第4話 精霊と
文章力が乏しくて・・・
「・・・・・ぅん・・・すー・・・」
うっすらと目を開ける・・・まだ少し薄暗いかな?鳥の囀りも微かに聞こえる。
昨日の晩は満ち足りて幸せな時間・・・だったなぁ・・・まだ余韻に浸りたいな。
でも、朝の生理現象が待ってはくれないのでそっと抜け出してトイレに。
わ!初めて使うけどスゴイ!大理石みたいな感じの洋式便器だわ。
コレかな?・・・あ、ちゃんと水洗なんだね。嬉しい・・・
寝室に戻ってパンツを履いてワンピースの寝間着を・・・やっぱりそのままベッドに入ろ。
零の感触を直接感じていたいから・・・
ん・・・そろそろかな?・・・ふぁ・・・・良く寝たぁ・・・なんだかスッキリ!
ソッとベッドから出て、寝間着を着てから玄関に行く。
石製の少し重たいドアを開けてデッキ部分に出ると、眩しい太陽が顔を覗かせ始めたあたり。
少し先の湿原に目をやると、朝日を浴びて花や葉、湿地の水がキラキラと輝いて美しい風景に拍車が掛かる。
この世界で零と生きて行くのも素晴らしい!この美しい世界を2人占め!・・・何て思っていると小鳥達が一羽、二羽と集まり始める。
そのままその場に腰を降ろして楽しげに眺めていると、リスがひょこっと顔を出しトコトコ近付いてきた。
「・・・リス?・・・かわいい・・・」
暫く向き合って見ていると、膝に登って来た。
大人しくしているのでゆっくり撫でて・・・2匹目が出てきて肩によじ登って来てモゾモゾしてる。
色とりどりの小鳥が次々にやって来て夕梨の周りで囀ずり合って賑やかになってきた。
ウサギもやって来て目の前で飛び跳ねている。
不思議な現象にも楽しくなってきた夕梨は、その環境にウキウキしていると何処かから声が聞こえてきた。
ーーーウフフーーーこっちよーーー
「・・・え?だれ?・・・」
辺りを見回して・・・水芭蕉の群生で止まる。
「・・・うそ・・・ようせい・・・・?」
そこにはお伽噺に出てくる様な妖精が二人、楽しそうに飛び跳ねている。
---アハハ-----ウフフフ-----
-----あなた---やさしいのね---
「・・・え?・・こっちに来て・・・お話しましょう?・・・」
夕梨はドキドキしながらも、妖精と触れ合ってみたい欲求に駆られて大胆にも声を掛けてみた。
すると以外にも、返事はすぐに来た。
-----いいわよ----
妖精達は透明で小さい羽根をパタつかせながら夕梨の前に来て浮いている。
「・・・あなた達と・・・会うのはじめて・・・」
----はじめて----ステキなこと-----
-----あなたはキレイ-----愛がキレイ---ステキなこと-----
「・・・この景色も、あなた達も綺麗だと思うけど・・・・・私は・・・そんなキレイじゃない・・・よ?・・醜い嫉妬も欲望も・・有るんだし・・・・汚いよぉ」
『その様な事は御座いませんですわ、母神様。御霊の美しき母神様は我々生命の拠り所・・・申し遅れました、水の上級精霊でウンディルティルーネと申します。お会い出来ました事は最上の喜びで御座います』
声がしたと思ったら、目の前に水草と花の様な服を着てエルフの様な外見に足元まで有る金髪の精霊が現れて、跪いた。
「・・・・・・・・・・まあ、何だかスゴイ精霊さん?なんですね?・・・ビックリしちゃいました・・・私は・・・そんな良い者じゃありませんよ?・・・もう精霊でも魔法でもどんと来いですぅ・・・って、言うかお友達になって貰えませんか?・・えっと・・ウンディルティルーネさん?」
『お友達など恐れ多くて身に余ります。私達は母神様の僕で御座いますので、何時でも御呼び下されば微力を尽くしてお仕え致します。母神様のお傍にお供致しますのが私達の喜びで御座います・・・ドントコイは勉強不足で申し訳御座いません』
