表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第1話 これは現実?

初めての投稿、連載になります。

作品を読んで頂いた方も自分も楽しめればと思います。



 


 ----- 2026年 5月 日本 -----




「あついな・・」


 学校が終わって自宅に帰り、リビングの冷房を付けてから自室で着替える。

 携帯にメールが入り、もうすぐ夕梨(ゆうり)も帰って来るようだから飲み物でも用意するか。紅茶を入れる為に湯を沸かし、茶葉を出してからグラスを二つ出して氷を入れる。

 リビングのソファーに座りテレビの電源を入れる。チャンネルは適当。

 数分間、ぼーっとしていると湯が沸いたみたいなのでキッチンのヒーターを切ってポットに湯を入れる。茶葉をストレーナに入れて紅茶の出来上がりを待っていると、玄関の方から音がして夕梨がリビングに入って来た。


「ただいま・・・晩御飯はハンバーグとポテトにサラダで良いい?」


「お帰り。わるいな 夕梨に任せるよ」


 そう言って俺は出来た紅茶をグラスに注ぎ、レモンスライスを入れてリビングにもって行く。彼女は食材を冷蔵庫にしまってからこちらに来て、俺の隣に座ってこちらにもたれかかる。

 部屋には誰も見ていないテレビの音だけが流れる。この、まったりした静かな時間は好きだ。

 お互いに静かなのを好むし落ち着くから問題は無いんだけど、老夫婦みたいじゃないか?しかも、夕羅は美少女だ。銀紫髪紫眼のクウォーターで発育も良い。特に母性のふくらみがけしからん事になってる。

 夜などはダブルベッドに一緒に寝ているから我慢が大変なんだよ。自分が修験者か何かかと思えてくる。




「・・アイスティーおいしぃ・・」


 私は零の入れてくれたアイスティーを一口飲んで、彼の腕にしがみつく。

 えーっと、私は天音夕梨(あまねゆうり)。先日、14歳になったばかりの中学二年生です。で、彼は次元零(つぎもとれい)。一つ上の三年生。彼の両親は居なくて、遠い親戚の叔父さんが海外の軍隊に居るらしいんだけど、私のお父さんが知り合いらしくて その関係で家の斜め向かいのこの1LDKのマンションに小さい頃から一人暮らししいてるの。

 まぁ、私の両親も1年の殆どを海外で仕事してるから実質ここで零と同棲みたいな感じになっちゃってるのよね。勿論、学校の友達や先生とかには内緒だけど・・・


 私達も一緒に居て長いけど、まだ中学生だし焦っては無かったのよね。だけど子供の頃から一緒に寝ていたのもあって、先月ついに・・・そう言う事になっちゃって。

 何だか、お互いに自然とそんな流れって言うか・・・そうなるのが当然って言うか。私は当然嬉しかった。ドキドキしたし緊張もしたけど、大好きな零以外は考えられないし。

 ただ、何故か零は手馴れてる感じなのよね?いつも一緒だけど他の女性としてないよね?

 その後日の誕生日にブルーサファイアの嵌ったペアリングを買って貰ったの。石がリングの中に埋まってるタイプだから普段の生活にも邪魔にならないのね。私は指に。零はネックレスに通して身に着けてるの。どの指かは聞かないよーに!

 一応、お母さんには電話で報告したの。喜んではくれたんだけど、まだ孫は早いからと注意はされたのよね。ウチの親って変わってるのかしら?

 あれ以来、定期的に週に1度か2度はしてる。やっぱり早いよねぇ。

 でもでも・・・親も知ってる訳だし、本人同士も納得してるし。何より、気持ちと身体が求めちゃうんだもん。これでも我慢してるし避妊も気を付けてます。

 私ってエッチな女の子なのかなぁ?でもでも!クラスの子達だって皆、この手の話は結構な内容で話してるし彼氏持ちも2人居るんだから大丈夫よね?


 まぁそんなこんなで・・・正式に彼女になれて一安心。おまけに零ってば生活費とか稼ぐのにお仕事してるんだけど、結構稼いでるみたいで余裕あるのよね。私と二人分の生活費は零が出してるし、貯金もしっかり貯めてるし・・・ウチの両親からの仕送りは毎月口座に入ってるんだけど、零が貯めておけって。

 私の親より保護者っぽいってどうなのかしら?おまけに大きなスクーターも持ってて、良く後ろに乗せてもらってお出掛けとかもするんだけど、どうなってるのかしら?謎だわ・・・

 背も181㎝と高いし顔も少し大人っぽいから誤魔化せるとは思うけど、何故か免許証あるのよね。なんで??

