第18話 魔王様の引きこもり生活2日目 -夜-
僕は久しぶりにどっぷりゲームをした。
日本でのプロゲーマーの地位向上でネットインフラが進み、今では作られる新作の洋ゲーは日本サバが建てられている。
ラグ死が一番萎えるからね。
僕が買ったゲームは大人気ForTPS『ワールド・ジェノサイド・ウォー』。
1980年代に突如浮上したアトランティスの土地利権を求めて世界で武力衝突するという頭のおかしいストーリーだ。
獲得経験値は全てアバターや装備の見た目で、勝ち負けはプレイヤースキルのみという徹底ぶりと、
未来空想科学のアメリカ、超次元カンフーの中国、パンジャン紅茶ドラムのイギリス、そしてニンジャ将軍サムライの日本といった各国の特色を盛りに盛ったクレイジーぶりが、コアプレイヤー層とネタプレイヤー層から絶大な人気を得てしまったのだ。
『アイエェーーーー!! バクサン=ハラキリ!!』
ん〜〜見た目が派手な分、三人称視点の方が僕は好きかな。
アメリカやイギリス辺りはAIMの関係上FPSモードが良いらしい。
定番の陣取りモード、サバイバルモード、ゾンビアタックと一通り揃っている。
僕はレートを上げるためにひたすら潜った。
―――4時間後
「いやぁ〜乱世乱世」
ご満悦である。
3キロ離れたところからのフキヤスナイプが決まった時は脳汁ドドンパでした。
「……そんなに面白いの?」
「……っ!?」
ソファの隣でいつの間にか悠が座って画面を見ていた。
「お、面白いよ。常時1億人くらいアクセスしてるからずっと賑やかにやってる」
「いっ、1億人!?」
数の多さに悠は驚きを隠せないでいる。
世界規模で1億は少ない方で、もう少し経つともっとその数は上がると僕は思っている。
今やゲーム人口は世界の7割に達しているらしく、その中でこのゲームを選ぶ人間を考えればまだまだ少ないと思えたからだ。
……各国での販売時期の差って世知辛い。
「何ならやってみる?」
「……いいの?」
恐る恐る聞いてくる悠に僕は喜んで答えた。
「もちろん。悠がゲームを好きになってくれると僕も嬉しいよ」
「え、キモっ」
え、酷くない?
ま、僕はお兄ちゃんなので、顔には出さずにゲーム機を取り外して悠に渡した。
「……ありがと」
「こっちこそ、ありがとう」
「いや、そういうとこがキモいし」
良いんです、キモくて、お兄ちゃんだから。
これがきっかけで悠と共通の話題が出来れば嬉しいんだけどな、ぐらいの気軽な気持ちで貸し出した僕だったが、貸し出したゲーム機はしばらく帰ってくる事はなかった。
……ハマりすぎだよ妹よ。
すんっごい馬鹿なお祭りゲーがあったら良いなと考えながら書きました。