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第11話 現実と幻日

 

 パチっと目が覚める。時間を決めていれば勝手に目覚める。

 夕梨は熟睡してる。柔らかい肌と二つの山と甘い香りを楽しんでからベッドを出る。

 まだ4時のはず。サッサと着替えて顔を洗い、コーヒーを飲んで覚醒を促し作業を始める。

 ま、洗い物からだけどね。だから水道管を水場に其々と系統に分けてから、全ての部屋の床に這わす。その上にフローリングを貼っていく。元々が石では冷たいから用意しておいた。


 キッチンにも、竈と別にシンクの横にIHヒーターを作った。これで便利だろう。

 電気温水器を作って配管を繋ぐ。家に戻ってお湯のテストをしてみる。うん。問題無いな。床もちゃんとスイッチを入れた場所の床だけ温まってる。夕梨が冷えなくて済むな。



 照明も各部屋のスイッチを試して回る。これも問題無。

 外の釜土で燻した毛皮をローラーで圧を掛けながら伸ばす。中々じゃないか?

 出来た布を集めながら巻糸をセットしてゴムの糸も大小作る。時間を見ると7時だ。休憩しよう……疲れた。

 牛と鶏を撫でてやりながら挨拶をしてやるとうれしそうだ。さ、卵の確認な。ん?リスが1匹こちらを見ているぞ?辺りを見てドングリを拾い置いてやると取りに来てカリカリ始めた。



 中に入って脱衣所に入ると全裸の夕梨が居て、前を隠して固まってる。改めて明るい場所で見ると、綺麗な身体だな。実に美しいと思う。

 俺もシャワーしようと思っていたので、一緒に入って流し合いをしてスキンシップをしておく。夕梨も嬉しそうだから正解だったな。

 サッパリしたので氷を入れたオレンジジュースを2つ作る。









 昨日はちょっぴり焼きもち焼いたけど、お風呂と寝室で可愛がって貰えて幸せ………

 零に抱き着こうとして腕を伸ばして……スカっ?あれ?

 目を開けると零が居ないの。何だか寂しくなってきて……

 ベッドから出て、下着とパジャマを身につけて廊下に出る…………あれ?、廊下!床がフローリングになってる!

 それぞれの部屋も!良く見ると壁にスイッチが付いて電球に変わってる!すごい!

 キッチンに入ったら火元が増えてIHヒーターが付いてる。凄過ぎでしょ!水道まで変わってる!

 って、感動してたら…………あ、………シャワーしよ………



 脱衣所で下着まで脱いだタイミングで零が入って来て……とっさに前を隠す!

 だって………いきなりでビックリだし、明るいし、恥ずかしいし、恥じらい大事だし………

 固まってると零も服を脱いで一緒に入る事に。寂しかったから嬉しいけどね。朝からスキンシップ取れると気分も晴れるわ。怠いのは抜け無いけど……

 床と電気と水道見たよ!あ、キッチンも!日本と変わらないね?さすが零だね!ありがとう!

 ん?体調?怠いけど大丈夫だよ。お裁縫もあるし頑張るの!

 零は余り服がないから、まずはそれから作らないと。染めもしないといけなし。

 それから……私の下着なんだけど…………こんな感じの生地で………あんまり見られると恥ずかしいよぅ………どうかな?難しい?うん。伸縮性が無いと……ナイロンが無いから…………そんなに見ないでよぉ………



 朝食の後、零が布を出来た分だけ持って来てくれたから、先ずは布団から作る事に。

 マットが無いから敷布団は綿詰めで掛け布団は羽毛にしたの。どのみち羽毛の量がまだそこまで無いしね。

 布団以外は色物にしたいから染めなきゃ!特に服は白ばかりって訳にも行かないし、零の服とか濃い目の色だから。

 染料は植物から取るので私の能力が生きるの!何でも来い!なんてね。

 白でも良い、布団、シャツと下着を少々。シーツやカバー、布巾にクロス………零の服は黒、緑、青、茶で作るの。森で目立たない様にね。

 遮光カーテンは青、緑、オレンジの3色。レースは後よ。私の下着も下着用の薄い伸縮性の布が出来てから。



 取り敢えず、布団とカーテンは出来たの。零の服は引き続きです。白のTシャツやブラウスは出来た!

