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第5話 精霊とお茶とお話と

 

 何だか朝から精霊が出て来たり、夕梨が暴走したり大変だったよな…………

 普通に精霊って見えないし姿を現さないんじゃ無かったか?契約者とかさ。

 俺と夕梨にその素養が有るって事か?しかも契約じゃなくて友達とか…………

 別に魔法とか精霊とかに詳しかった訳でもないから今一良く分からないな。しかも上級精霊って出会えないし契約とかも難しい存在じゃないか?


 それに夕梨になつく様に小動物が集まってきてたし、今もそう。

 夕梨は気付いてないみたいだけど、こんな都合良く野菜やら何やら見つからないし育ってないって。

 言葉にした端から米や麦が見つかったり綿花なんて突然生えてきたぞ?絶対おかしい。助かるのは事実だけど一応、仮説と検証はした方が良いよな?

 あんな偶然なんて有る訳ないんだから、夕梨の能力として考えた上で出来る事と出来ない事をちゃんと見極めておかないと、いざって時に困るからな。

 多分だけど精霊なんだからティルーネにも聞いてみた方が良いかも。

 また、焼き餅焼かれるかも知れないけど、ご機嫌取りながら話をしてみよう。大事な事だし放置はできない事柄だからな。


 植物に何らかの作用が出来るのなら、食品の蓄えにも関係するから生活基盤ににも影響する。

 冬が来るのなら備蓄しなきゃならないし、人や集落の探索は中長期になるだろうから何にしても必要な項目だな。

 後は俺の狩猟と衣類と…………紙か。まだ2、3日なんだから問題山積みなのは分かるけど、頭が痛いなぁ。


 って、訳で夕梨は家に置いて俺は単独で狩りに出掛けた。

 川の網設置は常時なので問題無い。肉と毛皮だ。保存は冷蔵室が有るんだから一角を氷漬けにして保存しよう。

 取り敢えず、刃物類は持って来たから魔法でうまく遠距離捕獲が出来れば最高なんだけどな。


 森の中の地形や植物の確認をしながら暫く歩いていると、木の幹の動物の巣穴?らしき場所から何かが垂れていたので落ちていた小枝に付けて確認した。

 多分、これはゴムの木だ。こんな場所に自生するのか?まさか夕梨が望んでいるとか?

 ま、何にせよ目印に紐を巻いて帰りに採取しよう。

 ん?向こうの木の陰で何か動いた!


 息を殺してしゃがみ、観察する。イノシシか?土を掘ってるみたいだ。

 土魔法で慎重にアイアンランスを作り出し、一気に放つ!しまった!1本しか当たらなかった。距離と威力はまあまあだが精度が悪い。

 仕方無いので走って近付きながらアイアンランスをもう一度放つ。また1本か。だけどかなり弱ったみたいでグッタリしているから慎重に近付いてナイフで首を切る。

 後ろ脚をロープで縛り木の上を回して吊り上げて血抜きする。

 大きかったので苦労した。あと、鶏肉が欲しいとこだな。

 毛皮としてはキツネや狼、クマなんかが良いのだろうな。それも視野に入れる。


 結果として鳥は3羽狩れた。先にゴムの木の枝から土魔法で作った鉄のバケツにゴムの樹液を入れ、クマを引きずって家の近くの川まで戻り、湿原の周りの水場に来た鳥を狙う事にした。

