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不出来な人間だから

作者: 朝焼 悠

誰にも気付かれない様にと

明かりを消した部屋の中

音も漏れない様にと

イヤホンで聞いていた音楽


そこで歌っている彼は

いつだってどん底にいて

自分たちは同じだって言っているクセに

最後には特別な あなた と呼べる人に出逢って

希望と共に僕を置いていく


いつか自分だって ああやって報われてやるんだと

ずっと ずっと

なにも残せないままに

あがいてもがいて追いかけていたんだけど

気付いてしまったんだ

時間が流れてしまった事

もうけして若くはない事


もう遅いんだと 間に合わなかったんだと

終わりなんだと悟ってしまった僕は

どうすればいいんだよって

今日までの夢と自分を呪いながら

あれだけ隠れるように生きてきた部屋の中で

堪えきれず嗚咽を漏らしていた


それから 更に転がり落ちて

ベッドからまともに動けなくなったりもして

また沢山の時間を使って

ようやく外に出られるようにもなったけど


後ろ指を刺されながら ヘラヘラして頭下げている毎日を

どうにか乗り越えてみてもさ 中々 中々


本当は掬いあげてもらった人や出来事に感謝して

色々あったけどここが居場所なんだって

言えればいいんだけどさ

僕は不出来な人間で 汚い人間だから

諦めたと呪っていると

口ではボロクソにこき下ろしているかつての夢を

かつてにはできていなくて

心の奥底で燻らせたままでいる


感謝していない訳がない

誰にも出逢えない 恵まれないと嘆くのももう止めた

それでも

あの日 捨て置かれてしまった僕に

寄り添える言葉を

どうにかあの真っ暗な部屋の中から這い出るための力を


どうしても捨てられなくて 消し去れなくて

結局 終われないと 今も


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