 私服のワンピースと2人のパジャマのワンピースも白で作っておこうかな。あ、ティルーネとシュラーナの分も作ろっと。


 今日は作業に没頭したいから、零には申し訳無いけどお昼は簡単にサンドウィッチにして、夜はまともに中華ね。青椒肉絲と小籠包、スープに春雨サラダ。

 お風呂の後は2人で新しいパジャマと布団に包まれて気持ち良く眠りに就いた。






 翌朝、意識が浮上してくる。やっぱり怠いし肩と首が重い……

 零にくっついてモゾモゾしてたけど起きないといけないから頑張って布団から出る。あっ…………立ち眩みで倒れそうになる。

 え?後ろから零が抱いてくれた……起きてたの?うん。大丈夫だよ……過保護に抱っこして、トイレに連れて行ってくれる。恥ずかしいけど嬉しい。

 トイレの後もリビングのソファーに私を横にして、紅茶を入れてくれた。

 アーリーモーニングティーね?うん、少しゆったりしてから動こうかしら。毛布も持って掛けてくれる。優しくて嬉しくて、好きが止まらない……



 ミンチは有るので

 ハンバーグを焼いて野菜も挟んでハンバーガーを朝食に、コーヒーにした。

 私は朝のお掃除とお洗濯ね。牛さん鶏さんは零が世話をしてくれた。その際、アリスが出て来るみたいね。

 零が怪我をした大きな魔狼の綺麗な毛皮の処理が終わったので受け取る。キレイだし手触りもいいわ。どんな加工にするか悩むけど、やっぱりコートかなぁ?

 今日も布の製作をしてくれているけど、簡単な手織り機が作れないか頼んでみたの。チェックとか柄物の生地も欲しいから、可能なら自分で織るわ。

 これでも学校の部活で活躍してませんから!お料理と裁縫なら自信有るもん!何でも作るわよ?



 直ぐにお昼。ご飯どうしよ?……うん。炒飯と餃子にしましょ!

 食後のお茶はローズティーに好みで林檎のスライスを浸けて。香りも良いし味わいもサッパリと。

 ソファーに座ってゆったり寛ぐ食後のお茶。幸せな時間達……



 お昼からは染が終わった生地からカーテン、零と私の服、などを作り続けて夕方でストップ。

 牛さんと鶏さんを小屋に戻してアリスにもドングリをあげる。

 晩御飯は肉団子とお野菜たっぷりの鍋にしました。あっさりヘルシーで量も食べれるしね。私は少な目だよ?おデブちゃんだと零に呆れられたらやだもん!


 片付けは零がやってくれるそうなので、悪いけど先にお風呂に入って長めに浸かって身体を解したいの。肩凝りがね…………お風呂の後は保湿クリームでピカピカに!

 自作のパジャマが何気に出来が良くてきゃわいいかも!白なんだけど、胸の下で絞ってフワッとしたワンピ。裾と袖にフリフリと胸元や袖にリボンでお人形さんみたいな感じ。零は大丈夫かな?

 案の定、お布団に入るまでチラチラ見てるの…………今日は可愛がって貰いました。私も盛り上がちゃって…………中々収まらなくて。誘った訳じゃないけど嬉しい…………私に溺れて貰えて。





 ぅん…………また、気を失ってたみたい……

 激しいと私の体力じゃ持たないみたい…………申し訳なくなってしまって。抱き着いたら……元気だったから御奉仕しました。

 零が起きて大丈夫か?って聞かれたけど、私こそごめんなさいして鎮めてあげました。

 仲良くシャワーして、私の髪を乾かしてくれたのでお礼のキスはちゃんとします。服を着ると着心地も良くて出来が良いと褒めて貰えて一安心ね。


 食後に2人でお茶しながら話していたら


「2人はいつ呼ぶんだい?」


「…私はいつでも…………あ、明日にしない?……その……ね?」


「うん。女性同士の方がいいだろうから任せるよ」


 そして日課のお掃除、お洗濯、畑で足りな物を育てつつ収穫して。零は牛さん達のお世話してから倉庫。

 昨日に続いて服と寝具の予備、クッションなどの小物も。

 零が伸縮布をっ持って来てくれたので下着などのインナーに挑戦。普通はポリエステル、ウレタン、ナイロンだからどこまで工夫できるかね。デリケートな部分だから触感はなるべく近づけたいな……