 水鳥だから羽根も使えるし、同じように川へ運び解体した。

 イノシシは丁寧に皮を剥がして水に漬けておく。うまく(なめし)しが出来るか分からないけど使えれば敷物や防寒服に利用したい。

 魔法で鉄のトレーを数枚作り、切り分けた肉を乗せていく。

 粗方終わったので本日の作業は終了して家に入ろう。肉が獲れたし夕梨も喜ぶかな?…………

 一度、玄関前まで全てのトレーを運び終えてから笑顔で家に入った。













 運良く畑や田んぼを見つけた私達は取り敢えずの量を収穫。零はお米の稲を刈り取って干した後、麦を刈ってました。綿花も摘んで背嚢に詰め込んでた。楽しみです。

 私はピーマンや苺、オレンジ、茶葉を摘んで、零が出してくれたバケツに其々入れていく。

 零が大根、キャベツ、白菜、牛蒡、玉ねぎ等を収穫。あ、レタスと…………これはホウレンソウ?も。

 結局、全部は持てないので零が魔法でリヤカー?っぽい物を作って、それで運ぶ。草原で良かったって零が言ってた。


 私は零の横を歩きながらお花を摘んで髪の毛にさしたり胸のポッケに入れたり…………零がチラホラ私を見てるの。カワイイ?


 家に着いて先ずはお風呂場!服を脱いで、下着も脱いで…………シャワーします!作業から帰ったんだから。

 今からお料理もするんだし、零の為にも常に清潔な女で居ないとね。

 私がシャワーしてる間に零が収穫した物を中に入れてくれる。お昼の準備も有るから早く出なきゃ!

 サッと身体を拭き、髪の毛は上で纏めてリボンで結ぶの。パンツを穿いてラフな感じのノースリーブワンピを着て炊事場に行くの。

 野菜だけかぁ…………何にしよ?あ、トマトとジャガ芋も有るから、有る野菜だけでラタトゥイユにしておむすびでいっかな?


 お昼ご飯は美味しそうに食べて貰えて良かったぁ。やっぱり嬉しいですね!

 零は昼から狩りに行くんだって。寂しい…………けど、仕方無いよね?必要な事だもん!で、私は収穫した野菜を片付けたり…………綿花から綿を摘む手作業をしなくちゃなの。

 手先だけだから良いんだけど、ずっと同じ姿勢だし前屈みになっちゃうから肩が凝ってきて………………その、わたしね?胸が大きい方なのね?だから普段から肩凝りさんで………重いのよ。

 今日は湯舟に浸かって解さないと。零も一緒に入るかなぁ?


 綿花は一旦きゅうけーい。クッキー焼いてからお茶しようかな…………あぅ。漏れちゃう!トイレトイレ~!


 ふぅ……………………危なかったわ。床が冷たくて長時間座ってるとお尻とか冷えちゃってて…………何か敷物をしないとお腹まで冷えちゃいそうだから気を付けないとね。

 スッキリしたから生地を作ってクッキー焼くの!それと紅茶を入れて………………一人って寂しいからティルーネ呼ぼうかな?忙しいかな?……………………そう言えばどうやって呼ぶんだろ?



「……………て……ティルーネ?お茶……しない?……………」


『はい、ユーリ様』


「………え?………………………………………………………………………ぎゃぅん!!!」


 突然の後ろからの声に、自失して茫然として、ビックリして飛び跳ねてから尻もちをついて涙ぐむ。



「ヒグ………グス………と、突然う、うしろから………………はなしか………けないでよぉ………ぐしゅん」


『も、申し訳御座いません、ユーリ様!呼ばれましたので迅速にと…………あ、』


「あ、………………………………漏れちゃった………」



 またお漏らししちゃった私は、事後処理をティルーネに任せてまたシャワーでしゅ………………

 クッキー作る前にトイレ行ったのにぃ・・・・お尻いたぁい

 パンツ穿いてキャミ着てスカート穿いたら紅茶を入れてクッキーを持ってリビングに行く。既にくつろいでいるティルーネがイスに座っていた。


「お待たせティルーネ………ごめんね?……………クッキー焼いたし1人は寂しかったから………………一緒にお茶しようかなって・・・お友達だし」


『驚かせてしまいまして申し訳御座いません。お声を掛けて頂けて光栄で御座います。あの………お尻大丈夫でしょうか?』



「うん………………痛いけど大丈夫………取り敢えずお茶しよ?あ、クッキー食べてね………」


『それでは恐縮ですが………まぁ!お茶もお菓子も大変美味で御座います!私、幸せ者です!』


「よかったぁ………あ、ティルーネ………妖精のお友達とか………姉妹とか居るでしょ?………そんな感じで話して欲しいの………なんだかお侍さんみたいで難しくて………バカでごめんね?」


