書きかけ
わたしはわたしのいる場所へ、
帰って来たいと思っている。
きっと。
閉じてしまった廃墟の扉の先へ。
廃墟には、わたしの一番いやらしく、
不穏な部分が人目につかぬよう閉じ込めてあったから。
ずっとずっと光ある彼方まで走って、
走って、
廃墟がある事をたいようで飾るくらい、
輝いて亡くしたかった。
その扉に何重にも鍵をかけて。
わたしは奮い立ち、戦える。
そう信じたかった。
置き去りにした廃墟で、
もう走れないとわかってから、
わたしは運命に告げられた。
鍵なんか、一つもかけられていなかったこと。
わたしは、弱い。
きみも、
あなたも、
みんなも、
きっと弱い。
それは全部、わたしが思いたかった幻。
わたしたちは、誰も弱くも強くもないし、
いつもただ、毎日起こる自分と他人の狭間の中で、反応しているだけ。
廃墟もクソもない。
(書きかけ。続きはまた。)