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 小さな里だった。隠れ里なのだから当たり前なのかもしれないが、それでも、里に住む者全員が顔見知りといってもいいような、僅か五十人にも満たない小さな里。

 何か異変があれば、それはすぐにでも里中の人間の知るところとなり、隠匿など不可能。ましてや、子が生まれるなどという吉事、そもそもが隠そうとする理由などない。生まれてきた子は、皆に祝福され、温かく見守られ、すくすくと成長していく――はずだった。

 ……生まれてきたのが、双子でさえなければ。


 『双子とは災いの象徴。その強き力にて災厄をもたらす』


 黴の生えた古くさい伝承。それでも、双子は不吉。災いの象徴――そう、今でも頑なに信じられていた。

 故に、その双子の誕生は、大人達をひどく狼狽させた。

 扱いを図りかね、戸惑い、困惑し、腫れ物に触れるかのように距離を置き、然りとて殺すことも捨てることすらも出来ずに、結局は蔑んだ。

 実の両親からさえ、愛情を示されることはなかった。

 そんな大人達の態度は里の子供達に伝染し、彼らは自然とわたし達を除け者にし、異端視し始めた。平たく言えば虐めだ。里の子供達は五歳になると、親や周囲の大人、長老達から生活や自衛のために魔術を学ぶ。けれど、わたし達にはそれさえ許されなかった。その当時からわたし達は飛び抜けた魔力を有しており、魔術の扱い方を教えればその矛先は自分たちに向く。おそらくは、そんなことを危惧していたのだろう。向けられる侮蔑の中に時折混じる、恐怖と嫉妬を感じ取れる程度には、わたしの感受性は豊かだった。

 ともあれ、子供達にそんな事情が分かるわけがない。ただ、絶対者たる親が嫌悪しているから。それだけの理由で、彼等はわたし達を攻撃した。自分たちが当然のように与えられている物を、あの子達は与えられていない。そんな優越感も、わたし達に対する迫害を増長させていたのだろう。何をされても誰も助けてくれず、身を守る術さえ持たず、ただ耐えるしかない。

 そんな環境で育って十年。わたしがなんとか絶望せずに生きてこられたのは、ひとえに片割れの存在のおかげだろう。

 ――この子だけは守らないと。

 その想いがわたしを強くし、同時に支えとなった。おそらくはあの子も、同じような想いを抱いていたのではないか。

 依存し、依存される関係。

 一人じゃないから、耐えられた。

 でも、

 一人じゃないから、虐げられた。


 …………皮肉な矛盾だ。

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