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里でのわたし達の扱いは、五年経っても相変わらずだった。いや、悪化したといった方がいいだろう。
十歳から十五歳へ。
言葉にすればそれだけだが、そこには当然時間の過程が伴い、子供は青年へと成長した。肉体は大人へと近づき、しかし精神はその成長に追いつけない。子供の心のまま大人の力を手にした彼等は、生け贄を求めた。日々強くなる己の力を試す為。或いは再編されつつあるグループ内での地位を築く為。或いはただ単に力を誇示する為。
標的は、言うまでもなく弱者と目されているわたし達だった。決して反撃しない――できないわたし達は、格好の的だったのだ。
今日も彼等は、やってきた。
近くの森で、薪を拾っていたときのことだった。
背後から襲われた。
よくあることだったので、わたしはさしてあわてもせずに襲撃を避ける。
「いつもいつもいい加減にして」
そんな抗議さえ、口にする余裕があった。少し離れた場所で薪を拾っていたリーヌの方も、似たような状況だった。
わたし達は合流する。
こういう場合、二人でいた方が対処が楽だと言うことを、わたし達はこの五年で学んでいたからだ。一人で三人相手にするよりも、二人で十人を相手にした方が楽なのだ。
いつものように、わたし達は互いを補い合いながら里の子達の襲撃をいなしていく。
適当に相手をしていれば、彼等は飽きて去って行く。これまでもそうだったし、今回もそうだと思っていた。
でも。
今回の彼等は、違った。しつこく攻撃をくりかえし、いつまで経っても退こうとしない。あとで知ったことだが、この時里の子らの間では、賭けが行われていたらしい。すなわち、どのグループが最初にわたし達を屈服させるか、という。
魔力が励起するのを感じ、わたしはそちらに視線を向ける。グループのリーダー格の子が呪を唱えているのが目に入る。
「…………」
けれどわたしは、その子にそれ以上の注意を払わなかった。あの子の魔術は何度も目にしている。発動してからでも、十分対処できる。
そう、思っていた。
知らなかったのだ。最近その子が、著しく腕を上げていたことを。その牙をわたし達に突き立てるべく、研ぎ澄ましていたことを。
努力していたのは、わたし達だけではなかった。
「風よ! 刃となりて我が敵を切り裂け!」
解放の言葉が叫ばれる瞬間、急激に膨れ上がった魔力を感じ取り、わたしは自身の失策を悟った。
速度、威力ともにこれまでとは比べものにならない魔術が、わたしとリーヌに迫る。
大人の力を子供の心で振るう。それがどれほど危険なことなのかを、この時わたしは身をもって知った。
彼等は理解できないのだ。自分が振るっている力が、どのようなものなのかを。
彼等は想像できないのだ。自分が振るっている力が、どのような結果をもたらすのかを。
それは決して、遊び半分に振るっていいような力ではない。
わたしにできたのは、全身に魔力を纏って防御し、リーヌを庇うことだけだった。




