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悪魔契約に縛られた異世界生活 第2幕(異世界生活編)  作者: 雨宮 白虎
第4章 トキザミの国(仕事編)
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085 子守その1/2(おままごと

 秋も深まり、収穫と冬の蓄えの準備と、国中では何かと慌ただしい。

 猫の手も借りたい。と云った感じで『お手伝い』の依頼が殺到していた。別に先着順で『お手伝い』を受ける必要は無くて、自分達の希望と修道士(モンク)修道女(シスター)の判断で依頼が選ばれる。

 もちろん好きな『お手伝い』を選んでお小遣い稼ぎ出来るのだから、孤児院内ではあれよこれよと盛り上がっていた。

 3人組の少女は衣服系の依頼で、2人組のハン・セルは薪割りや鍛冶屋といった兵士として役立ちそうな依頼を主だって選んでいる。


 私とクレハはというと、今日の『お手伝い』はナコトホリ家の子守をする内容だった。

 依頼によれば、8歳程の娘を遊び相手をして欲しい。との事だった。


 ネムレス・クルツ・ナコトホリ。これが彼女の名前。ミドルネームは父の名という家系である。長いのでこの後はネムと呼ぶとしよう。ミドルネームが馴染めないのは日本文化の影響だろうと考えている。

 流石にノブナガには無理そうだと考え、私とクレハのみで対応する事にする。息子だったらノブナガの方が向いているのだろうけども、まぁ仕方がないか。

 6歳の私で大丈夫なのかという心配は有るだろうが、中身はこんなんなので、無理を言って頼んだ。

 実は、この依頼は羽振りが良くてお小遣いの期待できるから、クレハと一緒に頑張りたいのだ。



 プライベートな事なので詳細は無いが、夫婦別々のお祝いの席につかなければならなくて、その間だけ娘の面倒を見て欲しいのだという。

 ナコトホリ家は、主に家を建てる仕事をしている。その棟梁、今で言う所の建築士である。

 家を建てるのは殆どが、終の栖(ついのすみか)とするか、親から引き継いだ家のリフォームするかのどちらかである。

 銀行制度が無いこの国では、住宅ローンというのは当然に無く、取引は金額は全て現金一括である。

 まぁ分割を認めている所も無くは無いが、踏み倒されるリスクもあるので、建築中は分割で材料費や給与として支払い、完了したら残金を支払うというのが慣習だ。

 依頼する側も、先に支払って逃げられても困るし、後払いでは安い材料を使われる可能性があるので、建築中に分割という習慣ができていたらしい。

 前の世界もこの世界も、家というのは一生で大きな買い物だ。

 ナコトホリ家は大きなお金が動くゆえに裕福な方であり、それなりに祝い事に呼ばれる事がある。

 普段はどちらかがネムの面倒を見るのだが、この日はたまたま祝い事が重なってしまったので、『お手伝い』の依頼となった。


 という理由なのだが、8歳にもなっても面倒を見るとかどれだけ過保護なんだよ。クレハが4歳で働いていると思うと流石にね、箱入り娘と言いたくなる。

 もっとも修道院の社会の授業に参加するくらいだから、それなりに将来を考えてはいるのだろうとは思うが。



 今日は珍しく中休み前に社会の授業が有り、その後に帰宅の付き添いからお手伝いが始まる。

 家に着けば、中休みの食事でパンとスープが3人分用意されていた。

 流石は裕福層と喜んだのだが、私とクレハのスープには具が無かった。ケチと思うが、パンが有るだけマシだろう。


 後は奥方様が帰って来るまで一緒に過ごせば良いだけだ。

 仮眠を取ってくれるのが理想なのだが、久しぶりの同年代の遊び相手という事で楽しそうに見えた。普通なら遊び仲間がいても良い年代なのだが、家柄なのか過保護なのか子供の付き合いに口を出す親なのかは知らないが、友達は少ないらしい。

