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元冒険者のカフェマスター  作者: 白本のーと
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マスターの手腕(ギルドの場合)

「はー、これはまた、上品な佇まいなことで」


カフェを開くことになる建物に案内されたカーフ。彼の目の前に映ったのは、3階建ての木造建築だった。1階がカフェとして使うスペースで、2階、3階は居住スペースだ。誰かを雇う2階は従業員の簡易宿泊所としても使われることを想定しているためか、キッチンや風呂、トイレ等も、2階と3階両方に設置されている。


「ただ、2階はユニットバスになっていて、キッチンは広間と併設、奥に4人まで寝られる仮眠室になっています」


案内役としてついてきたサラが補足する。ちなみに3階は2階とレイアウトが似ているが風呂トイレ別で、さらには書斎もあるあるため広間はやや狭い。代わりに、各設備は2階より機能的であると言う。所帯を持っていないカーフにとっては十分な広さだ。


「ギルド直轄の宿も中々良かったが、私もこれで一国一城の主というわけだね」


「はい。それに、この建物もギルドの所有であるので、玄関の依頼用のボックスに依頼書を書いて入れておけば、朝に回収に伺います。カーフさんはギルド内での信頼度も抜群ですので、依頼料の後払いも可能ですよ」


黄昏の守人というギルドは、他に類を見ない依頼制度がある。その中の1つに、カーフも恩恵に預かった、ギルド所有の建物の貸与がそれである。

黄昏の守人はここのように、いくつか建物を所有していて、ギルドのメンバー、ないしは商人に建物を貸し出すことがある。その時、借受人の実績や信頼度に応じて貸与の認証の可否、依頼書の郵送、依頼料の後払いが可能になる。

設立当時から活躍、貢献していたカーフの信頼度は当然の如く非常に高い。貸与にあたり認定会議が開かれるのだが、さも当たり前のように最大限の恩恵を受けられることになった。


「噂では、カーフさんのために取り決められたシステムではないかと言われてるくらいですよ」


サラは噂だと言っているが、あながち間違いではない。元々店を持ちたいと思っていたカーフのために、彼に留まらないよう平等に機会を与え、おいおいカーフにもこのシステムを使ってもらうように作った、というのをフィルエルムから直接聞かされている。


「マスターは抜け目ないからね。噂が本当だとしても、私だけ得するようなことはしないだろう。現に今、この街にはギルド直轄の店も多いからね」


フィルエルムは人を見る目に優れている。真面目で賃料の滞納もなく、売り上げを期待出来る人間にしか、貸与を行っていない。そして貸与された店は例外なく、黒字を満たす業績を残している。

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