表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/34

蔵下響人

「なっ!頼むよ!こんなの頼めるの、響人(ひびと)しかいないんだって」

「んー、でもなあ。今日はなあ」

「響人―、頼むって今回は本気なんだって」

「つい一ヶ月前に彼女と別れたばっかりの奴が言う台詞(せりふ)とは思えないな」

「うっ、痛いとこ突くな…」

「ったく、少しは引きずったらどうだ?」

「もう引きずった!たっぷり引きずった!」

(うそ)つけ」

「ううっ。ってちがーう!そういう話じゃないじゃん!カラオケ行くか行かないかの話してたじゃん」

「落ち着けって(たくみ)。でも、女が来るんだろ?」

「いや、まあ、それはね…」

「行かない」

「ちょ、ちょっと待てって。お前もな、高校三年にまでなってるのに、だ。彼女の一人もいなくてどうする?」

「どうもないよ」

「うん、うん。寂しいよな、人肌(ひとはだ)(こい)しい夜もあるよな。わかる、わかるよ」

「あったことないよ」

「うん、うん………うん?ないのかよ!なんでないんだよ!」

「なんでって言われても…」

「そもそもな?その左手の指輪(ゆびわ)を外せ!小指はいいとしても薬指につけてたら、まるで女除けみたいだろ!」

「そもそもって、もう完全に関係ない話になってるだろそれ」

「くーっ。こうなったら力づくでも連れてってやる」

「わかったわかった!そのもう一人の子を僕が相手してればいいんだろ?」

「そうそう!よくわかってるじゃないの、旦那(だんな)

「旦那なんて言う年じゃないけど」

「まあまあ細かいことは気にしない!ほら、もー時間もないし、早く行こうぜ!」

「テンション高いな、お前…」

 呆れられた男、巧は短髪(たんぱつ)に長身、スポーツマンであることが一目瞭然(いちもくりょうぜん)と言わんばかりの雰囲気(ふんいき)だった。

 それとは対照的に蔵下(くらした)響人(ひびと)(おだ)やか顔立ちに少しパーマがかった髪が特徴的(とくちょうてき)だが、優しさの(にじ)み出る爽やかな青年、といったところだろう。

 放課後の教室を飛び出していった巧とそれを気怠(けだる)そうに響人(ひびと)は追いかけていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