プロローグ
これはむかし、白の王さまと黒の王さまがアークスを治めていたころのおはなしです。
ある日、空は白色に染まりました。
ある日、大地は黒色に染まりました。
ある日、世界は銀色に染まりました。
次の日、とても大きな地震が起こりました。
その地震は山々を噴火させ、海を荒立たせ、大地にとても大きな穴を空けました。
七日目の朝に地震は止みましたが、大地に空いた大穴から竜があらわれ、アークスに住む人々を襲いはじめたのでした。
竜は大きな体と硬くて鋭い牙や爪を持ち、空を飛び、火を吹き、毒を吐く恐ろしい怪物でした。
白の王さまと黒の王さまは九つの軍を率いて竜と戦いました。しかし、三度の戦いでも竜に勝つことが敵わず、次第に人間たちは住む場所を奪われてゆくのでした。
人々が途方に暮れる中、白の王さまは五人の戦士を、黒の王さまは三人の賢者を引き連れ、神さまに助けを求めるための旅に出ます。
神さまに会うための旅はとても厳しく険しいものでした。雨の日も、風の日も、暑い日も、寒い日も休まず旅を続け、ながいながい月日をかけて、やっと神さまの下へ辿り着きました。
王さまたちの話を聞いた神さまは、白の王さまから水晶を、黒の王さまからは鏡を、戦士たちからは剣を、賢者たちからは本を受け取ると、一人の騎士をアークスに向かわせることを約束しました。
その日、空は黒色に染まりました。
その日、大地は白色に染まりました。
その日、世界は金色に染まりました。
次の日、一人の騎士がアークスに現れました。
騎士は光りかがやく剣と鎧を身にまとい、同じく光りかがやく大きな翼を背中から広げていました。そのいでたちは騎士のようでもありましたが、天使のようでもあり、聖なる竜のようでもありました。
騎士が光の剣をかざすと、天から無数のいなずまが降り注ぎ、あっという間に竜を倒してしまいました。
騎士は倒した竜を大地に空いた大穴に落としました。そして、手にしていた剣を光りかがやく巨大な木に変えると、なんとそれを蓋にして竜を閉じ込めてしまいました。
その後、光の木は大地を癒し潤し、多くの恵みを与え、世界中に希望の光を照らし続けたのでした。