あ、どんと来いって分からないんだ・・・異世界だもんねぇ。
「うん・・・良いって事?やった!この世界ってお友達居ないし・・・女の子同士でお花摘んだり、お料理したり・・・・恋話も・・したいしぃ・・・キャッ///あ、後ね?私の事は夕梨って呼んでね?お友達なんだからぁ」
『・・・・えーでは、ユーリ様と恐縮ながら御呼び致します。それで・・・その・・・お住まいの中に・・・ご主人様、いえ、、御尊主様がいらっしゃいます様で・・・その許されるならば、いえ恐れ多い事は承知で御座います。お許し願えれば、一目でもお目通りが叶えばこの命果てても本望で御座います』
「ご、御主人ってぇ///そんな・・・ま、まぁ・・夫。いい響き・・・・・ゴホン!しゅ主人に会いたいのね?少し待っててね?それとティルーネは言葉が難しいから少し砕けてよぉ・・・ちょっと待ってね」
女の子のお友達が出来て良かったぁ・・・って、主人よ主人!あー恥ずかしっ///
零を起こしてビックリして貰おっと。
と思ったら既に起きて服も着て顔を洗ってる最中だった。
「おはよう零・・・あのね?早起きしたらお友達が出来たの。それでね?・・・ご・・・ご主人にも、御主人にも挨拶したいって・・・・ダメ?」
「おはよ、夕梨。ん?いいよ?・・・・・・え?友達?え?だれ?なんかヤバくね?え?」
待たせてるからって言われて、左腕にしがみついて歩き始める夕梨に着いて行く・・・ん?主人?・・・ま、いいか。2人なんだし、このままこの世界に居ればそうなんだから。
で、玄関を出ると予想外どころの騒ぎじゃ無かった。
小鳥の群れ。ウサギ達が跳ね、リスが何匹もチョロチョロと駆け回り・・・・初めて見たけど妖精が飛んでいた。しかも・・・見た感じ高位の妖精さんが跪いてた・・・なんだコリャ
『ああ!御尊主様にお目通り叶うなんて光栄に御座います!!なんと眩い御霊の輝き!流石は我らの。いえ、私の絶対にして唯一のお方様!!誠に惚れ惚れ致します』
あのーこの人・・・なんか大丈夫かな?誰かと錯覚、いや妄想?してない?
て言うか状況がさっぱり理解出来ないんですけど・・・・・あれ?なんでジト目?
「ちょっと零!主人を紹介してって言われただけなのに、もう浮気なの?異世界浮気とかダメよ?ダメ!まったくぅ。ちょっと目を離すとスグ女の子が寄って来るんだから!女の子ホイホイなの?私だって零が魅力的なのは嬉しいのよ?でも、でもね?浮気は良くないと思うの。そりゃあ零はカッコイイし優しいし頼りになるし何でも知ってて何でも出来て・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・あ、あのさ?夕梨がこんなだから君に聞くんだけど、あ、俺は零ね。君の名前は?これってどんな状況なのか分かる?」
『恐れ多くも私、ウンディルティルーネと申します水の上級精霊で御座います。御尊主様を御名で御呼び致しますなど滅相も御座いません。やはり精霊神様の伝承の通り、ゼロ様なので御座いますね。惚れ惚れで御座いますわ。それから・・・私にも状況は分かりかねます』
「はぁ・・・分からないなら仕方無いか。それと、精霊さんと知り合えたんだし名前でいーよ名前で。あ、ゼロじゃなくて零ね。そんな大した事ないんだしさ。ま、よろしくね?ティルーネ」
『はぁ///夢にまで見たゼロ様ぁ///・・・コホン。では、恐縮ですがゼロ様と。いつでも御呼び頂けましたら此のティルーネ!直ぐに駆けつけます。本日はこれより神官精霊様に報告を致しますので、これにて御前を失礼致します』
なんか・・・言いたい事言って消えちゃった・・・・・・これ、どうすんだろ?