 マッタリしちゃったけど、そろそろ零がお仕事行くからその間にお掃除と晩御飯の用意しなきゃ。



「そろそろ行って来る」


「・・・うん 行ってらっしゃい。気をつけてね」



 マンション1階の駐輪場に行ってバイクに跨る。

 10分程の距離にある大型スーパーの中にあるたこ焼きと焼き鳥の店がバイト先。昼の部と夜までの仕込みはパートのオバチャン達がやってくれて、閉店の20時迄はバイトの女子高生達と俺でまわす。

 一応俺は店長代理で給料も歩合で貰ってるから結構な額になる。店長には世話になってて感謝しかない。



「お疲れ様です」


「おつかれ零君。わたし等は後30分で上がるわねー」


「あ、おつかれー 今日も零君はカッコイイね!」


 エプロンを付けて店内に入りオバチャン達と挨拶を交わす。すると女子高生バイト2年目の沙織が、既にシフトに入っていてフザケタ挨拶をかましてきた。なので仕返しをする。


「なら、お前は毎日カワイイのか?」


「えっ?ええ? 私カワイイ?どうしよぉ~」


「どーもするな。仕事しろ」


「え? なーんだ、冗談か~残念。そりゃ夕梨ちゃんは美人さんですよ」


「そんなのは当たり前だ」


「え、その美人さんって誰なんですか? あ、お疲れ様でーす」


 沙織の奴とくだらない掛け合いをしながら仕事の準備をしていると、もう一人の女子高生バイト2か月のエリカがやって来て俺たちの会話に食いついてきやがった。

 二人とオバチャン達が、俺の彼女だの自分達は平均値だの、あーだこーだと話しているけど・・・ホントこいつらって話が好きだよな。毎日毎日飽きもせず。ま、放置して仕事だ。


 俺は黙々と仕事をこなす。今回の人生、夕梨と不自由なく幸せに過ごす為だ。

 俺に家族は居ない。だから自分で稼がなくてはいけない。生活費も学費も貯金も。夕梨との生活の為にも、これを崩す訳にはいかない。不定期だけど危ないバイトもして貯金に回している。

 なので奴等との下らん話より仕事だ。とにかく焼く。たこ焼き、焼き鳥、生ビール、焼き鳥、たこ焼き、たこ焼き、たこ焼き、焼き鳥。焼いて焼いて売りまくる!

 因みに・・・俺は何度も死を経験している。頭のオカシイ奴じゃないぞ?とにかく、老衰だろうが事故だろうが死んで次に気付くと次の人生が始まっている。もう何度もだ。多分2000年分以上は生きてる。と、言うか記憶があると言うか繰り返しと言うか。

 前世はアメリカ南北戦争時代に転生した。その前は1990年代の日本でサラリーマンやってて事故死だ。その前は月が3っつ見える星の住人で巨大な猛獣と戦う人生。戦ってる最中に剣と魔法の世界にとばされて・・・あれは苦労したな。

 時には、科学の発達した並行世界のような場所に転生して、突如異星人の侵略を受けて人類は死滅したり。

 転生はまだ良いんだけど、転移がツライ。言語も文化も世界観も何もわからない状態で突如その世界に飛ばされるから本当に苦労する。

 もう長いから昔の記憶も曖昧になってて思い出せない事も多いけど、多分だけど・・・俺は最初あの部屋に居た。あの真っ白い部屋。何なのか分からないけど、それはハッキリ分かる。あの部屋の住人だったはず。

 まぁ、兎に角。色んな人生を送ったけど金は大事だった。だから稼ぐ!



 すっかり考え込んでいる内に閉店15分前だったのでラストスパートを掛けながらバイト2人に片付けを始めさせる。んで、ふと前を見たら向こうから歩いて来る女の子が2人。夕梨と親友の茜だ。

 店の前まで来たのでジュースを2つ出して声を掛ける。


「どうしたんだ?」


「・・・茜が話があるって言うからこっちで話てたの・・・」


「ごめんね零君。奥さん借りちゃって・・・えへへ。ジュースありがとー」


「もう終わるから」


「あー!夕梨ちゃんだ!久しぶり」


「・・・沙織さん、久しぶり・・・」


「ええっ?零君の彼女?スゴイ美人なんだけどっ!てゆーか外人さん?紫?銀色?瞳が紫?しかも背高いのに細っそ!でも胸でかっ!でかっ!私は貧乳なのにでかっ!何この髪型!カワイイんですが?何から何までカワイイって反則?今、嫁って?嫁??嫁って食べ物?」