 一般的の家庭なら親と一緒に働いているから、結果として遊ぶ友達がいないのは仕方ないと言うか可愛そうと言うべきか。



 ネムがままごとをしたいと、人形5体(内3体が女性、2体が男性)を持ってきた。

 両親は人形を与えて娘のご機嫌を取っているのがよく判った。どちらかと言えばぬいぐるみに近いが、遊具を沢山持てる子供は少ない。

 人形を欲しがるあたり、普段は寂しく思っているのだろうと予想ができた。

 気が済むように付き合ってあげよう。



「リトがパパして。ネムレスがママするから。クレはママの友だち」クレハの名前が略された。  

「さいしょはパパが帰ってくるの。」


リト「ただいま。今日はお仕事大変だった」棒読みなのは気にしないで欲しい。

ネム「おかえり。パパ。あらやだ、すこしお花の臭いがするわ。どこに行ってたの」


 え? と思う。

「もう、ここはお仕事からって言うの」

 とネムが指導が入る。


リト「なにいっているんだい。お仕事に決まってるじゃないか」

ネム「いつもはホコリ臭いのに今日はおかしいわ。どうして?」

リト「・・・今日はお仕事大変だったからねむたいんだ。ごめんよ」といって人形を横にする。

 ネムがクレハの人形を呼んで、

ネム「ねぇねぇ、最近パパが変なのよ。どうしよう」

クレ「どうしたの~。なにか、あったの~」

ネム「最近よそよそしいのよ。それに知らない香りもするの。とても不安なの」


 クレハが返事に戸惑う。

「ここは、大丈夫。パパは立派っていうの!」

 またネムから指導が入った。


クレ「だいじょうぶよ。パパはりっぱな人だから~。おうちのこと大切にかんがえてるよ~」

ネム「本当に大丈夫かしら。わたし心配で心配で」

クレ「ほんとうにほんとう。だいじょうぶだから安心して」

ネム「そうよね。ごめんね変な事言って」

 ネムは私が横にした人形の横に寝かせる。


 クレハが人形を手元に持ってこようとした時に、ちょっとまってとネムの指導がは入る。

「お家に戻る前に、あらまあ、パパさんなにしてるのかな。お仕事見よう。って言ってから帰るの」


クレ「あらまあ。パパさんどうしたのかしら。なんかおもしろそうね。こんど仕事をのぞいちゃおうかしら」


 ネムが満足そうにうなずく。


ネム「朝ですよ。パパはお仕事に行くの」

リト「おはよう。パパはお仕事に行ってくるよ。ネムレスもママとお留守番よろしく」

 と、人形を歩かせる。


「パパ・・・、そんな事言ってくれない・・・」

 ネムが呟いた。しまった失敗した!と焦る私に、クレハが私の太ももをつねる。

「クレはパパの後についていくの」

 と、また指導。


 距離をとって人形を歩かせると、ネムは別の人形をを持ってパパに近づける。

ネム「どうしたの。元気ないよ。何か心配事でもあるの。」

リト「・・・」


「ほら、早く続きをいって。ママが変なことを言うんだって。言うの」


リト「ママが変なを言うんだ。とても不安だよ」

ネムは人形をパパ人形にくっつけて、

ネム「ううん。心配しないで。私が付いていてあげるから」


 流石に状況は読めた。クレハと小声で、日本語で話す。

「これって、まずくないか」

「まずいわね。昼ドラになってるわ」

「ネムはただ両親の真似をしているだけだと思っているようだけど」

「そのようね。子供って親の事をよく観察してるわ。さすがにこのままじゃ・・・、まずいわね!」

「どうしよう?」

「どうしようってわたしに振られても困るんですけど」


「なにひそひそ話してるの。ネムを仲間はずれにしちゃ駄目!」

 ネムはが怒り始める。


「とりあえず話を変えよう。童話で人形劇でもしてみるか。何にする。アヒルの子? サンドリオン?」

「お姫様になる話しは良いけど、継母が登場するお話しは避けましょう」

「そう言ってもお姫様な童話なんで知らないよ」

「わたしもそうよ。リトが知らない話しをわたしが知る訳無いじゃ無い。知ってるでしょ。こうなったら即興するしかないわよ」

「即興といってもネタはどうする」

「裁縫セットは持ってるわよね。汚れてベージュになってるけど、この布で人形のドレス繕って。ひらふわならどんなデザインでもいいから」

 と、クレハはタオル代わりの布を取り出した。洗っているものの確かに汚れてベージュ色だ。

 ちなみに、裁縫セットはアリアへ贈り物を作った時に揃えたモノで、あれからはツギハギのほつれ直しをしたいから、メフィストに貰った鞄に入れて持ち運んでいる。


「仲間はずれにすると、ママに言いつけてやるんだから!」

 放置されて、ネムは更に怒り始める。

 クレハが応える。

「ネムレスちゃん。ごめんね」

「あのね、わたしの国のお話しをしようって、そうだんしたのよ。あたらしいお話しを聞くほうがたのしいおもうの。いいでしょ」

 クレハが時間稼ぎしながら応える。

 私は話しのネタは大丈夫だろうかと思いながら、切った布は端処理しないでそれっぽく繕っていく。




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