 悲しそうに夕梨が話すのでウンディルティルーネも申し訳なくなり


『それは………………分かりました。コホン!美味しいわユーリ様。人間界のお菓子って美味しいのね?妖精はこういった物を口にする事が無いから嬉しいわ!ユーリ様が作ったの?』


「うん。わたし………妖精の世界には無いんだ………じゃあ、1人の時は来て欲しいな………ダメ?」


『うん。私もユーリ様の近くは嬉しいから!色々とお菓子知りたい!』


「ほんと!?来て来て!………でね?………色んなお話しながら………お菓子作って………お茶して」


 その後はね、段々ティルーネも砕けてくれてお話も弾んで!やっぱりお茶やお菓子のお話って女の子は盛り上がって楽しい………人間の事、妖精の事。色んなお話をして少しづつお互いを知っていけたら良いよね?

 一緒にお茶を入れてお茶のお話をしたり………今度、妖精の飲むお茶も持ってきて貰おっと。慣れて来たら好きな人とか聞いてみようかな?


 そんな感じでお話してたら洗濯物を取り込むのを忘れていたので、リビングでふくを畳みながらお話していたら………


『………ねぇユーリ様。この小さい布は下着なの?この形は………あ、胸に着けるの?』


「うん………私の居た世界なら女性は皆、着けてるわ………妖精はどうなのかしら?」


『そうなのね。妖精は人間と似ているけど余り下着って言う物を着けないから………下着はこの上下着けるの?』


 その後は下着で盛り上がったの…ウフ。で、身体の作りは同じなんだから機能的だしカワイイのだとオシャレだし気分も上がるからって、色々話てたの。

 服や小物、下着とかのオシャレの話も楽しい…………ティルーネとお友達になれて良かったぁ。

 あれ?…外で音がしてるけど零が帰って来たのかな?


「ただいま夕梨。あ、ティルーネとお茶?いらっしゃい」


 零が帰って来た!おかえりなさいっ!!一頻り抱き着いてから無事を確認しないとね。


「あれ……服着替えたのかい?」


「へ…………そのっ…………床に座って作業してたらお尻が冷えちゃってて…………も、漏れ、ちゃって…」


「そうなんだ。大丈夫?あ、毛皮が獲れたから急いで鞣してみるよ。今日はお肉が沢山獲れたから外で焼肉でもする?ティルーネも食べれるならどう?」


「うん!する!お野菜切るね!」


『口にする事は御座いませんが、宜しければ御一緒させて頂きます。葡萄水でも作りましょう』


「じゃ、2人共お願いね。外の準備するから」


 そう言って零は出て行ったから、2人でお肉を運んで大部分は地下の冷蔵室へ持って行き、残りは焼肉用にスライス。もしもと後日用にミンチも作る。

 野菜は適当にカットを教えてティルーネにやって貰いましょう。

 でも…………狩りに行って獲って来るなんて、さすが零だわ。感謝してます。



 ティルーネが居て仲良くお茶してるのは驚いたけど、良い事だな。あの現代日本に比べて、ここは何も無いから同性の友達が出来たのは安心出来る。

 外に出て、焼肉用の台と鉄板を作り、テーブルも作る。暗いから光系統のライトの魔法を上に浮かべて鞣し用に窯と台も作る。

 川から毛皮を出して取ってきた蓬やハーブを皮と揉みこんで窯で燻す。高熱で短時間処理だけど…………まあまあかな?

 台の上で石の丸棒で叩いたり伸ばしたりを繰り返しもう一度加熱処理をしておく。

 ハーブの匂いも残ってるし柔らかくなったし急場にしてはまぁ、上出来か。

 こっちでも野菜を数種みじん切りにして醤油を入れて圧力窯風の物を錬金して煮込む。うまくタレになれば良いけど…………

 毛皮をリビングの床に敷いて、カットした肉と野菜を外に運ぶ。



 お肉をカットし終えた頃に零が大きな毛皮をリビングに敷いていた。凄い!感謝感謝!

