼を。
――殺してやるッ。
獣の死に際の、呼吸。
「フーッフーッフ―ッ」
腿から帯びたたしい血を垂らしながら立ち上がる。
「殺してやるッ!」
転瞬、力の奔流が沸き起こる。
瞳が、虹彩が深紅に染まる。血のように紅く、朱く。
瞳孔が縦に伸長する。まるで、爬虫類のそれ。
身をかがめ、下肢に力を込める。半ば無意識のそれはまるで、獣の跳躍を彷彿とさせる。
一息に跳ぶ。一瞬で距離を詰める。反応の遅れた男の驚愕の灯るその瞳を見据える。
慌てて男は銃を構える。だが致命的なまでに遅い。
殺意を迸らせ、突撃銃を無造作に掴む。横に逸らせばもう当たらない。
「ひっ」
驚愕の、恐れの交じった情けない悲鳴。
それをしり目に思い切り蹴とばす。
鋭い蹴りが横腹に吸い込まれる。男は体をくの字に曲げふき飛んだ。
「っ…」
激痛が思い出したかのように戻ってくる。
たまらず膝をつき荒い呼吸を整える。
腿を見やれば抉れた傷口からどす黒い血液が、命の灯が流れ落ちる。
脂汗が湧きだし。吐き気と眩暈が込みあがる。
胸中でまるで他人事のように思った。
これは大丈夫な怪我なのか。
焦慮たる思いを脳みそから追い出しつつ、翔真は帰路についた。