 あーまた五月蠅いのが始まったぞ・・・無視無視。





 さっさと終わらせ店を閉めて今は帰り道。俺がバイクを押して2人は前を歩いてる。

 茜を家の前まで送ってからバイクに2人タンデムで帰る。

 部屋に入ると夕梨はハンバーグを焼き始めて晩飯の準備。俺はその間に風呂に入ってサッパリしておく。


 夕梨が出来たと、声を掛けてきたので2人でダイニングテーブルに並べていく。


「「いただきます」」


 で、食事を始める。うん うまい。夕梨も料理が上達したなぁ

 軽く雑談をしながら食事を進める。

 幸せなひと時の食事が終わると夕梨は風呂に入るので、俺が洗い物や片付けをする。んで、夕梨に見られ無い様に風呂の間に刃物の手入れを行っておく事にする。



 ソファーに座り、PCを開いて調べモノをしていると、夕梨が夏用のパジャマを着て風呂から出て来て俺の隣にちょこんと座り、左腕にしがみついてきた。何かあったのか?


「どした?茜は何かあったのか?」


「・・・うん。なんかね、少し前から茜の両親の喧嘩が絶えなくて離婚するかもとかになってるって・・・悩んでるみたい・・・茜は優しいから凄い我慢してると思う」


「そうか。よその親の事だから何か出来ると思えないけど、話は聞いてやれるし気分転換に暫くこっちに泊まりに来ても良いしな。あいつは良い奴だから何か力になってやりたいな」


「うん・・・そだね・・・ありがと零・・・・・・私達はずっと一緒だよね?」


 夕梨はそう言って上目使いで俺を見つめてくる。

 や、やばいっす。精神攻撃がハンパねえ・・・しかも左腕がやんわらかい母性の膨らみに挟まれてて崩壊しそうな精神をなんとか繋ぎ止める。


「そうだな」



 俺はニッコリしながらそう答える。

 お互いにポツリポツリと言葉を交わしながらボンヤリテレビを見ていた。




 その時!

 背筋に悪寒が走り、視線を左に向ける。


 リビングと廊下を隔てるドア。その向こうから黒い何かが壁抜けの様にしてこちらに入ってくる!

 俺は瞬間的に"マズイ"と感じた。これは"アレ"だと。


 咄嗟に左腕で夕梨を抱き寄せ右手はソファーの下にいつも挟んでいる刀を手に取り部屋の隅に置いてある非常用の背嚢を片腕に通す。

 次の瞬間!奴の足元から広がった黒い波に捕らわれ俺たちは沈んでいった。










 ----- 某所 -----




「・・・ぐ・・・むぐ・・」


 うっすらと目が開く。砂が見える。

 瞬間!脳がフル回転して目を開き起き上がる!


 右肩に背嚢、右手に刀、左手は夕梨の右手を握っていた。

 ホッとしたが視界に"ヤツ"が居た!ゆっくり近付いてくる!

 夕梨の手を離し、背嚢を降ろして右手に刀を持ったままヤツに向かって走る。

 ヒトの形に見えなくもないその黒いモヤモヤに向かって真上から一直線に振り下ろす。


 シュワっとした手応えの後、ソイツは小さな粒になって弾け飛んで消えた。


 まだ何が起こるか分からないので夕梨の横迄戻り、周囲を警戒していたけど・・・暫く何事も無かったので、そこで漸く肩の力を抜いた。

 座り込み、夕梨の頭を撫でる。何が起こったんだ?・・・いや、多分転移だよなぁ。異世界かどうかまでは分からないけど、恐らく違う世界だろうな。

 しかし、今回は初めてのパターンだぞ?しかも夕梨を巻き込んでしまった。あの黒いモヤモヤは何だ?これからどうする?しかも此処は何処?言語は?もう色々謎と不明と不安でワーってなりそうだが落ち着こう。転生と転移のプロじゃないか。夕梨も不安だろうし守らなくてはならないしな。



 まず、ここは何処か?これは恐らくだけど地球だろう。向こうに森?が見えて更に向こうに山が見える。高い山も有って、見た感じが地球の風景っぽい。違う星でこんなに自然環境が似ている可能性は低いと思うぞ。空気にも違和感が無いし。

 次は黒いヤツ・・・・・さっぱり分からないから保留!

 その次は今日以降の生活環境だな。俺1人ならどうでもなるけど夕梨が居るから雨露凌げて安全の確保と水と食料の調達だな・・・


 あれこれ考えていると、ピクリと夕梨が動く。


「・・・ぅ・・・うにゅ・・・」


「ゆうり・・・夕梨」


「・・・ここ、どこ?」




続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