第3話 魔王様はカースト底辺
前世の僕はイキッてた。
曲がりなりにも300年を魔王として統治してきたとういう自負がある。
今世で僕はそれを多少引きずっていた。
イキリにイキリまくって全滑りしたのだ。
それ以来、僕は今の僕として生きている。
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特別区立 三知之島学園
幼稚園から大学まで包括する教育機関。
それが僕達新世代の通う学校の名前だ。
三知之島とは、この埋立地の名前でそのまま学校の名前になっている。
……どことなく離島の学校の名前みたいだよね。
でも名前とは裏腹に、その景観は非常に未来的なデザインをしている。
三知之島は言うなれば軍艦島ならぬ学園島、三知之島学園は区分的な名称でも使われている。
モノレールが直接学園の敷地内に入り、改札口がそのまま出欠のログとして残るシステムになっている。
道中何故か僕の方を見て、クスクス笑われている気がするけど、 多分これも気のせいだろう。
まだまだ自意識が高いらしい。
……ほんと、こんな自分が嫌になるね。
改札を抜け、下駄箱から室内履きに履き替えているところで声が掛かる。
「どうした? 背中に盛大に足跡付けて、イジメられたか?」
振り向くと、強面のイケメンがいる。
金剛力也という名前の如く、長身で体格の良い男だ。
強面だが、悪そうなだけで校内でも人気の高いイケメンである。
「あぁ、それで皆笑ってたのか。勇希にやられたんだよ」
「高校生にもなってガキかあのアマ、嫌なら嫌って主張しねぇ真代も大概だが……」
力也はそう言って僕を睨む。
「陰口叩かない分、勇希は良い奴だよ」
そう僕が答えると力也は間の抜けた顔をした。
「お前、蹴られておいて良い奴判定って相当歪んでるからな」
「こうやって僕に構う分、力也も相当歪んでいるよ」
「うるせぇ! だ、ダチと連むのは普通のことだろ!!」
「そこで吃らなければ正真正銘のイケメンなんだけどね」
「テメェ!!」
しまった煽りすぎた。
顔を真っ赤にした力也から逃げる様に自分の教室へと、僕は向かったが……。
「ねぇ、やだ……あれ」
「金剛くん、何であんなのに構ってるんだろ」
「金剛くんってSランク帯よね。全然釣り合ってないのに」
「「「何であんな無能なんかと」」」
道中の雑音はしっかり僕の意識に届いていた。
ま、また短い(°_°;)