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000 プロローグ

 私、いや私達はメフィストと名乗る『悪魔』に執拗に追い詰められてしまった。自覚は無いが、私には魂を取り込む能力(スキル)があり、その能力を求めて『悪魔』が這い寄っていた。

 その魂を取り込む能力(スキル)により犠牲となった、私の双子の姉は生まれる事が出来きなかったのだと(ささや)いた。

 本当か嘘かは分からない。『悪魔』の言い様だから嘘かもしれない。

 しかし、実際に私の魂から少女が現れたのは疑いの無い事実だった。


 生活を監視されている様なこのネット社会と、社会の人間関係の疲れに倒れ伏せた今際(いまわ)に、『牧歌的な生活』な生活を、『気を病まない生活』を求めるならば、双子の姉の人生を奪った事に贖罪があるのならば、その希望を叶えましょう。

 こんな甘言虚言に乗せられて、『魂を集める』対価に『牧歌的な生活』を与える契約の元、私達はこの異世界へ送り込まれてしまった。


 そして古い名を捨て、私は「リト・レナウ」と名乗り、姉の魂は「クレハ・レナウ」と名乗る。

 姿は、今際(いまわ)では50歳程だったのに、私は6歳程で、何故か姉は4歳の姿になっていた。流石に違和感があるので、妹と称するのだが、この自分自身の変貌ぶりには『悪魔』力の高さに怖さを思い知る。


 異世界転生と聞けば夢あふれる事象だとは思うが、『牧歌的な生活』が望みだから特別な能力(スキル)は必要が無いとそしられ、何一つ与えられなかった。言葉もだ。流石に会話能力(スキル)が無いのは契約違反だとゴネたが無駄だった。



 そして今、やっと辿り着いた小国の入り口で重大な問題が起きている。当然に言葉が通じないのだ。

 屈強な門の兵士に(すご)まれて(おび)えながらも、頑張って会話を試みる。

 兵士は困った表情をしつつ守衛室に戻った。奥から重く鈍い音がする。

 鈍器(どんき)だろうか、足枷の鉄球だろうか。


 私達の冒険はいきなりバッドエンドとなりそうだ。

 この場で殺されるのだろうか、奴隷とされるのだろうか。


 逃げたとしても、何も能力(スキル)は持っていないのだ。どうあがいても行き着く所はバッドエンドだ。


 プロローグで物語が終わるのを誰が想像出来ただろか。そんな気分だ。



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