第2話 魔王様は嫌われている
「行ってきまーす」と母上に声をかけて玄関を出る。
時計を見ると時刻は7時半を回ったとこ「ゲッ」ろだ。
少しゆっくりし「ちょ、なん――」すぎた様だ。
エレベーターまで早足でいく。
僕が住んでいる特別区は結構広い。
東京湾をほぼ埋め立てたからだ。
中央防波堤の埋立地を拡大に拡大し続けた結果でもある。
そこで僕は――背後から強い衝撃に襲われた。
「痛いよ」
「蹴った私の方が痛いわよ!!」
「蹴らないという選択はないの?」
僕がそう聞くと、彼女『愛澤勇希』は苦い顔をする。
チンという音とともに、エレベーターが到着する。
幸い中に人は居らず、二人で入り1階のボタンを押した。
狭い個室に二人きり、沈黙に耐えきれなかったのか勇希は、
「別に、身体強化してるんだから痛くないでしょ」と口にした。
僕は「身体強化してても痛いよ」と答え、心の中で(軽く小突かれるくらいにはね)と呟く。
「ちゃんと鍛えないとダメよ。特にアンタには取り柄がそのくらいなんだから」
勇希は呆れた顔をして語る。
痛いほど図星だった。
僕には返せる言葉を持っていない。
沈黙していると1階についてドアが開いた。
「そんなんじゃ高校生活も灰色なんだからね」
そう言葉を吐き捨てて、呆れた表情のまま勇希は1人足早に去っていった。
勇希と妹の悠は似ている、僕を嫌っているって言う点がね。
僕は背に勇希の足跡がついたまま、それに気付かず登校するのだった。
み、短い(゜ω゜)