表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/23

12

 里でのわたし達の扱いは、五年経っても相変わらずだった。いや、悪化したといった方がいいだろう。

 十歳から十五歳へ。

 言葉にすればそれだけだが、そこには当然時間の過程が伴い、子供は青年へと成長した。肉体は大人へと近づき、しかし精神はその成長に追いつけない。子供の心のまま大人の力を手にした彼等は、生け贄を求めた。日々強くなる己の力を試す為。或いは再編されつつあるグループ内での地位を築く為。或いはただ単に力を誇示する為。

 標的は、言うまでもなく弱者と目されているわたし達だった。決して反撃しない――できないわたし達は、格好の的だったのだ。

 今日も彼等は、やってきた。

 近くの森で、薪を拾っていたときのことだった。

 背後から襲われた。

 よくあることだったので、わたしはさしてあわてもせずに襲撃を避ける。

「いつもいつもいい加減にして」

 そんな抗議さえ、口にする余裕があった。少し離れた場所で薪を拾っていたリーヌの方も、似たような状況だった。

 わたし達は合流する。

 こういう場合、二人でいた方が対処が楽だと言うことを、わたし達はこの五年で学んでいたからだ。一人で三人相手にするよりも、二人で十人を相手にした方が楽なのだ。

 いつものように、わたし達は互いを補い合いながら里の子達の襲撃をいなしていく。

 適当に相手をしていれば、彼等は飽きて去って行く。これまでもそうだったし、今回もそうだと思っていた。

 でも。

 今回の彼等は、違った。しつこく攻撃をくりかえし、いつまで経っても退こうとしない。あとで知ったことだが、この時里の子らの間では、賭けが行われていたらしい。すなわち、どのグループが最初にわたし達を屈服させるか、という。

 魔力が励起するのを感じ、わたしはそちらに視線を向ける。グループのリーダー格の子が呪を唱えているのが目に入る。

「…………」

 けれどわたしは、その子にそれ以上の注意を払わなかった。あの子の魔術は何度も目にしている。発動してからでも、十分対処できる。

 そう、思っていた。

 知らなかったのだ。最近その子が、著しく腕を上げていたことを。その牙をわたし達に突き立てるべく、研ぎ澄ましていたことを。

 努力していたのは、わたし達だけではなかった。


「風よ! 刃となりて我が敵を切り裂け!」


 解放の言葉が叫ばれる瞬間、急激に膨れ上がった魔力を感じ取り、わたしは自身の失策を悟った。

 速度、威力ともにこれまでとは比べものにならない魔術が、わたしとリーヌに迫る。

 大人の力を子供の心で振るう。それがどれほど危険なことなのかを、この時わたしは身をもって知った。

 彼等は理解できないのだ。自分が振るっている力が、どのようなものなのかを。

 彼等は想像できないのだ。自分が振るっている力が、どのような結果をもたらすのかを。

 それは決して、遊び半分に振るっていいような力ではない。

 わたしにできたのは、全身に魔力を纏って防御し、リーヌを庇うことだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