 お昼は猪肉だけどすき焼き丼の卵とじ。お味噌汁とお野菜ね。

 食後は緑茶を飲みながら、くっついて・・・寝てしまってた。








 夢?現実?私は気が付くと日本に居た。あのままの日常。変わらない日々と大切な零と親友の茜、クラスメイト。あの……日本。

 何の変哲も無い日常と零との生活。

 両親は嫁いだ娘的な感覚で海の向こうから見守ってる。零とは避妊はしていたけれど、順調な同棲。恋人。

 学校も高校で進学を止めて、家庭に入って生活を支えた私。零は大学の通信課程を受講しながら、政府のエージェントとして正式に極秘任務に就いた。そして結婚。

 私は妊娠して家での生活。念願の赤ちゃん。出産と子育ての中で、疑問は無い。それが私と零と子供の……私達家族の幸せと思っていた日常。実際に幸せ。

 子供達が学生時代までは色々あった。大変だけど、よその家庭も同じ。茜の家庭もそう。

 それが当たり前の世の中で普通で平凡な家庭で人生。夫婦仲も良好。私に不満は無い。

 子供達も巣立ち、家庭を持ち始める。私達夫婦の様に。でも…………零はどうなの?私は幸せだったけど、夫はどうっだったのだろう?途端に分からなく、不安で………臆病な私が出て来る。

 私は彼の幸せを作ってあげられたのだろうか?支える事が出来ただろうか……私だけ幸せだったのかな…………怖い。

 そして別れ。魂が引き裂かれそうに苦しく悲しい。彼の身体にすがりついて泣く事しか出来ない私。突然、"あの"黒が広がり、私達2人を飲み込む。

 嫌、やめて!私から零を奪わないで!………【私達の魂は何処までも一つなのよ!】え?誰?


 黒いモヤが薄まり、やがて………私は目を覚ました。



 どこ?…………れい………


「ここだよ。大丈夫か?涙が流れてる……怖かったのか?」


 うん。怖かった………あれは夢?現実?今こちらが夢?あれはもう一つの世界?いいえ………どちらでもかまわない。零と居る今が現実で。だって、私達の魂はひと………………アレはだれ?


「大丈夫か夕梨?」


 ぼーっとしてたみたい…………うん、ダイジョウブ。でも、もう少し抱いていて…………






 気持ちを切り替えないと!多分、あれも"現実"でも今の"現実"を生きなきゃ。あれはもう"幻日"なのだから…………

 時間を見ると3時。零は2時間もこうして抱いててくれたのかしら…ありがとぅ…………

 お茶を飲んで漸く落ち着いたわ。

 叶う事の無い現実に悩んでも仕方ないので、お裁縫に精を出す事にしましょ!

 夕方になったから晩御飯の準備ね。零は出来るまでノンビリしていてね?



 今日は山菜パスタよ。味付けは和風で。パンはスライスしてガーリック焼き!味が濃いいから飲み物はジャスミンティー。

 美味しい?良かったわ。






 昼飯の後、夕梨が寝てしまった。最近、身体の不調を訴えているから昼寝位良いんだけど心配だ。

 しかも、うなされて起きた後に放心したいた。泣きながら。何があったのだろう?

 能力の事もだし、色々と悩みや不安が有るのだろうな…………

 俺もここへ来てから変化が起きている。先ずは魔法。これは魔素のある世界だし有る程度は分かる。ただ規模が桁違いだ。

 全力で放出した事はないけど、恐らく大変な事になる。戦略級規模の魔法になるはずだ。

 それと身体だ。体力が徐々に上がっている。全身の筋力もだ。この前の魔狼の動きなんて、思い返せばとでもないスピードだった。体術に覚えのある俺でも無理だ。普通の人間には避けられないぞ?しかも見えていた。ハッキリ言って異常だ。

 俺と夕梨に何が起きているんだろう…………



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