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元冒険者のカフェマスター  作者: 白本のーと
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クラシックが聞こえてきそうな建物紹介

「ふむ、中の方もシンプルで悪くない。いじりがいがあって楽しそうだ」


サラをギルドに返し、カーフは1人建物の中を物色していた。上質な木材をふんだんに使用したその建物は、内部も木の良さを活かした落ち着きのある空間を作り出していた。

耐火処理を施し、やや暗色に染めた木材による壁や天井。安全面に考慮して角を削り、丸みを持たせたカウンターキッチンにテーブル、チェア。

カウンターキッチンの水周りは、北の大陸にある公王国、ノースアインの腕利きの職人による上物で、木材とも調和がなされており、細部にもこだわりを見せる。

また、カウンターキッチンの土台部分には、存在感があり、なおかつ奇抜に感じられないよう、黄昏の守人のシンボルマークでもある大盾をあしらったエンブレムが付けられている。


「まさにいたせりつくせりという感じだね。これなら自分用にカスタマイズするための費用を抑えられそうだ」


次にカーフが注目したのは、カウンターキッチンの対面にある壁、その下部に埋め込み式で設置された冷蔵庫だ。開けるとひんやりした空気が広がってくる。


「なるほど、これはフィルによる特注品か。紋章の出来が素晴らしい」


カーフたちが暮らす星には、魔法というものが存在する。カーフ自身も魔法を駆使する魔術師であり、その魔法を行使する際、紋章と呼ばれるものが顕れる。その用途は多岐に渡り、攻撃に使われるものや怪我の治癒、身体能力の強化の他にも、水を生成したり、空間内の温度を一定に保つなど、日常生活に使われるものも多い。

冷蔵庫にも魔法が施されており、その効果は空間内の温度調節。3つの冷蔵庫に、それぞれ10℃、5℃、マイナス2℃に調節されている。そのどれも冷蔵庫の天井部分に紋章が刻まれており、紋章から延々と冷気が流れてきている。


「フィルの特注品なら、十年単位で紋章の更新はしなくても済むだろうね」


満足した様子で扉を閉める。トイレや倉庫も確認し、2階は明日また見ることにしようと、カーフは自宅ともなる3階に足を運んだ。ちなみに器具類は自分で選びたいという理由で提供を断っている。


「ふむ、一人暮らしにはもったいないくらいだ」


3階も実にカーフ好みのレイアウトだった。落ち着いた雰囲気と優しい空気が混ざり合い、癒しの空間を作り上げる。必要最低限の備品は既に置かれているが、自分用の物を買ったら従業員用スペース行きになるだろう。


「さて、開店準備は明日からにして、今日はもう寝るとしようか」


気がつけば窓の外は夜の静寂に包まれている。この場所、この時のためとはいえ、今日は色々振り回された。汗を流し、さっぱりしたところで、カーフはベッドに飛び込み、新品の匂いに包まれて眠りについた。

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