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最強文豪-ただの作家に興味はない-  作者: 倉敷(クラシキ)
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プロローグ

雨が降り注ぐ。


そう、雨だ。これは雨だ。


でなければ一体何だと言うのだ?


でなければ一体どうしたというのだ?





そんな自問自答で朝を迎える。


いつも通りの悪夢。


いつも通りの快晴。





今日は、雨ではなかったのか。





気怠い体を起こし、食卓へ。


と言ってもテーブルがどこかもわからないほどの大量の新聞紙。


俺はバサバサと新聞紙を落とし、いつのか忘れたパン・・・には手を伸ばさず


その下のクッキーを手に取った。





牛乳は毎朝届けてもらえるので腐っている心配はない。


瓶の牛乳のフタを開け勢いよく喉に流した。





冷たいものを体に流したことで、いささか目が覚めた気がする。俺は火照っていたのだろうか。そんな意味のない自問自答を終えると


俺はまた布団に潜り込んだ。





今日は火曜日。今日も俺の中では休日なのだ。


この二度寝の瞬間は堪らなく癖になる。


自分が何者にも縛られていないようなそんな錯覚を覚えるのだ。






ドンドンッ!






そんなささいな幸福感は玄関のノック音で打ち破られた。


二度寝の幸福感はこの一度きりだというのにボロボロのアパートのドアによって崩されてたまるかと俺は居留守を決め込むことにした。






ドンドンドンッ!






しかしノック音は増すばかりで、三回目の時にはもう一回ドンッという音が増えた。


こうなればもう意地でも出たくない。


どうせ怪しい宗教勧誘か何かだろう。


あのベラベラ長いこと喋る口は昔から苦手だ。


ホッチキスで閉じてやろうかと思えるほどに。


例え宗教勧誘でなくともここまでしつこくノックをしてくるような宅配業者はきっと無愛想だし、怖い。


自分のノルマを少しでも達成しようとしているその一生懸命さは嫌いだ。





しばらくすると、ノック音は止み、代わりに声が聞こえてきた。






「あれ~?ここ、貴生川キブカワさんのアパートだよね?この時間に留守ってことは無いだろうし、メーターも動いているから旅行ってこともないだろうし。」






その声は青年位であろうか。少なくともドスの効いたおじさんの声ではなかった。


しかし問題はそこではない。


居留守がばれているということだ。それが大きな問題である。






「すいません。貴生川さん、居るんでしょ?」






彼は確信している!俺がここに居留守を決め込んでいることを。そしてそれでも俺に会おうとしているという逃げられない状況。






俺はおずおずと起き上がり、ドアをそっと半分だけ開けた。





「はい」


「ああ!やっぱり貴生川さん居た!」





そこには目をキラキラさせたこれはまた綺麗な顔立ちの青年が居た。


身長も俺より高く、スラッとした姿はモデルか何かなのだろうか。


「あの」


用件は何ですかと言い終わる前に青年はドアを開けてずかずかと部屋の中に入ってきた。





「うわあ!ちょっと!」





俺は慌てて青年を止めに入るが





「うーん・・・これが作家のお部屋か。ボロボロのアパートにぐちゃぐちゃの部屋。やっぱり作家ともなるとこういうところじゃないと原稿書けないの?」





青年はキラキラした目でこちらに興味津々と言わんばかりに近づいてくる。





「・・・っ」





そんなにベラベラ喋られても俺は人付き合いが得意じゃない。むしろ苦手な方だ。





「どうしたの、貴生川さん?」





しかし、わかることはある。





「・・・まず君は誰だ?」






「ええ?俺のこと知らないの?」





こんな美青年の知り合いは俺には居ない。というか誰かの知り合いでもなさそうで


そうなると






「・・・出版社の陰謀?」





ふと脳裏に過ぎったことをそのまま口に出してしまった。





「どうしてそう思う?」





青年は笑顔で問いかけてくる。






「俺がスランプだから。」





正直言いたくない言葉ではあったが、俺は実際にスランプ状態で、もう数ヶ月を過ごしている。





そんなにバカ売れしている作家ではないので生活は多分中の下だ。


まず俺の名を知っている者が現れただけで出版社が何かを企てて俺に文章を書かせようとしているように見えた。





「あはは!貴生川さんは面白いね!」





青年はバカじゃないの?と言いたげに爆笑している。






「違うのか?」





「違うよ、俺はただ・・・」






パチンという音と共に、俺の部屋の中に


たくさんの黒ずくめの男たちが入ってきた。





ざっと十数人。サングラスでよく見えないが


きっと俺を睨んでいる。






その中を割って、先ほどの青年が俺に近づく。







「俺はサギ。闇社会に生きる人間だ。」






そう言って俺に手を差し伸べた。



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