 これでお尻の冷えは取り敢えず大丈夫。

 出来た物を外に運んで、焼いちゃいましょう。

 わ、明かりが浮いてる。どうやったんだろう?いつの間にか焼肉台も!さ、油を曳いて、お肉と野菜をならべて…………


「零…………このお鍋は何?」


「即席だけどタレにチャレンジしたんだけど…開けてみて?」


「…………それっぽいのが…出来てるよ?」


「なら良かった。さ、食べよう。ティルーネも試してみなよ?ダメなら他の料理を考えるから」


『焼いた肉をこの…タレ?につけて食べるのですか?…………ん、んん。あ、以外に美味しいです!私達は基本、肉食では無いので驚きです!』


「それは良かった。夕梨もタンパク質はしっかり摂ってね?細いんだから。それにしても、すっかり仲良しさんだね?俺は安心出来るけど。あ、ティルーネ。この世界って人間は居るの?」


「うん…………お友達なの。私もお話出来て嬉しい」


『はい。ユーリ様と仲良く出来るなんて嬉しいです!ゼロ様のお傍にも居られますし。この人間界にもたくさんの人が居ます。町や国も御座います。ここからですと最寄りの町まで10日程でしょうか……』


「「居るんだ」うーん、10日かぁ。結構掛かるんだね?夕梨と一緒にだと更に数日、って感じか。文明はどの程度なんだろう?」


『ここは山脈の麓の高地で人里からも離れておりますから。道も奥深い山道になりますから、ユーリ様ですともう10日は見た方が…………文明ですか?どれを基準に致しましょう?』


「やっぱりそうか。行くのは保留だね。知識としては知っておきたいから…………例えば建物、衣服、貨幣、道、徒歩以外の移動手段、などなどだね」


『村などの家では木造ですが町の建物には石やレンガ造りで王城は大きいですね。町の中は石畳みですが他は土です。服は様々ですがユーリ様とゼロ様の様な服は見た事有りません。下着もです。貨幣は金貨や銀貨が主流です。移動は主に馬、馬車です…………余談ですが…………魔法技術は衰退していますので…』


「…俺の魔法は抜き出てるって事ね。他も大体分かったよ、ありがとう。それからさ……夕梨の事なんだけど……」


「え?わたしがどうしたの?」


『私の口からは申し上げできません。ですが………御推察の通りかと…申し訳御座いません、ゼロ様』


「やっぱりそうか。いや、ありがとう。何だか色々と疑問が解消されつつある。ま、ほんの少しだけど」


「…ねぇ、ティルーネ……なんで零の事は"ゼロ様"なの?……」


『ごめんねユーリ様。それも私は言えないの……』


「うん……何かの秘密が有るのね?それも…………零は分かったって事?」


「ま、そんなトコ。恐らく今回の転移は俺じゃなくて夕梨、君が原因だ。しかも人為的に転移した。危険が有るとしたら夕梨だ」


「そうなの?なんだか…………良く分からないけどぉ……」


『はい。流石はゼロ様です。その為に私達が居ります。ユーリ様のお傍に』


「…………漸く、数千年の放浪の意味と答えが出るかも知れないんだな。感慨深いものがあるね…フフ」


「じゃあ……ティルーネも零と一緒に…守ってくれるって事?」


『ええ。ユーリ様の傍に』


「なら、方針は決まった。無理に今はこの世界の人間社会と関らない。ここで、夕梨と君達妖精と大自然と今の生活を楽しむ」



 その後は3人で焼肉を楽しみながら今日の出来事をお互いに話して楽しかった。以外だったのは、ティルーネも人間と結ばれるのに問題無いって事。主に肉体的に。本当に人間の女性と変わらないのね?それなら今後、色んなお話で楽しめそう!

 2人が謎掛けみたいな話をしてても、私には良く分からなかった。何て言えば良いかも分からないし…………私なりに考えは纏めておかないとね?






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