「・・・ちょっと、零?さっきから聞いてるの?まったくぅ・・・ちょっとカワイイとすーぐこれなんだから・・・少しは私を安心させて下さい!聞いてる?」
「聞いてるって・・・夕梨、落ち着いて、いいかい?落ち着いて。うん、いい子だ。まずは・・・この動物達はどうしたんだい?さっきの精霊達も。それから、俺は夕梨が大好きだよ?大体、夕梨が呼びに来て初めて会ったティルーネとどうやって浮気するんだよ。しかも彼女は精霊だろ?・・・ま、中に入って落ち着いたら朝食にしよう。お茶を入れてあげるからさ。ね?」
そう言って私をたしなめながら背中を押されて家に入る。
リビングに魔法でソファー替わりのベンチとローテーブルを作ってくれたので腰掛けて待つ。
零が紅茶を入れてくれた・・・・ありがとね、嬉しいです。
なんかね?二人っきりだから無意識に安心してたんだと思う・・・そこにティルーネみたいに神秘的な女性が現れて動揺しちゃったんだと思うの。奪われたらどうしようって・・・
結局、私が小心者で臆病で嫉妬深くておバカなんだろうね。反省・・・
ほら、こうやって隣に座って抱き寄せて甘やかしてくれる・・・・凄く嬉しい。安心するの。
一頻りして落ち着いた私は朝食の準備に掛かる。
小麦粉も砂糖もベーキングパウダーも。ホットケーキにしよっ!塗りモノは苺ジャムね。
火加減が難しかったけど何とか完成!紅茶を渋めに入れて、と。
はい、お待たせ零。食べよ?
トイレの感想や朝の出来事など話ながら食事を済ませて、片付けをして身支度を整える。
零はいつものアーミーパンツに長袖シャツとブーツ。私はどうしよっかな?んーと、私もブーツが良いのかな?じゃあロングのスカートにしてTシャツとジャケットにしよっと。
お待たせ。準備出来たよ―あ、日焼け嫌だからファンデ塗っておこっと。はい完了!
さあ、お野菜探検にしゅっぱ―つ!
どっち行くの?あっち?昨日は向こう?フーム。湿原の反対ね?なるほど・・・
森は?・・・そっかぁ、森の中に野菜畑や果物畑は無いもんね。勉強になる。え?畑は無いの?自生だから当たり前?そんな事言われても分かんないもん・・・畑あったらいいね~キャベツにレタス、ピーマンと玉ねぎ。大根白菜人参ホウレンソウー
あ、お米と小麦も無いと困るから田んぼどっかにないかしら?え?田んぼも無いの?でもでも、私無いと困るもん・・・お米食べたいしパンも焼きたいし・・・イースト菌?そんなの有ったかなぁ。
あ、後ね?お布団がちょっと・・・羽毛?じゃあ小鳥さんに分けて貰おうよ。水鳥?違うの?じゃあじゃあ綿は?綿花?ふーん植物なんだね?零は何でも知ってるんだね?さすがです!
ああっ!零、あのね、あのね、その・・・水洗は凄く感謝なんだけど・・・か、紙がね?欲しいなぁって。ええ?紙って木なのぉ?チップ?熱処理?分別?漂白?吹付?乾燥?良く分かんないかも。えへへ・・・試してみてくれるの?ありがとう零!さすがです♪
ほんと、零って何でも知ってて凄い!さすがだね!
それに比べて私は何にも知らない。おバカな女の子です・・・落ち込みそう・・・だけど仕方無いよね?都会で普通に育った平凡な女なんだもん。今から覚えれば大丈夫よね?
本当に景色が綺麗!もう空の青と草原や森の緑が凄く奇麗なの。川のせせらぎもリラックス出来るしお花も色取りどりで絨毯の模様みたいでウキウキしちゃって自然に笑顔になれる。
ん?あの辺に何か有りそうなの?なんだろうね!田んぼかなぁ?お野菜かなぁ?キャベツに白菜レタス大根牛蒡人参ピーマン玉ねぎ。あるかな?あるといいなぁ?ジャガ芋とトマトは有ったんだよね?
大分近付いてきた。ん?なんか畑が有るね。何のお野菜かなぁ?楽しみ!
うわぁ・・・いっぱいお野菜あるよ零。これなら困らないね♪後はお米と小麦だね!
え?あっち?あれって小麦なの?向こうはお米??すごーい!さすがです。頼りになる旦那様だね。
だって私じゃ、どうにもならなかったよ?
あ、綿花だっけ?それって無いの?え、有るんだ!やったぁ。お布団やソファーが充実するね?
その後私達は、持てるだけの野菜と綿花を収穫して一旦家に戻ったの。
取り留めが無くて申し訳ないですぅ